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「おいしい!」が人を元気にする。
新玉ねぎとベビーニンジンのかき揚げの
まかないレシピ

小豆島日記
vol.269

posted:2021.4.19   from:香川県小豆郡土庄町  genre:暮らしと移住 / 食・グルメ

〈 この連載・企画は… 〉  海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。

writer profile

Hikari Mimura

三村ひかり

みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
https://homemakers.jp/

大忙しの農家の春、一番の楽しみは……?

小豆島で農業を始めて、9回目の春を迎えています。
春はいつも、生姜の植え付け、夏野菜の植え付け、さつまいもの植え付けなどなど、
どれもこれも待ったなしで、連日何かに追われています(汗)。
多品目の野菜を栽培している私たち〈HOMEMAKERS〉にとって、4月は大忙しの日々。
とにかくひとつひとつやることを進めていくしかなく、
毎日日が暮れるまで畑で作業しています。

春の畑でブロッコリーの収穫。気温が上がり、野菜の成長スピードも加速。気を抜くとすぐに収穫タイミングを逃してしまう。

春の畑でブロッコリーの収穫。気温が上がり、野菜の成長スピードも加速。気を抜くとすぐに収穫タイミングを逃してしまう。

トマトの苗を定植。まだまだ定植待ちの夏野菜がいっぱい。

トマトの苗を定植。まだまだ定植待ちの夏野菜がいっぱい。

球が大きくなり茎が倒れた新玉ねぎ。辛味が少なくみずみずしいので生のままでも楽しめる!

球が大きくなり茎が倒れた新玉ねぎ。辛味が少なくみずみずしいので生のままでも楽しめる!

最近は週に2日、野菜の収穫&発送作業をしているのですが、
その2日間はいつもに増してバタバタ!
まずは朝一番でその日の出荷内容をみんなで確認。
「今日はサナア(畑の名前)のコカルドレッドオークレタスを優先して出荷ね」
「あやめ雪かぶは葉を落として出荷ね」

そのあと畑チームは猛烈なペースで収穫、出荷チームはダンボールを組み立てたり、
納品書や送り状の準備をしたり。

毎回10種類ほどの野菜を順番に収穫していき、
軽トラが出荷作業場に戻ってくるとすぐに出荷の調整作業が始まります。
洗ったり切ったり、重さを量って小分けにしていきます。
虫がまぎれてないか、傷みはないか、そんなチェックをひとつひとつしながら袋詰め。

いまの時期だと、ケールから始まり、レタス、ブロッコリー、
新玉ねぎ、ベビーニンジン、あやめ雪かぶ、ナバナ、葉ネギなど。
荷物の集荷時間16時ぎりぎりまでいつも作業が続きます。

野菜の出荷作業日。収穫してきたらすぐに小分けしていきます。

野菜の出荷作業日。収穫してきたらすぐに小分けしていきます。

ケールミックスの袋詰め。ケールは乾燥に弱くすぐにしなっとなってしまうので、急いで作業。

ケールミックスの袋詰め。ケールは乾燥に弱くすぐにしなっとなってしまうので、急いで作業。

まだ球が大きくなる前の赤玉ねぎ。ほんとはもっと大きくなってから収穫するのですが、この若いときもおいしい。

まだ球が大きくなる前の赤玉ねぎ。ほんとはもっと大きくなってから収穫するのですが、この若いときもおいしい。

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野菜が主役の農家のまかないごはん!

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どんなに忙しくても欠かさないのは、午前中のお茶休憩とお昼のまかないごはん!
いつもこの時間を楽しみに、私はがんばって働いてます(笑)。

お昼のまかないごはんを担当してくれるのは、野菜の料理がとっても上手な渡辺宣くん。
初もの(そのシーズン初めて収穫したもの)を試食用に料理してもらったり、
その日収穫した野菜のB品(傷があったり、形が悪かったり、虫食いがあるものなど)を
大量に使ってもらったり。

新玉ねぎは3月~5月頃まで収穫。一気に全部収穫してしまわず、注文分ずつ収穫&発送していきます。

新玉ねぎは3月~5月頃まで収穫。一気に全部収穫してしまわず、注文分ずつ収穫&発送していきます。

新玉ねぎの蒸し焼き。どーんと主役!

