連載
posted:2012.7.2 from:全国 genre:活性化と創生
〈 この連載・企画は… 〉
全国に52カ所ある、自然エネルギー自給率100%の地域 = 100%Village。
TOPICでは、全国各地の100%Villageやそれを目指そうとするモデルケースをひもとき、
STUDYでは、自然エネルギーにまつわる用語を解説していきます。
writer's profile
Hironao Matsubara
松原弘直
まつばら・ひろなお●特定非営利活動法人 環境エネルギー政策研究所 理事、主席研究員。工学博士。エナジーグリーン(株)、おひさま進歩エネルギー(株)技術アドバイザー。桜美林大学非常勤講師。環境プランナーER。東京工業大学においてエネルギー変換工学を研究、製鉄会社研究員、ITコンサルタントなどを経て、持続可能なエネルギー社会の実現に向けて取組む研究者として現在に至る。持続可能なエネルギー政策の指標化(エネルギー永続地帯)や長期シナリオ(2050年自然エネルギービジョン)の研究などに取り組みながら、日本初の自然エネルギー白書の編纂をおこなう。自然エネルギー普及のため、グリーン電力証書の普及やグリーン熱証書の事業化、市民出資による地域エネルギー事業の支援などに取り組む。
・環境エネルギー政策研究所
・自然エネルギー政策ポータルサイト
・永続地帯ポータルサイト
・自治体グリーン政策の窓
・個人ブログ「サステイナブルなもの」
・Twitter
バイオマスとは、生物由来の資源のことですが、その種類は多岐に渡ります。
その多くは植物由来の森林資源の木材や農作物の残渣などですが、
動物由来の畜ふん(牛、豚、鶏など)などもあります。
人類は古くからこのバイオマスをエネルギーとして用いてきました。
例えば森林資源として山から切り出した木材からの薪を利用して、
煮炊きをしたりお風呂を沸かしていました。
このように森林のバイオマスを熱利用する方式は、
薪やチップあるいはペレットを使ったストーブやボイラーとして現在も行われています。
森林のバイオマスを使う発電は、製材工場や製紙工場などで以前から行われていますが、
発生する熱を蒸気として工場内で利用したコジェネレーションが主流になっています。
最近では、生ごみなどのバイオマスを含む廃棄物を焼却処理する場合に、
熱を利用したり発電も行われており、「ごみ発電」と呼ばれて普及が進んでいます。
バイオマス発電の燃料となるバイオマス資源の種類もさまざまです。
森林を起源とする木質バイオマス、食料や畜産系のバイオマス、
建築廃材などの産業廃棄物系バイオマス、生ゴミなどの一般廃棄物系バイオマスなどがあります。
これらのバイオマス資源を直接燃焼、あるいはガス化やメタン発酵させ、
その熱エネルギーにより発電が行われています。
バイオマス発電の2010年度末の国内の累積の発電設備容量は326万kWとなっており、
1990年度比で約6.7倍増加しています。
発電設備の比率では自治体が処理している一般廃棄物発電が54.9%、
産業廃棄物発電が35.6%と合わせて全体の90%以上を占めており、
これまでは大多数がRPS制度の認定設備となっていました。
森林の木質バイオマスを活用した発電はこのうち約8%程度に留まっており、
林業の活性化や国産材の積極的な利用による森林バイオマス資源のカスケード利用が
強く望まれています。
バイオマス発電については、
利用するバイオマス資源の種類に応じてCO2削減効果やその持続可能性についての評価が難しく、
グリーン電力証書やグリーン熱証書の制度、
あるいは今年の7月からスタートする
固定価格買取制度などの関連でもより公正な評価が求められています。
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