連載
posted:2022.4.25 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住 / アート・デザイン・建築
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
https://homemakers.jp/
3年に一度開催されるアートイベント〈瀬戸内国際芸術祭2022〉。
春・夏・秋の3会期に分けて開催されますが、
4月14日より春会期が始まっています。
舞台となる瀬戸内の島々と高松港、
宇野港ではさまざまな作品が公開されていて、
訪れる人々で賑わっています。
今回の芸術祭、新型コロナウイルスの影響でどうなるのか、
島で暮らす私たちも直前までわからないことばかりでしたが、
今はざっと以下のような状況です。
・予定通り、春会期(2022年4月14日~5月18日)が開催されています。
・スタートから4日間の来場者数は、前回開催時の2~4割ほどで穏やかに始まった感じです。
・海外の作家さんの作品など、まだ制作中のものもいくつかあります(公開スケジュールは芸術祭の公式Webサイトで確認できます)。
・屋内の作品など有料作品を鑑賞する場合、検温・体調確認済の専用リストバンドを掲示する必要があります。リストバンドは検温スポットでしか受け取れないので、事前に検温スポットの場所を確認しておくのをおすすめします。
来る人も、迎える人もいろいろ心配なことがあるかもしれませんが、
感染対策&鑑賞マナーを守って、芸術祭の作品、そのまわりの風景、
島での時間を積極的に楽しんでいただけたらいいなと私は思っています。
春会期は、とても気持ちのいい季節ですよ~。
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さて、私たちは芸術祭が始まる直前、男木島に遊びに行ってきました。
男木島も芸術祭の会場です。
平地がほとんどない小さな島で、斜面に密集して民家が立ち並んでいます。
細い坂のある風景がとても美しく、そのところどころから瀬戸内海を望むことができます。
ちなみに男木島と小豆島の面積を比較すると、
男木島1.34平方キロメートル、小豆島153平方キロメートル、
そんなに違うのかとびっくりしました。
男木島が小さいのか、小豆島が大きいのか、
同じ瀬戸内海の島でも、大きさも暮らし方も大きく違うので、
芸術祭の作品も島によっていろいろです。
今回、男木島へは、島で暮らす友人たちに会いにいきました。
芸術祭の作品もいいのですが、男木島を訪れたらぜひ行ってほしいのが
その友人たちのお店。
まず1軒目は〈ダモンテ商会〉。
商会? 何を売ってるんだろう? そもそもダモンテってどういう意味?
と、「?」がいっぱいになりそうです。
その成り立ち、思いから説明すると長くなり過ぎそうなので、
ここではまず表向きとして築100年ほどの納屋を改修した
ベーカリーカフェとお伝えします。
そう、どなたでも気軽に訪れることができるお店。
そしてなんと春会期中は無休で毎日営業されるそうです。
めちゃくちゃおいしいパン、サンド、焼き菓子、ドリンクなどを
テイクアウトで楽しむことができます。
そのカフェを営むダモンテ夫妻、小さなボーイズを育てながら、
パンを焼くための小麦を育て、鶏も育てているんです。
それからイノシシを捕まえて精肉までするハイパーなふたり。
そんなにいろいろできちゃう人だと、話すのに緊張しちゃいそうですが、
ユーモアとどこか力の抜けた感じがあって、会いに行っていろいろ話したくなるんです。
芸術祭の期間中はきっと忙しくてゆっくりお話するのは難しいかもしれませんが、
ぜひ訪れてほしいお店です。
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それともう1軒は〈象と太陽社〉。
山口夫妻が営むハーブ園とヘアサロンと小さなカフェです。
芸術祭期間中は、つきうみバールというお店を開いているそうです。
ランチ、ドリンクのテイクアウトのほか、
ハーブティーなどお土産も買うことができます。
この屋台みたいな建物がラフでなんともかっこいいんです。
店の前にはタープが張ってあって、そこからの眺めはまさに絶景。
そこでぼーっとしていると
「あー、これが私たちの憧れている島暮らしだな」と思うわけで
(実際には男木島で暮らす人たちはいつもぼーっとしてるわけじゃないだろうし、
憧れだけでは男木島で暮らせないだろうなと思いますが)。
ここで時間を過ごしていたら、
「君たち、せかせか働きすぎだぞ」と言われた気がしました。
そんなことを感じさせてくれる場所です。
今回はたった2時間ちょっとの男木島滞在でしたが、
あー、やっぱり男木島が好きだなとあらためて思いました。
ぜひ訪れてほしい島です。
芸術祭期間中は、きっと多くの人が訪れると思います。
特に連休は船が満員で乗れないなんてこともあるかもしれません。
事前に状況を確認したり、予約できるところは予約したりして、
瀬戸内の芸術祭を楽しんでいただけたらと思います。
information
瀬戸内国際芸術祭2022
春会期:2022年4月14日(木)~5月18日(水)
夏会期:2022年8月5日(金)~9月4日(日)
秋会期:2022年9月29日(木)~11月6日(日)
会場:直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島、沙弥島、本島、高見島、粟島、伊吹島、高松港周辺、宇野港周辺
Web:瀬戸内国際芸術祭2022
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