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地元のお米で米麹づくり、
米麹たっぷりの味噌をつくる

小豆島日記
vol.313

posted:2023.3.13   from:香川県小豆郡土庄町  genre:暮らしと移住

〈 この連載・企画は… 〉  海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。

writer profile

Hikari Mimura

三村ひかり

みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島のなかでもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
https://homemakers.jp/

味噌づくりのための施設で米麹からつくる

小豆島で2015年から始めた味噌づくり。
今年で8年目になります。

毎年、年が明けると「今年は味噌をいつ仕込もうかねぇ」と友人と話し出します。
味噌は、大豆やお米、麦などの穀物に、塩と麹を加えて発酵させてつくる発酵食品。
暑い時期に仕込むと、温度、湿度が高いためにカビが生えやすかったり、
一気に発酵が進んでしまうことでおいしい味噌にならなかったり。
家庭でつくる場合は冬場に仕込むことが多いと思います。
私たちもだいたい2〜4月くらいに味噌づくりをして、
半年後の夏の終わり頃から食べ始める感じです。

去年仕込んだ味噌。1年経っておいしいお味噌になりました。

去年仕込んだ味噌。1年経っておいしいお味噌になりました。

今年は、島の友人と3人で味噌づくりをすることに。
私たちの味噌づくりは米麹づくりから始まります。

今年は友人と3人で味噌づくり。もうひとりは写真を撮ってくれた牧浦知子ちゃん。

今年は友人と3人で味噌づくり。もうひとりは写真を撮ってくれた牧浦知子ちゃん。

まずは味噌づくり0日目の夜、お米15キロを洗って水に浸しておきます。
15キロ! 1斗です、言い換えると10升です、つまり100合です!
洗うだけでもひと苦労。

なぜ15キロかというと、1回で15キロの米麹をつくることができる
自動製麹(せいぎく)機を使うことができるからなんです。
私たちが味噌づくりをしている場所は、地域で管理している味噌づくり専用の施設
(私たちは「みそ小屋」と呼んでいる)で、地元の人はその施設を利用できます。
そこに製麹機があり、この機械が温度を管理してくれるので、
安定した米麹をつくることができるんです。
このみそ小屋があるのは本当にありがたい。

加温したり冷却したり、温度管理をしてくれる自動製麹機。

加温したり冷却したり、温度管理をしてくれる自動製麹機。

米麹って価格がけっこう高いものなんです。
だから、米麹の割合が多い味噌は贅沢品です。
甘めのお味噌になります。

さて、水に浸しておいた15キロのお米ですが、味噌づくり1日目の朝、
ざるに上げて水をしっかり切っておきます。
水が切れたら、40分ほどお米を蒸します。

15キロのお米を2段の蒸し器3台で蒸します。お米に指で穴を開けて、全体に蒸気が行き渡るように。

15キロのお米を2段の蒸し器3台で蒸します。お米に指で穴を開けて、全体に蒸気が行き渡るように。

蒸した米4〜5粒を指で7〜8回ひねって餅になるくらいになったら、布の上に広げます。
しっかり広げて、何度もひっくり返して、人肌くらいに冷まします。
冷めたら、種麹となる麹菌(粉状になってます)をぱらぱらとふりかけて、
米全体になじませるように混ぜ込みます。

蒸したお米を広げて急いで温度を下げます。40度くらいに冷めたら麹菌をふりふり。

蒸したお米を広げて急いで温度を下げます。40度くらいに冷めたら麹菌をふりふり。

ここポイントですが、あっつあつの蒸したお米に種麹をまぶしたら、
“こうじくん”たちが死んでしまいます。
人肌くらいのやさしい温かさが快適で、その快適な環境を保つことで、
麹菌はどんどん増えていきます。

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2日目にすることは……?