新玉ねぎの蒸し焼き。どーんと主役!

HOMEMAKERSのまかないごはんは野菜が主役! 
お肉や魚の料理がなくても、お腹も心もいつもいっぱいになります。

葉も食べてほしいベビーニンジン。でもニンジンの葉ってどう料理したらいいか悩みますよね。

葉も食べてほしいベビーニンジン。でもニンジンの葉ってどう料理したらいいか悩みますよね。

オリーブオイルでからめて丸ごとローストしたベビーニンジン。パリパリに焼けた葉が香ばしくてなんともおいしい。

オリーブオイルでからめて丸ごとローストしたベビーニンジン。パリパリに焼けた葉が香ばしくてなんともおいしい。

先日の出荷作業日、ようやくお昼ごはんの時間になり、
いつものように「お腹すいた~」と、みんなでお昼ごはんを食べるテーブルに向かうと、
なんとそこには揚げたてのかき揚げが!! 
みんなのテンション急上昇(笑)。

かき揚げの中には、採れたての新玉ねぎとベビーニンジンとその葉が。
「ん~~~~~! うまっ」
これは止まらない。

ちなみにこの日は、近所のお母さんがすぐ近くの山で掘ってきてくれた
たけのこで「たけのこご飯」。6合炊いたのですが、8人でほぼ完食。
高校生男子みたいな勢いでみんな食べてました。

たけのこご飯ってそれだけで幸せになる。おいしい素材がすぐ近くにあるってほんとにありがたい。

たけのこご飯ってそれだけで幸せになる。おいしい素材がすぐ近くにあるってほんとにありがたい。

私、思うんです! 
「おいしい!」が人を元気にするのは真理だと。
もりもり食べられちゃうし、がんばって働ける。

そのおいしい! を生み出すために必要なのは、
おいしい素材があること。
料理する人がいること。
みんなで食べること。
この3つが揃ってるってほんとにすごいなと。

野菜がいっぱいでうれしい花見ごはん。

野菜がいっぱいでうれしい花見ごはん。

すぐ近くにある「肥土山農村歌舞伎舞台」の桜の木の下でまかないごはん。

すぐ近くにある「肥土山農村歌舞伎舞台」の桜の木の下でまかないごはん。

実はHOMEMAKERSのWebサイトにも書いてあるのですが、

「Farm, Cook, Eat together.
おいしい野菜のある食卓をみんなで囲もう」

が、私たちの大切にしたいこと。
自分たちが育てた新玉ねぎとベビーニンジンをかき揚げにして、
おいしいねって言いながらみんなで一緒に食べる。
まさにこれなんだなとあらためて思いました。

1日3食食べるとすると1年で約1000回食事をすることになります。
80年で8万回。そんな何万回かの食事の中のたった1回の食事だけど、
私たちの体はその「食」の積み重ねでできていて、
だからこそ1回のごはんを大切にしたい。
体だけじゃなくて、きっと心にも影響してる。

高価な食材はひとつも使ってないけど、採れたての野菜でつくるかき揚げは本当にごちそうだと思った。

高価な食材はひとつも使ってないけど、採れたての野菜でつくるかき揚げは本当にごちそうだと思った。

「新玉ねぎとベビーニンジンのかき揚げ」は春限定のおいしいレシピ!

1 新玉ねぎを薄切り、ベビーニンジンを斜め切りに、

ニンジンの葉を食べやすい大きさにカット。

2 カットした野菜をボウルに入れて、薄力粉を加えてざっくり混ぜる。

野菜と薄力粉をからませるイメージ。

3 そこに水を加えてざっくり混ぜます。

新鮮な新玉ねぎ、ベビーニンジンは水分が多いので、

いつもの天ぷら衣よりも少なめの水で。水の代わりに炭酸水を使うとよりからっと!

4 170~180度の油でいい色になるまで揚げる。

おいしい食卓を!

information

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HOMEMAKERS 

住所:香川県小豆郡土庄町肥土山甲466-1

営業時間:土曜のみ 11:00~17:00(L.O. 16:00)

https://homemakers.jp/

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