連載
posted:2023.3.27 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島のなかでもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
https://homemakers.jp/
春がやってきますね。
小豆島では黄色のミモザ、白いモクレン、ピンクの桜、あちこちで春の花が咲いています。
鳥たちの鳴き声も増えて、日に日に春らしくなっていくのを感じます。
さて、この3月に我が家のひとり娘が中学校を卒業しました。
小豆島に移住してきた頃は、幼児園の年中さん。
それから小学校、中学校と9年間、島の学校に通い、無事に卒業。
この春からは小豆島から船に乗って高松市の高校に通うことになりました。
小豆島に引っ越すことを決めて準備をしていた頃、
「島って子どもの教育的には大丈夫なの?」と聞かれたことがあります。
そのときはなるようになる! とあまり深く考えませんでしたが、
たしかに子どもが成長するにつれていろいろ考えることも増えました。
今回はそのことを書いておこうと思います。
今の時代、「少子高齢化」という言葉をよく耳にすると思いますが、小豆島ももれなく少子高齢化。
小豆島に引っ越してきて、通い始めた幼児園の同級生は5人。
それまで通っていた愛知県の保育園と比べたらとっても小規模になりましたが、
違う年齢の子たちと触れ合うことも多く、田んぼや山道をよく歩いたりして、
自然のなかで、みんなでのびのびと過ごす様子がとてもいいなぁと感じていました。
ちなみに、小豆島にはこども園や幼稚園など全部合わせると10か所以上あり、
定員が230人ほどの大きなところもあります。
小豆島の子どもの人数はどんどん減っています。
小豆島にはふたつの行政(町)があり、
私たちが暮らしている土庄(とのしょう)町には小学校が1校、中学校が1校あります。
高校は小豆島全体で1校。
私たちが引っ越してきてから、こども園が統合され、小学校が統合され、
高校が統合され、現在も統廃合が進んでいます。
娘の中学の同級生は約90人いるのですが、
住民基本台帳ベースによると2021年の土庄町の出生数は45人。
約15年ほどで娘たちの同級生の数の半分まで減ってしまうなんて
(小豆島に引っ越してくるなどして、子どもの数が増える可能性もありますが)。
減少のスピードにびっくりしました。
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娘が島の小、中学校と通っていて、私が感じたこととしては、
・小学校も中学校もひとつだと、ずっと同じ友だち。新しい友だちが増えない。友だち関係をなかなか変えられない。
・統合した学校は家から歩いて通える距離ではないので、スクールバスでの通学になる。地域を歩くことがほとんどない。
・歩いて行ける距離に住んでいる友だちがほとんどいないので、子どもだけで気軽に遊べない。送り迎えが必要になる。
・教育水準として不満を感じたことはない(これは個人の求める内容によりますが)。
・教室から海が見える校舎なんてうらやましい。
など、いい点も悪い点もいろいろあります。
いろいろ感じながら、義務教育の9年間を過ごしてきました。
そしてその9年間が終わり、ここからは選択の幅が大きく広がります。
小豆島で暮らす子どもたちにとって、小豆島の高校に進学するか、
島の外にある高校に進学するかは大きな分かれ道です。
小豆島から毎日船に乗って、高松市の高校に通っている子たちもけっこういます。
小豆島から高松まではフェリーだと1時間、高速艇だと30分、
そのあと電車やバス、自転車などに乗って高松港から高校まで通学するのですが、
トータルで片道1時間〜1時間半程度。
港への送り迎えなど家族のサポートが必須になり、なかなか大変ですが、
その選択肢もあります。
自分が進む先について考え、選ぶことができる環境であるというのがとても大切だと思うんです。
我が家の娘は、新しい友だちに出会いたい、通学途中にスタバに寄りたい(笑)、
まちの高校に通いたい! と、高松の高校への進学を決めました。
ちなみに娘の同級生90人のうち30人ほどが高松の高校に進学すると聞いています。
今年は島の外の高校に通う子がとても多いそうです。
子どもの高校進学にあたって、いろんなことを考えました。
高校で何を学び、経験するのか、そしてその先のことも。
遠くの学校に通うことは負担じゃないのか。
大変なことももちろんあるだろうけど、
高校生って人生のなかでも最高に楽しい時期。
楽しんでほしいな、青春のど真んなか。
朝6時半のフェリーに乗って高校に通う生活がまもなく始まります。
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