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秩父の森の恵みに出会える
〈MAPLE BASE〉営業中!
ちちぶメープルプロジェクト最終回

Local Action
vol.083

posted:2016.7.12   from:埼玉県秩父市  genre:活性化と創生

〈 この連載・企画は… 〉  ひとつのまちの、ささやかな動きかもしれないけれど、創造性や楽しさに富んだ、
注目したい試みがあります。コロカルが見つけた、新しいローカルアクションのかたち。

writer profile

Aiko Ihara

井原愛子

いはら・あいこ●埼玉県秩父市生まれ。2014年外資系企業を辞めて、秩父にUターン。秩父の森づくりを行うNPOやメープル関係団体の活動に参加しながら、自然とそこに関わる人々にたくさんの刺激を受け、勉強の日々。2015年に自然の恵みを生かした商品開発やエコツアーの企画などを行う〈TAP&SAP〉を立ち上げた。現在、シュガーハウスオープンを目指して、秩父の地域プロデューサーとして日々奔走している。
http://tapandsap.jp

credit

協力:NPO法人秩父百年の森
http://www.faguscrenata.com/

理想のパンケーキを追い求めて

4月27日、無事に秩父に〈MAPLE BASE(メープルベース)〉がオープンしました。
オープン直後に、そのままゴールデンウィークに突入したため、
目まぐるしい日々を過ごしていました。オープンから2か月くらい経ちますが、
はるか昔のような気がしてしまうほど、オープン前後は密度の濃い時間でした。
結局、前日まで大工さんをはじめ、外溝工事、ボランティアによる掃除など、
たくさんの人たちの力が結集し、作業が続けられました。

オープン2週間前の様子。まだウッドデッキだけでなく、窓やドアもついていませんでした……。

いまになってさまざまな人から、
「絶対間に合わないだろうと思っていた」という言葉を聞くと、
工事の進捗状況がどれだけ崖っぷちに立たされていたかがよくわかります。
MAPLE BASEをプランしている立場として、
精神的にも肉体的にも追い込まれている状況で、
頭の中にずっと残っていたキーワードがあります。

「クラフトサムラ(Kraftsamla)」

これは、私が社会人時代に働いていた会社で知ったスウェーデン語で
「力を集中させること」という意味。
ひとりの力でできなくても、みんなの力が合わさることによって、
どんな大きい目標も達成できるということ。
Uターンしてから、比較的1対1で仕事をすることが多くて、
つい忘れがちになっていたこの言葉を思い出したのでした。

実はプランのなかで最後まで決まらずにいたのが、
カフェで提供される看板メニュー「パンケーキ」のレシピでした。
私の中のベストパンケーキは、やはりカナダのシュガーハウスで食べた
メープルシロップがたっぷり染み込んだシンプルなパンケーキ。

カナダで食べた理想のパンケーキ、どシンプルな見た目ですが、生地とメープルシロップがベストマッチ!!!

あの味がずっと忘れられなくて、シンプルにメープルシロップを楽しめる、
MAPLE BASEオリジナルのパンケーキをつくりたいと考えたのでした。
パンケーキ店の食べ歩きやレシピ研究はずっと行っていたのですが、
最後の最後で問題発生。
工事の遅れにより、なかなか厨房設備もまともに使えないなか、
この窮地を救ってくれたのが、秩父で週1回ドーナツや焼き菓子を販売している
〈ナガタミホノミセ〉の永田美穂さん。

MAPLE BASEの救世主とも言える永田さん。

ぷっくりした見た目がかわいいドーナツが大人気!

永田さんのつくるスイーツのファンは多く、開店まもなく
あっという間に売り切れてしまうことから、幻のお店と言われることも多いそう。
たまたま、家具づくりのワークショップでお手伝いをしてくれた
中学生のお母さんからの紹介で知り合った永田さん。
その時点で、オープンは2週間後に迫っていました。
出会った当日に状況を話したところ、なんと全面協力を引き受けてくださったのです。
そこから、本当に何回もの試作と原料の選定の見直しをし、
理想とするパンケーキにたどり着きました。

スタッフのみんなとともに試作中。

パンケーキは材料がシンプルな分、それぞれの原料のちょっとした差が
味や焼き上がりに大きく影響します。なかでも一番違いを感じたのは、卵!
永田さんからの紹介で出会った、秩父の地卵を知ってしまったら、
もうほかの卵は使えません。
生地に、さまざまな工夫をこらしたMAPLE BASEのパンケーキ。

MAPLE BASEオリジナルパンケーキ(700円)は、シンプルながらメープルシロップのおいしさを存分に味わえます!

ぜひ、MAPLE BASEにお越しの際はご賞味ください!

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パンケーキだけじゃない!秩父のおいしいもの

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秩父のおいしいものを提供してくれる生産者さんたち

MAPLE BASEでこだわっているのは、パンケーキだけではありません!
秩父の森が育んだおいしい水や豊かな土壌は、
新鮮でおいしいさまざまな野菜や果物を生み出しています。
知人の紹介で知り合ってから、今年の和メープルエコツアーに参加してくれたり、
家具組み立てボランティアにも参加してくれたのが、
秩父農林振興センター職員の根岸七緒さんでした。

生産者さんたちとつなげてくれた根岸さん(前列左から2番目)、頼れるお姉さまです!

