連載
posted:2012.3.15 from:全国 genre:活性化と創生
〈 この連載・企画は… 〉
全国に52カ所ある、自然エネルギー自給率100%の地域 = 100%Village。
TOPICでは、全国各地の100%Villageやそれを目指そうとするモデルケースをひもとき、
STUDYでは、自然エネルギーにまつわる用語を解説していきます。
writer's profile
Hironao Matsubara
松原弘直
まつばら・ひろなお●特定非営利活動法人 環境エネルギー政策研究所 理事、主席研究員。工学博士。エナジーグリーン(株)、おひさま進歩エネルギー(株)技術アドバイザー。桜美林大学非常勤講師。環境プランナーER。東京工業大学においてエネルギー変換工学を研究、製鉄会社研究員、ITコンサルタントなどを経て、持続可能なエネルギー社会の実現に向けて取組む研究者として現在に至る。持続可能なエネルギー政策の指標化(エネルギー永続地帯)や長期シナリオ(2050年自然エネルギービジョン)の研究などに取り組みながら、日本初の自然エネルギー白書の編纂をおこなう。自然エネルギー普及のため、グリーン電力証書の普及やグリーン熱証書の事業化、市民出資による地域エネルギー事業の支援などに取り組む。
・環境エネルギー政策研究所
・自然エネルギー政策ポータルサイト
・永続地帯ポータルサイト
・自治体グリーン政策の窓
・個人ブログ「サステイナブルなもの」
・Twitter
参考URL
グリーン電力証書は、太陽光や風力など自然エネルギーの持つ環境価値を
証書の形で取引することのできる仕組みです。
自然エネルギーの発電設備を持たない企業や個人が、
自然エネルギーの電力を選択できる仕組みとして導入されました。
法律などで定められた制度ではなく、最近は国がある程度のガイドラインを定めていますが、
自然エネルギーを普及させるために10年ほど前から始まった民間の仕組みです。
自然エネルギーが持つ環境価値として、地球温暖化対策としての二酸化炭素削減の効果のほか、
大気汚染防止、放射性廃棄物減少、地域の活性化、
エネルギー自給率の向上、新規産業の育成など、
自然エネルギーを普及させる理由として、さまざまな価値を認めています。
このグリーン電力証書を利用することにより、
普及の進んでいない国内の自然エネルギーを積極的に選択し、
その普及の後押しをすることができます。
そして、その自然エネルギーの持つさまざまな価値をアピールすることにより、
グリーン電力証書を利用した企業自体のイメージも向上することができます。
グリーン電力証書の設備や電力が、自然エネルギーに由来するものであり、
その環境価値が正しく扱われるために、第三者による認証制度が運用されています。
認証機関としては、グリーンエネルギー認証センター(日本エネルギー経済研究所内)があり、
グリーン電力証書を発行する会社が
この認証制度を利用して発電設備の認定を受け、グリーン電力証書の発行をしています。
グリーン電力証書を購入した企業は、普段使用している電気と合わせて
このグリーン電力証書を利用することにより、
自然エネルギーによる電気の使用をアピールすることができます。
この国内の自然エネルギーを対象として
民間レベルで実施されたグリーン電力証書制度の歴史は比較的古く、
2001年に国内の風力発電からの電力の環境価値を
民間企業が自主的に利用する仕組みとして誕生しました。
その後、グリーン電力の対象となる発電設備が数多く認定され、
証書を発行する会社も徐々に増えてきており、2010年末で50社を超えています。
グリーン電力の種類としては、当初は、風力発電が主流でしたが、
その後、バイオマス発電が増えはじめ、さらに太陽光発電や地熱発電まで広がっています。
グリーン電力証書の発行量は増え続けており、2010年度は2億4000万kWhとなりましたが、
これは日本全体の電力量の約4000分の1に相当します。
グリーン電力証書の利用形態も当初は、
大企業が社内の事業活動自体で使用する電力を
グリーン電力化するケースが多かったようですが、
次第にイベントなどでの利用や製品の製造工程への利用が中小企業にも広がり、
製品の販売と組み合わせた個人向けグリーン電力証書の利用など、
多彩な利用形態が増えてきています。
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