〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
https://homemakers.jp/
2月後半、小豆島でも寒い日が続いていますが、
立春(2月4日)を過ぎ、春の日差しを感じる日が少しずつ増えてきました。
日もだいぶ長くなり、夕方5時でもまだ明るいねと話しながら畑仕事しています。
外で仕事していると、そんなちょっとした季節の変化に敏感になります。
さて、この2月後半~3月後半にかけて楽しみな野菜があります。
それは「ナバナ」!
先日いつものようにみんなで野菜出荷作業をしていて、
「ナバナって都会で暮らしているときはスーパーで見かけても
あんまり魅力を感じなかったし、買わなかったよね~」
「わかるわ~。あの紙でぐるっと巻かれて四角くなってるやつよね」
そんな話をしてました。
その日は「チンゲンナバナ」の初ものを収穫、出荷しました。
チンゲンナバナ? チンゲン菜?
チンゲン菜はみなさんよく知っていると思いますが、
チンゲンナバナはチンゲン菜のナバナなんです。
ナバナというのは、小松菜や白菜、チンゲン菜、かぶなど
アブラナ科の野菜が花を咲かせようと「とう立ち」した葉茎とつぼみの部分。
だから、小松菜のナバナ、白菜のナバナ、チンゲン菜のナバナなど、
いろんな種類のナバナがあるんです。
味も見た目も違っていて、ナバナは春の楽しみな野菜のひとつです。
昔はあまり魅力を感じなかった野菜ですが、
いまや私たちにとってナバナはテンションが上がる春の楽しみな野菜!
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ちなみになんでナバナは春が旬なのか。
植物のとう立ちの仕組みって本当におもしろいんです。
そもそもとう立ちの「とう」は、花を咲かせるための花芽のついた茎のことで、
その茎がにょきにょき伸びてきた状態のことを「とう立ち」と言います。
このとう立ちが始まるきっかけは、野菜の種類によって違っていて、
温度や日の長さなどが関係しています。
アブラナ科の野菜は、種まきをした時から低温に一定期間さらされると、
とう立ちが始まります。
つまり、春になって暖かくなったからとう立ちして花を咲かすんじゃなくて、
冬の寒い期間を一定期間過ごしたから花が咲くんです。
その頃に春がやってくるというわけ。
いやー、植物っておもしろい、野菜っておもしろいんです。
はい、植物豆知識はいったん置いておいて、
白菜のナバナやチンゲンナバナはどこで手に入るのか、
どうやって食べたらおいしいのか、という話ですが、
普通のスーパーで見かけることはほぼないと思います。
茎が伸びて花が咲くまでのわずかな期間に収穫しなければならず、
収穫にも出荷にも手間がかかるので、
手間と価格が見合わず流通させにくい野菜なのかもしれません。
道の駅などの産直市場や野菜通販などで探してみると出合えるかも。
おいしい食べ方ですが、まずはナバナを塩茹でしましょう。
茎のほうは柔らかくなるまで1~2分、つぼみのほうはさっと30秒でいいくらい。
茹で終わったらザルにあげて、冷水で冷まし、軽く水をしぼります。
味つけは好みで。おひたしに、ごま油などと和えてナムルに、私は白みそ和えも好き。
茹でずに、お肉などと炒めてもOK。パスタの具にしてもいいですね。
さぁ、もうそろそろ冬もおしまい。
春に向かって旬のナバナ、ぜひ味わってみてください。
information
HOMEMAKERS
住所:香川県小豆郡土庄町肥土山甲466-1
営業時間:土曜のみ 11:00~17:00(L.O. 16:00)*冬季休業(2022年3月5日から営業再開予定)
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