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STUDY 固定価格買取制度(FIT)

100%Village
vol.008

posted:2012.5.25  from:全国  genre:活性化と創生

〈 この連載・企画は… 〉  全国に52カ所ある、自然エネルギー自給率100%の地域 = 100%Village。
TOPICでは、全国各地の100%Villageやそれを目指そうとするモデルケースをひもとき、
STUDYでは、自然エネルギーにまつわる用語を解説していきます。

editor’s profile

Hironao Matsubara

松原弘直

まつばら・ひろなお●特定非営利活動法人 環境エネルギー政策研究所 理事、主席研究員。工学博士。エナジーグリーン(株)、おひさま進歩エネルギー(株)技術アドバイザー。桜美林大学非常勤講師。環境プランナーER。東京工業大学においてエネルギー変換工学を研究、製鉄会社研究員、ITコンサルタントなどを経て、持続可能なエネルギー社会の実現に向けて取組む研究者として現在に至る。持続可能なエネルギー政策の指標化(エネルギー永続地帯)や長期シナリオ(2050年自然エネルギービジョン)の研究などに取り組みながら、日本初の自然エネルギー白書の編纂をおこなう。自然エネルギー普及のため、グリーン電力証書の普及やグリーン熱証書の事業化、市民出資による地域エネルギー事業の支援などに取り組む。

環境エネルギー政策研究所
自然エネルギー政策ポータルサイト
永続地帯ポータルサイト
自治体グリーン政策の窓
個人ブログ「サステイナブルなもの」
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参考リンク 自然エネルギー政策ポータルサイト「固定価格買取制度」 http://www.re-policy.jp/jrepp/FIT-portal.html

70以上の国と地域で採用されているFIT制度が、
日本で有効に機能するためには?

自然エネルギーには各種の発電
(太陽光発電、風力発電、地熱発電、水力発電、バイオマス発電など)や、
熱の利用(太陽熱、地熱、バイオマス)が含まれますが、
現在大量に供給されている化石燃料によるエネルギーに比べると、
これまではそのコストは高いと評価され、
国内の各種のエネルギー事業は
補助金や企業や個人の自主的な取り組みにより成り立ってきました。
しかしながら、そのような状況では、
あくまで一部の地域や分野での部分的な普及に留まり、
本格的な自然エネルギーの普及や
大幅な導入コストの低減には結びついていませんでした。
1970年代に米国で始まった
再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT: Feed in Tariffs)が、
欧州を中心に1990年以降本格的に導入され始め、
電力会社が法律に定められた発電種ごとの固定価格で、
20年間程度の長期間、
自然エネルギーにより発電された電力の全量を買取っています。
特にドイツのEEG法(自然エネルギー促進法)は、
このFIT制度に関する法律として、各国での制度導入のモデルとなっています。
2011年初めの時点で、世界中で70以上の国と地域でこのFIT制度を導入しており、
発展途上国を中心にさらに導入する動きが加速しています。
このFIT制度による自然エネルギー市場の拡大により、
風力発電や太陽光発電が欧州各国(ドイツ、スペインなど)や
中国・インドを中心に急速にその導入量を増やしています。
ドイツでは、自然エネルギーによる電気の割合が
2000年のFIT制度開始当初に6%程度だったものが、
2011年には20%に達し、2020年までに35%以上を目指すまでになっています。
一方、日本では2003年から固定枠買取制度(RPS法)がスタートし、
各電力会社が一定量の新エネルギーによる電気を調達することが
義務づけられています。
しかし、設定された電力会社への義務量はとても低く、
日本国内での再生可能エネルギーの本格的な普及にはつながりませんでした。

動きがあったのは2009年。
日本国内でも一部の太陽光発電の余剰電力かつ
非発電事業に対してFIT制度がスタートし、
太陽光発電の年間導入量は2010年度に初めて100万kWを超えました。
さらに、太陽光発電による発電事業用も含め、
発電した「全量」の電気を対象にして、風力・地熱・バイオマス・小水力発電など
実用化されている「全種」の再生可能エネルギーに対して
このFIT制度を広げることが求められていました。
東日本大震災以降のエネルギー政策の見直しにおいて、
自然エネルギーの本格的な普及拡大は重要なテーマとなっています。
自然エネルギーによる発電の本格的な普及拡大を可能とする
全量・全種の固定価格買取(FIT)制度が、2011年8月に国会で成立し、
2012年7月からスタートすることが決まりました。
(正式名称「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」)
しかし、このFIT制度が有効に機能するためには、
適切な買取価格や買取期間などを別途定める必要があり、
第三者機関である「調達価格等算定委員会」で審議が行われています。
さらに、優先接続と呼ばれる送電網への接続義務の徹底や
送電網の整備や各種の自然エネルギーに関する規制の改革なども求められており、
2012年3月には政府による
「エネルギー規制・制度改革アクションプラン」が決まっています。

図:固定価格買取制度(FIT)の仕組み

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