TOPIC 天栄村(2)再生可能エネルギーによる地域再生へ

伝統的再生可能エネルギーのその先へ。

村営の風力発電事業によって、風力発電の恩恵を受けてきた天栄村ですが、
一方で地元の意図しない大規模事業の到来という問題にも直面しています。
天栄村西部にある羽鳥湖高原で、
大手エネルギー事業者による大規模ウインドファームの建設が計画されており、
羽鳥湖周辺は温泉宿やペンション、キャンプ場などがあるリゾート地となっていることから、
大規模開発が周辺の自然環境や景観に与える影響が懸念されています。
再生可能エネルギーを利用する大きなメリットのひとつは、
住民自身の手で地域の自然環境からエネルギーをつくり、地域の中で利用していくことで、
地域外からエネルギーを買うために支払っていた経済的な負担を減らせることです。
しかし、地域の外からやってきた資本によってエネルギー利用設備がつくられ、
そのエネルギーも地域外に売却されてしまえば、
そこに住んでいる人たちにはほとんどメリットがありません。
これでは従来の化石燃料や核燃料を使ったエネルギー利用と、何ら変わらなくなってしまいます。
天栄村では、村営風力発電事業で収入を得るだけではなく、
「風の谷・こだまの森のTen-ei構想」を立案し、
村を「自然エネルギーの標本箱」と称して、
多様な再生可能エネルギー利用の可能性を模索してきました。
その中で、NEDOの地熱開発促進調査で掘削されたものの、
発電事業には適さないとされた地熱井の活用のほか、
地中熱、温泉熱などの地熱利用、木質バイオマスなどの
伝統的再生可能エネルギーを使うといった取り組みが進められてきました。
ここまでであれば、同じような事例はいくつもありますが、
天栄村は更に広がりを持った村づくりへと挑んでいます。
それは、EIMY(Energy In My Yard)という概念をもとにした、
「EIMY湯本プロジェクト」の立ち上げです。
このプロジェクトは、地域にある自然エネルギーを最大限に活かそうというものです。
地域にある再生可能エネルギーを探して活用していくことは、
地域の自然や伝統の再発見にもつながります。
水力発電に適した場所には昔も水車が置かれていたり、
バイオマス利用がしやすい山林も、
昔は薪を切り出してくるなど資源利用がされていたりすることが多々あります。
昔のエネルギーの利用技術を再現して、再び今の生活に取り入れたり、
エコツーリズムや環境教育に活用したりすることで、
村内に留まらないインパクトを与えていこうとしています。
今後、国内でも再生可能エネルギーを利用した地域おこしが活発化していくことが予想される中で、
単に発電や熱供給のツールとして見るのではなく、
地域に埋もれていた価値の再発見という意味で、
天栄村の取り組みは先進的なモデルとして注目されます。

鳳坂峠から臨む羽鳥湖

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