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TOPIC 郡山布引高原風力発電所

100%Village
vol.013

posted:2012.10.2   from:福島県郡山市  genre:活性化と創生

〈 この連載・企画は… 〉  全国に52カ所ある、自然エネルギー自給率100%の地域 = 100%Village。
TOPICでは、全国各地の100%Villageやそれを目指そうとするモデルケースをひもとき、
STUDYでは、自然エネルギーにまつわる用語を解説していきます。

writer's profile

Takeshi Magami

馬上丈司

まがみ・たけし●千葉大学法経学部特任講師。千葉大学人文社会科学研究科公共研究専攻博士後期課程修了 博士(公共学)。専門はエネルギー政策論・公共政策論・環境マネジメントシステム論。

大規模風力発電所のメリット・デメリット。

近年、発電出力2,000kWを超える大型の風力発電機が
何本も建てられた大規模な風力発電所(ウィンドファーム)が、
国内各地で次々と建設されています。
その中でも国内最大の風力発電所である、福島県郡山市の郡山布引高原風力発電所は、
33基の風力発電機で合計65,980kWの発電出力を持っています。
今回は、2007年2月に運転を開始し、年間で約1億2,500万kWhを供給する
この大規模風力発電所を紹介します。

郡山布引高原風力発電所は、猪苗代湖の南、会津布引山の山頂に広がる布引高原にあります。
現地は標高1,000mを越える非常に風況のよい場所で、
麓から20分以上かけて車で山道を登り切った先には、
とても山頂とは思えない高原が広がっています。
高原からは猪苗代湖や磐梯山が一望でき、その高原の全域にわたって風車が建っている風景は、
とても日本とは思えないものです。
高原に人家などはありませんが、観光用の設備や道路が整備され、
風車の中を歩いて回ることができます。
ここに建っている風車は羽の先端までが最大で全高100mに及ぶ巨大なもので、
林立する風景は高原の景色としてみると壮観です。
もともとこの高原では、布引大根の産地として農業が営まれており、
ひまわり畑なども広がっています。
高原の農地で人家はなく、車でなければ辿り着けず、公共交通機関も通っていませんが、
こういった地理条件であればこそこれだけの大規模風力発電所を建設でき、
さらに観光地化もできているという特徴が見えてきます。
現地を訪れたのは週末でしたが、家族連れなどがひっきりなしに山を登ってくる光景があり、
高原の観光地として定着しているような雰囲気を感じました。

大規模風力発電所の環境面での課題は、自然環境への影響、生態系への影響、
景観への影響、生活環境への影響などがあります。
郡山布引高原風力発電所の場合も風車の騒音はかなり大きく、
正面200mほどの距離だと高度1,000m程度の飛行機の航路の下にいるくらいの音を感じます。
今後、再生可能エネルギー電力の固定価格買取制度スタートによって
国内で更に大規模風力発電所の開発が進むことが予想されます。
これらの問題と、どのように向き合っていくのか、
また建設地とは縁のない企業が大規模開発に乗り出してきた場合、
地元に対するメリットは何であるのかを示し、考えていくことが必要です。
圧倒されるような大規模風力発電所のある風景には、
そのような問題に向き合う重要性を改めて認識させられます。

道路が整備されて観光地化されている。

2MWの大型風車群。

ひまわり畑の中に建つ風車。

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