うるし漫画家・堀道広の旅コラム
「四国八十八ヶ所のお遍路で、
石手寺に招かれた」

かたちから入るお遍路もアリである

完全に自由な旅というのは、いつ以来していないだろう。

10年以上前の話になるが、香川の高松に友人が住んでいたので、
高松を拠点にして「四国八十八ヶ所」の「お遍路」に挑戦したことがあった。

まずは服装から入ろうと、朝一番で高松から徳島に行き、
第1番札所の霊山寺で、すげ笠と白衣(びゃくえ)を買った。御朱印帳も買った。

すげ笠と白衣を装着。

すげ笠と白衣を装着。

そして私はばっちりお遍路ファッションに着替え、
高松で借りたレンタカーにさっそうと乗り込んだ。
……レンタカー?
そう、私は一刻も早く八十八ヶ所を回るため
「レンタカーでお遍路」という禁じ手を使っていた。
レンタカーでお寺に行っては、御朱印帳に文字を書いてもらい(納経は300円)、
次から次へとお寺を回った。

レンタカーにはカーナビがついている。
私は紙の地図を見なくとも、次の札所への道を異様にスムーズに巡ることができた。
あっという間にかなりの数のお寺を巡った。
まるで、ルート宅配をしているような気持ちになってきた。
山の上のほうにありそうな、自力で登山をしなければいけない札所は飛ばした。

夕方、暗くなると拠点である高松にレンタカーを返しに帰り、友人宅で宿泊した。
そして翌日、また友人宅を出てレンタカーを借り、県をまたぎその続きのお遍路をした。
効率が悪い気もするが、当時は宿泊するお金もなかったし、
効率が悪いということすら気づかなかった。
スムーズにお寺を巡るうちに、私は夏休みの都区内ポケモンスタンプラリーをしている
小学生のような気持ちになっていた。
自分はなぜこんなことをしているのか。これになんの意味があるのか。
成し遂げた末に、何があるのか。
すげ笠を被って車を運転しながら根本的なことを自問自答した。

text

堀道広 Michihiro Hori

Recommend 注目のコンテンツ

Special 関連サイト

What's New 最新記事