連載
posted:2022.3.14 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
https://homemakers.jp/
この1~2年で、働き方や暮らし方が
大きく変わったという方は多いのではないでしょうか。
いままで毎日電車で1時間かけて通勤してたのに、
その通勤がなくなり家で働くことになった。
1週間の半分くらい夜は飲みに行ってたのに、ほぼ行かなくなった。
都会で暮らしていたけど、地方に引っ越した。
などなど、いろんな変化があったと思います。
そんな変化のひとつに、以前はよく外食してたのに、
いまはほとんど家でごはんを食べるようになった! という方、多いと思います。
私も名古屋で暮らしていたときはよく外食していました。
平日のお昼ごはんは、オフィス近くのごはん屋さんやカフェで
よくランチしてましたし、仕事終わりに飲みに行くことも多かったです
(子どもができてからはなかなか行けなくなりましたが)。
とにかく、まちには飲食店がめちゃくちゃたくさんあって、
とりあえずあの店に入ろうかという感じでいけちゃうんですよね。
外食することが普通でした。
小豆島に引っ越してからは、それがぐっと減りました。
なぜなら単純に飲食店が少ないし、営業時間も短いから(笑)。
ふらっとカフェに立ち寄るなんてことはほぼなく、事前に営業日時を調べて、
そこに行こうと決めて、わざわざ行くという感じ。
観光客の人に、夜ごはんおすすめありますか? とよく聞かれますが、
夜遅くまで開いてるお店は少ないし、予約制のところが多いです。
下手すると夜ごはん食べそびれちゃったりするので要注意です。
都会と田舎では外食事情は大きく違いますね。
そう、私たちはコロナ関係なく、外食することは少なくて、家で食べることが多いです。
もともと外でごはんを食べることが好きな私たちにとって、
最初は仕方なくという感じでしたが、
最近ではポジティブに家で食べようと思うことが増えました。
なぜなら、家ごはんがおいしいから!
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最近ふと思ったことがあります。
毎日毎日おいしいごはんを食べてるなぁと。
星つきのレストランとか、有名店とかじゃなくて、うちの食卓で。
うちには、採れたての野菜がいつもあります。農家なので!(笑)
自分たちでつくった味噌と梅干しがあります。
近所の方が育ててくれたこだわりのおいしいお米があります。
友人が絞ってくれたオリーブオイルがあります。
小豆島の醤油もあります。瀬戸内海の天日塩もあります。
そして最近だと瀬戸内の牡蠣があります。もう少ししたら鰆(さわら)がきます。
もうほんっとにおいしい食材があふれてます。
もちろんなんでもかんでも全部近くで揃うわけではないので、
ないものは食べない、どうしても食べたいときは知り合いや好きなお店から仕入れたり、
スーパーでおいしそうなのを探すこともあります。
そうして、そろった食材を料理する。
おいしい食材がそろったからって、簡単においしいものがつくれるわけじゃないですが、
ちょっと料理するテンションがあがるはず。
料理が好きな人はいいですが、苦手な人(私も!)は
誰かと一緒に料理することをおすすめします。
家族とだったり、友人とだったり、
オンラインで離れたところに暮らすお母さんと一緒につくってみたり。
さぁ、できた料理を食卓に並べていただきましょう。
家でごはんを食べることを楽しむ。
昔はそれが当たり前だったのだろうけど、働き方が変わって、
暮らし方が変わって、飲食店が増えて、外食することが増えました。
でもいま、コロナの影響で、家でごはんを食べる機会が増えて、
それならその時間を楽しくしたい、おいしくしたいという気持ちになり、
ちょっといい食材を仕入れてみたり、いつもと違う料理に挑戦してみたり。
その結果、家ごはんっていいね! が増えていく。
と、なんだか幸せも増えていくんじゃないかなと。
少し前に『きのう何食べた?』というドラマを見ました。
シロさんとケンジと呼び合う恋人同士が一緒に暮らす家の
食卓での時間を中心に描かれているお話なのですが、
料理をしている時間、ふたりでごはんを食べてる時間、
その様子がなんとも愛おしくて心が温かくなるんです。
家の食卓には、それぞれの家の味があって、にぎやかだったり、
静かにゆっくりだったり、それぞれの家の時間がある。
きっとみなさんの家の食卓にもおいしい! がありますね。
少しでもそれが増えていくといいなと思っています。
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