秩父の農家さんたちを全面的にサポートする活動を行っている根岸さんは、
長年培ってきた知識や経験とネットワークの広さを駆使して、
私の探しているベストな生産者さんたちを紹介してくれました。

その中のひとりが、〈まるまめ農園〉の守屋裕さんです。
秩父では珍しい新規就農の若手で、MAPLE BASEがある秩父ミューズパークから
一番近い農家さんと言っても過言ではありません。
湧き水で育った新鮮な野菜たちは、サラダやピクルス、
グリーンスムージーなどに使っています。

採れたて新鮮な野菜たち。時期によって採れる野菜がどんどん変わるのも楽しみのひとつ。

今年の春には弟さんも加わり、兄弟で農業をしていくそうです。
新しいチャレンジをしていく守屋さんを、今後も応援していきたいと思います。

秩父は、四季折々さまざまな果物も楽しめます。
オープンしてから6月初旬までは秩父産のおいしいイチゴが楽しめました。
MAPLE BASEが使っている吉田にある〈冨田農園〉さんのイチゴは、
パンケーキには〈やよい姫〉、スムージーには〈紅ほっぺ〉と
種類を使い分けて提供しました。

おいしいイチゴを提供してくれた冨田のぶ子さん。生産者の顔が見えるのはとっても安心!

イチゴが終わると、6月から夏にかけてのいまの時期はブルーベリーが旬!
MAPLE BASEでは、秩父の中でも抜群においしいブルーベリーをつくっている
〈楽園〉のブルーベリーを使っています。

キレイに整備されたエリアは農園ではなく〈楽園〉というのも納得!

今後とも、新しい生産者さんたちと旬の恵みを生かしたコラボレーションが楽しみです。

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イベントやワークショップも!

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“ログカット”でオープニングセレモニー

話は、オープン当日に戻ります。
市や県の協力をたくさんいただき、ようやくオープンにこぎつけたMAPLE BASE。
オープニングセレモニーも盛大に開かれました。

セレモニーには、秩父市長をはじめ行政から金融機関など、関係者たちが駆けつけてくれました。

そういったセレモニーでありがちなテープカットやくす玉には、
いまいちピンとこなかった私。
そういえば! と思い出したのが、「ログカット」でした。
秩父の木挽き職人を紹介してもらい、なんとか当日に間に合いました。

関係者によるログカットで、MAPLE BASEのオープンを祝います!

当日は、NPOや樹液生産協同組合のメンバーの協力で、
早朝から樹液を煮詰める機械「エバポレーター」を稼動させました。
この時期はメープルシロップをつくるのにベストなシーズンではないため、
デモでの稼動でしたが、皆さんとても興味深そうに見学していました。

メープルシロップをつくるための蒸発機、エバポレーター稼働中。来年の冬の本格稼動が待ち遠しい!

シュガーハウスが与えてくれたもの、そしてこれから

オープン後、たくさんの方が秩父内外からMAPLE BASEを訪れてくれています。
「こんな場所、ほしかったの!」と公園内をジョギングしている方や、
コロカルの記事を読んでくれて、わざわざMAPLE BASEだけのために
秩父を訪れてくれた方など、さまざまな人との出会いがありました。
そして、秩父出身と女性という共通項以外は、経験も異なる
さまざまな個性あふれるスタッフたちとの出会いなくして、
MAPLE BASEをオープンさせることはできませんでした。

MAPLE BASEのスタッフたちと。

まともなトレーニングもままならないまま、すべてが混乱していた状況にあって、
前向きに店舗の立ち上げをやり遂げてくれました。
そんな心強いスタッフたちとともに、MAPLE BASEを盛り上げていきたいです。

こうして、長年待ち望んだ日本初のシュガーハウス、
メープルの拠点がやっとできました。
いままでオープンまでの様子をこの記事で綴ってきましたが、肝心なのはこれから!
「伐らない林業」が成り立ち、次の世代まで豊かな森が続いていけるように、
この拠点を生かして、秩父の森から循環の輪を広げていきます。
秩父の人も、都会の人も、多種多様な人たちが交流し、五感で体験する場。
さまざまなアプローチから、イベントやワークショップなどを企画していきます。

カエデの歌をつくってくれたユニット〈ペンギンとシロクマ〉は、月イチでライブをしてくれています。

カエデの樹液で石けんをつくるワークショップも計画中。

これからも秩父の森の活動にご注目ください。
そして、いつか秩父のMAPLE BASEで会いましょう!

information

map

MAPLE BASE 

住所:埼玉県秩父郡小鹿野町長留1129-1

TEL:0494-26-6150

営業時間:10:00~17:00(L.O 16:30)

定休日:水曜日

*季節により営業時間は若干異なります。詳しくはHPをご覧ください。

https://www.facebook.com/MAPLEBASE.JP/

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