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住み続けて10年、
古い家を直しながら快適に暮らす

小豆島日記
vol.287

posted:2022.2.7   from:香川県小豆郡土庄町  genre:暮らしと移住

〈 この連載・企画は… 〉  海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。

writer profile

Hikari Mimura

三村ひかり

みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
https://homemakers.jp/

農家にとって大切な冬時間、どう過ごす?

穏やかな冬の日が続いています。
毎年1、2月は〈HOMEMAKERS CAFE(ホームメイカーズカフェ)〉の営業を
冬季休業としてお休みさせていただき、
いつもより少しゆっくりとした時間を過ごしています。
私たち農家にとって大切な休息期間です。

休息といっても、ぐーたらしてるわけではなく、
ここぞとばかりにやりたいことをしています。
山歩きや岩登りにでかけたりすることもあれば、
家の気になっていた場所の片づけをしたり。

それからちょっと話がそれますが、新年早々、
庭で鳴き続けていたチビ猫を保護することになり、そのお世話をしたり(笑)。

毎日うちから眺めている「大麻山(たいまさん)」を登りました。山の上から自分たちの家や畑が見える〜。

毎日うちから眺めている「大麻山(たいまさん)」を登りました。山の上から自分たちの家や畑が見える〜。

新年早々、家の庭で保護したチビ猫ちゃん。お世話の日々。

新年早々、家の庭で保護したチビ猫ちゃん。お世話の日々。

そして、この冬は少し大きな改装工事をしています。

私たちが暮らしている家は曾祖父ちゃんの代に建てられた築130年以上の古い家です。
木造の農村民家。ここに住み始めた頃、
家の一部をカフェとしてオープンするために大規模な工事をしました。
ほぼすべての部屋の床をめくってシロアリの駆除、基礎の補強工事をし、
お風呂や洗面所、トイレを新しく設置、大きな本棚をつくったり。

2013年の家の改修工事。自宅の一部をカフェとして改修しました。

2013年の家の改修工事。自宅の一部をカフェとして改修しました。

あれからもうすぐ10年、壁を塗ったり、レイアウト替えしたり、
少しずつ手を入れながら住み続けてきました。

住み続けていると、もっとこうだったらいいのになぁという部分が見えてきます。
家って毎日毎日過ごす場所で、ごはんをつくったり食べたり、
パソコン仕事をしたり、書きものをしたり、映画を見たり、洗濯をしたり、
とにかくいろんなことをしています。
ここに収納棚があったらいいのになぁ、この作業台がもっと広かったらいいのになぁ、
冷蔵庫こっち向きのほうが便利だよなぁとか、そういう小さな思いがいっぱい。

ま、でも不便なことにも慣れてしまって、慣れてしまってというか
なんだかんだとごまかしながら日々は過ぎていきます。

いやいや、家に対する「もっとこうしたい」という思いは大事にすべきだと思うんです。
もちろん工事の内容によってはお金がかかるので
そこはやりくりが必要だし、時間もパワーも必要。
だけど、よいしょして、家を直していく。
自分たちがより快適に過ごせる場所に家を育てていくことが、
私たちにとっては最高の楽しみだったりします。

譲ってもらった古材でキッチンの作業台をつくります。

譲ってもらった古材でキッチンの作業台をつくります。

新しくできた作業台になんだなんだと寄ってくる猫のヨーダ(2019年夏に保護して一緒に暮らしてます)。

新しくできた作業台になんだなんだと寄ってくる猫のヨーダ(2019年夏に保護して一緒に暮らしてます)。

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ついに、念願のアレを導入…!

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解体するもの、新しく取り入れるもの

というわけで、いまどんな工事をしているかというと、
この家の土間にあった「かまど」、レンガ積みでとてもすてきで
壊すのが惜しくて、ずっと残してきたけれど、解体することにしました。

カフェのキッチンのど真ん中にあるのにほとんど使っておらず、
ただの物置になってしまっていました。
古き良きものはなるべく壊さずに使い続けたいとは思いますが、
自分たちの暮らしに合わない場合、かたちを変えることも必要かなと。
キッチンの作業台、収納棚を新設し、
スタッフのみんなが快適に料理したり片づけたりしやすいように。

レンガ積みのかまど。すてきなのでずっと残していました。

レンガ積みのかまど。すてきなのでずっと残していました。

しばらく火を入れることもなかったし、思い切って解体することに。レンガはなるべく割らずに再利用する予定。

しばらく火を入れることもなかったし、思い切って解体することに。レンガはなるべく割らずに再利用する予定。

解体されたかまど跡。カフェのキッチンがだいぶ広くなりました。

解体されたかまど跡。カフェのキッチンがだいぶ広くなりました。

それから、最近は野菜やシロップなどの加工品を直接買いに来てくれる方が増えたので、
商品の販売スペースやレジカウンターなどを新たに造作。
これはまだこれからの作業で、
カフェの冬季休業期間中に工事が完了するのか不安……(汗)。

そしてもうひとつ。10年越しの薪ストーブ! 
もうずっと薪ストーブを導入したいなぁと思っていましたが、この冬ようやくです。

コロカルの連載「暮らしを考える旅 わが家の移住について」の津留崎家にも相談。
「憧れの薪ストーブ導入! 薪ストーブの選び方から煙突工事、設置まで」
の記事も大いに参考にさせていただきました。
なんと検討していた薪ストーブが同じもので、もうそれなら決定だねと、
津留崎家と同じ薪ストーブになりました。

薪ストーブ届きました! これから設置工事を始めます。

薪ストーブ届きました! これから設置工事を始めます。

私たちの家は、暮らす場であり、仲間と一緒に働く場でもあり、
週に1回開いていろんな人と出会う場でもあります。
手を入れて少しずつ家を直していく。
やっぱり楽しいなぁとあらためて感じています。

カフェのキッチンは、〈HOMEMAKERS〉のまかないごはんをつくったり、みんなが使う場所。快適な場所にしたい。

カフェのキッチンは、〈HOMEMAKERS〉のまかないごはんをつくったり、みんなが使う場所。快適な場所にしたい。

新設した棚に鍋などを並べてみる。うれしいなぁ。

新設した棚に鍋などを並べてみる。うれしいなぁ。

カフェ工事中、食器や道具が散乱してます(汗)。3月5日(土)カフェ再開を目指して!

カフェ工事中、食器や道具が散乱してます(汗)。3月5日(土)カフェ再開を目指して!

さて、そんな冬時間もあと1か月をきりました。
今年のホームメイカーズカフェ再開は3月初旬になりそうです。
工事がんばりまーす!

information

map

HOMEMAKERS 

住所:香川県小豆郡土庄町肥土山甲466-1

営業時間:土曜のみ 11:00~17:00(L.O. 16:00)*冬季休業(2022年3月5日から営業再開予定)

https://homemakers.jp/

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