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この麹菌をまぶしたお米を製麹機の中に詰め込みます。
ここから約40時間、麹菌が繁殖するのを待ちます。
途中で2回、20時間後とさらに5時間後に切り返し。
味噌づくり2日目に人間がするのはそれだけ。
かたまりになったお米を一粒一粒ほぐして、全体にまんべんなく
麹菌が広がっていくように環境を整えてあげます。

製麹機の中の麹熟成中の米麹。上下を返して、かたまりをほぐします。

製麹機の中の麹熟成中の米麹。上下を返して、かたまりをほぐします。

そして、最終日、この日は朝から大豆を煮ます。
15キロのお米は最終的に水を含んで17キロほどの米麹になるのですが、
それに対して6.5キロの乾燥大豆をあわせます。
大豆を4時間ほど煮て、親指と小指で挟んで簡単につぶれるやわらかさに。

大豆を煮るとあくがたくさんでます。しっかりあくを取ることでおいしい味噌に。

大豆を煮るとあくがたくさんでます。しっかりあくを取ることでおいしい味噌に。

これまた煮大豆をしっかり冷まします。
熱々の煮大豆と米麹をあわせてしまったら、せっかく繁殖した麹菌が死んでしまいます。
大豆が冷める間に、お弁当。
何回もお味噌をつくっていると自分たちのリズムができてくるのですが、
そういういつもと同じ流れにのって作業を進めていくって案外大切なんですよね。

煮た大豆は乾燥大豆の約2.2倍の15キロほどになります。

煮た大豆は乾燥大豆の約2.2倍の15キロほどになります。

煮大豆が冷める間、お弁当食べながら休憩。

煮大豆が冷める間、お弁当食べながら休憩。

いよいよ、米麹とご対面。
あー、うまくできているといいなぁ。
作業部屋に広がる麹の香りはいつもと同じ感じなので、きっとうまくいってるはず。
それでも毎年製麹機のふたを開けるときはちょっと緊張します。

製麹機から取り出した米麹。お米のまわりにほわほわ〜がいっぱい。

製麹機から取り出した米麹。お米のまわりにほわほわ〜がいっぱい。

おーー、うまくいった!
いい米麹ができました。

かたまりになった米麹をほぐしていきます。

かたまりになった米麹をほぐしていきます。

あとは、この米麹と塩、大豆の煮汁、煮大豆を順番に混ぜていきます。
別々に仕込んできた材料がここで一気に合わさります。
うれしい瞬間。

みそ小屋には、大きなミンサーがあるので、その機械をつかってミンチ状にしていきます。
ハンバーグをつくるみたいにみそミンチを丸めて、バンバン樽の中に投げつけて入れていきます。
なるべく空気を抜くため。

ミンサーを通してミンチ状になった味噌のもと。

ミンサーを通してミンチ状になった味噌のもと。

味噌ミンチを丸めて樽に詰め込んでいきます。(撮影:牧浦知子)

味噌ミンチを丸めて樽に詰め込んでいきます。(撮影:牧浦知子)

3日にわたる味噌づくり。無事に終わりました。
人間ができることはここまで。
あとは半年間、菌たちにがんばってもらいましょう。

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ひとつひとつの作業に意味がある

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味噌づくりに使った材料は?

最後に材料をまとめておきます。

・米…15キロ

 小豆島産のお米を使います。

・大豆…6.5キロ

 ネットでまとめて注文しました。いつか自分たちで育てた大豆を使ってみたい。

・塩…3.7キロ

 最終的な塩分濃度としては9.8%になります。

・種麹…20グラム

 京都の種麹屋さんから購入しています。

・種水(大豆の煮汁)…2キロほど

 味噌のかたさを調整するために、最後に材料を混ぜるときに大豆を煮た汁を使います。

米麹づくりから始まる味噌づくり。
時間がかかって大変ですが、それでも地元のお米を使って味噌を仕込めるのはうれしい。
それと、最初は教えてもらったとおりにただただ真似してつくっていましたが、
ひとつひとつの作業に意味があるわけで、なんで? どういう仕組み? 
を調べて理解していくことがおもしろい。

なんで米を蒸すのか? 米麹っていったいどういうものなのか? 
麹菌はどんな働きをしているのか?
実際につくってみなければ、そんな興味は湧いてこないだろうし、
調べるだけだとすぐに忘れてしまう。

つくりながら理解していく、このほうがいいんじゃないかと改善していく。
そして、自分たちの味噌づくりスタイルができあがっていく。
ものづくりってそういうところがおもしろいなと思います。

今年もおいしいお味噌ができますように!

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