連載
posted:2012.10.18 from:千葉県銚子市・旭市 genre:活性化と創生
〈 この連載・企画は… 〉
全国に52カ所ある、自然エネルギー自給率100%の地域 = 100%Village。
TOPICでは、全国各地の100%Villageやそれを目指そうとするモデルケースをひもとき、
STUDYでは、自然エネルギーにまつわる用語を解説していきます。
writer's profile
Takeshi Magami
馬上丈司
まがみ・たけし●千葉大学法経学部特任講師。千葉大学人文社会科学研究科公共研究専攻博士後期課程修了 博士(公共学)。専門はエネルギー政策論・公共政策論・環境マネジメントシステム論。
前回は、標高1,000mの高原にある大規模風力発電所を紹介しました。
今回は、海に近い台地に建設された、風力発電所群を紹介します。
千葉県の北東部、銚子市や旭市などの東総地域には、
東総台地という標高40~50mの台地が広がっています。
関東平野から太平洋へと突き出しているこの地域は、東南北の三方を海に囲まれており、
1年を通して風速6m/s前後の強い風が吹いていることから、
旭市から銚子市にかけての東西約10kmの範囲に、
過去10年以上にわたって累計40基もの風車が建設されました。
車で成田空港方面から国道296号線を東進し、
さらに匝瑳市で国道126号線に入って旭市へと向かうと、
まず左手の台地の上に飯岡風力発電所(850kW×5基)が見えてきます。
そこから更に銚子方面へと走ると、銚子市内に入ってまもなく、
丘の向こうに八木風力発電所(1,500kW×6基)が見え、
海側には銚子小浜風力発電所(1,500kW×1基)と
銚子屏風ヶ浦風力発電所(1,500kW×1基)も見えてきます。
そして126号線を外れて東総広域農道へ入ると、右も左も風車だらけの風景になります。
この広域農道を東進した終点付近に、域内最大の風力発電所である
銚子風力発電所(1,500kW×9基)が道路を囲むように建っています。
さらにこの風力発電所群の北にも、椎柴風力発電所(1,990kW×5基)や
銚子ウィンドファーム(1,500kW×7基)があり、一大風力発電所群となっているのです。
前回紹介した郡山布引高原風力発電所は人里離れた山奥にありましたが、
こちらは台地の畑の中とはいえ、国道が走り、
車も人も行き交う農道や生活道路が何本も走る中に建っています。
国道を走っていると突如として現れる風車の群れという景色は、
初めて訪れる人を驚かせるものでしょう。
風車の近くに行ってみると、本当に畑の一部の区画が切り取られてフェンスで囲われ、
風車と付帯設備がこぢんまりと建てられています。
風力発電機はこんなに小さなスペースで建てられるのかという驚きと、
こんな場所に建てることができてしまうのだという二つの驚きが得られます。
畑の中に風力発電機が立ち並ぶ景色というのは、ヨーロッパを思い起こさせる風景ではあります。
一方で、人口密度の高い日本において
このような建て方はありなのだろうかという疑問も抱かれます。
特に、銚子市内の風車はどれも1,000kW以上の大型風車で、
それが林立する様は景観にも大きな変化をもたらしたことでしょう。
また、さまざまな事業者が建設したため、
全体の配置などに統一感がなく、雑多な印象も受けます。
風力発電所が地域に与えるさまざまな影響を考えるにあたって、
この東総台地風力発電所群は重要な示唆を与える事例といえるでしょう。
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