連載
posted:2022.7.18 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
https://homemakers.jp/
むむむ、蒸し暑い(涙)!
日本の夏はどうしてこうも蒸し暑いのか……。
高温と多湿がタブルでパンチしてきます。
夏バテしないように、とにかくちゃんと食べてちゃんと寝て、
健康管理をしっかりしないといけないですね。
しかし、こう蒸し暑いと食欲もなんとなく減退気味。
……なんですが、こんな時期だからこそ、
おいしい夏野菜をたくさん食べてほしいと思います。
夏野菜といえば、その存在だけで主役級のトマト、トウモロコシから始まり、
油料理と相性のいいナス、ピーマンなんかが人気かもしれませんが、
今回紹介したいのは、キュウリ!
みんな知っているキュウリ。
庶民の野菜って感じですよね。
夏にはたくさん採れすぎて食べきるのに困ったり、スーパーでも安く売られていたり
(ときどき価格が上がるとキュウリなのに高い! と思われたり)、
もう少し貴重な存在として認めてあげたい(笑)。
キュウリっておいしいんです。
まさに今みたいな蒸し暑い時期には主役になれるんです!
ということをお伝えしたいなと。
〈HOMEMAKERS(ホームメイカーズ)〉の畑では、
「四葉キュウリ」を育てています。
「四葉」と書いて、「すうよう」と読みます。
中国から渡ってきた品種で、株に本葉が4枚ついた頃から実がなるので
この名がついたといわれています。
一般的なキュウリと比べると大きく、長さ30センチほどに成長します。
表面には白いイボイボがあって、シワもよっているので、
ゴーヤに見間違えられることがありますが、キュウリです。
このイボイボというかトゲトゲのある四葉キュウリ、
今ではスーパーなどではほとんど見かけなくなってしまいました。
昔はイボイボのキュウリが普通でしたが、年々品種改良が進み、
今ではイボなしつやつやキュウリが流通しているキュウリの主流です。
というのも、このイボはちょっと触っただけでポロポロと取れてしまい、
イボがとれたところから傷みやすく、収穫や出荷作業のときとても気を使います。
そんな理由で四葉キュウリはあまり流通しないようになってしまいました。
でも、なんで四葉キュウリを育てているのか?
おいしいから! 好きだから!
四葉キュウリは皮が薄くて歯切れがいいのが特徴。
ポリポリというかバリバリというか、表現が難しいのですが、
漬けものやたたきにすると、あー、この食感がいいって感じます。
それとキュウリの香りがしっかりします。
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おいしく食べるポイントはふたつ。
まずはとにかく新鮮なうちに食べること。
95%ほどが水分であるキュウリは、とにかく新鮮でジューシーなものがおいしいです。
時間が経ってしまい、薄くカットされたキュウリほど悲しいものはないです。
水分が蒸発して紙みたいだし味もしないし……。
マヨネーズの味しかしないやつです。
新鮮であることはほとんどの野菜に共通するおいしさの条件
(さつまいもなど保管したほうがおいしくなる野菜もあります)。
産直市場や農家からの直送販売などを利用して、新鮮なキュウリを選んでみてください。
もうひとつ、キュウリの皮の下ごしらえです。
うちではキュウリの皮をむいて食べることがあります。
全部じゃなくて、ところどころ残しながら、
皮があるところとないところで縦縞ができるイメージで。
イボも気にならなくなるし、食感もちょうどよく、味もしみこみやすいんじゃないかと。
お皿に盛ったときもきれいなんですよね。
皮をむかないときは、「板ずり」といって、
まな板の上でキュウリに塩をふってから転がしてイボを落とすこともあります。
表面がなめらかになって食感がよくなります。
さてさて、おいしいレシピですが、一番簡単なのは切ってお皿に盛る!
切るだけなんてもうレシピでもないですが、
下ごしらえさえしておけば料理自体はシンプルでいいんです。
そのまんまを楽しむ。素材がよければそのままがおいしいです。
食べるときに好きなドレッシングやマヨネーズなんかをつけてもいいですし。
持ちやすいようにスティック型にカットするのもいいですよね。
ひと手間かけるなら、「たたきキュウリ」がおすすめです。
キュウリをまな板の上に置いて、回転させながらめん棒とかすり棒でたたきます。
キュウリが潰れてしまうほどの強さではなく、割れ目が入るくらい。
あとは手で食べやすい大きさにちぎります。
こうすることで味が染み込みやすくなります。
味つけは、ごま油、醤油などお好みで。ちょっと豆板醤を入れてピリ辛にしても。
さらに暑〜い夏のお昼に食べたいのは「キュウリの冷や汁」。
キュウリを薄い小口切り(輪切り)にして、塩もみしてしんなりさせます。
すりごまと味噌とだし汁をあわせたものを冷やしておいて、
キュウリを入れればできあがり。
細かく刻んだみょうがや大葉が加わるとさらにおいしい。
まだまだ蒸し暑い夏が続きそうです。
さすがにキュウリだけでは夏は乗り切れませんが(笑)、
夏の食卓においしいキュウリを並べてくださいね。
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