連載
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
https://homemakers.jp/
小豆島で農業を始めて、9回目の春を迎えています。
春はいつも、生姜の植え付け、夏野菜の植え付け、さつまいもの植え付けなどなど、
どれもこれも待ったなしで、連日何かに追われています(汗)。
多品目の野菜を栽培している私たち〈HOMEMAKERS〉にとって、4月は大忙しの日々。
とにかくひとつひとつやることを進めていくしかなく、
毎日日が暮れるまで畑で作業しています。
最近は週に2日、野菜の収穫&発送作業をしているのですが、
その2日間はいつもに増してバタバタ!
まずは朝一番でその日の出荷内容をみんなで確認。
「今日はサナア(畑の名前)のコカルドレッドオークレタスを優先して出荷ね」
「あやめ雪かぶは葉を落として出荷ね」
そのあと畑チームは猛烈なペースで収穫、出荷チームはダンボールを組み立てたり、
納品書や送り状の準備をしたり。
毎回10種類ほどの野菜を順番に収穫していき、
軽トラが出荷作業場に戻ってくるとすぐに出荷の調整作業が始まります。
洗ったり切ったり、重さを量って小分けにしていきます。
虫がまぎれてないか、傷みはないか、そんなチェックをひとつひとつしながら袋詰め。
いまの時期だと、ケールから始まり、レタス、ブロッコリー、
新玉ねぎ、ベビーニンジン、あやめ雪かぶ、ナバナ、葉ネギなど。
荷物の集荷時間16時ぎりぎりまでいつも作業が続きます。
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どんなに忙しくても欠かさないのは、午前中のお茶休憩とお昼のまかないごはん!
いつもこの時間を楽しみに、私はがんばって働いてます(笑)。
お昼のまかないごはんを担当してくれるのは、野菜の料理がとっても上手な渡辺宣くん。
初もの(そのシーズン初めて収穫したもの)を試食用に料理してもらったり、
その日収穫した野菜のB品(傷があったり、形が悪かったり、虫食いがあるものなど)を
大量に使ってもらったり。
HOMEMAKERSのまかないごはんは野菜が主役!
お肉や魚の料理がなくても、お腹も心もいつもいっぱいになります。
先日の出荷作業日、ようやくお昼ごはんの時間になり、
いつものように「お腹すいた~」と、みんなでお昼ごはんを食べるテーブルに向かうと、
なんとそこには揚げたてのかき揚げが!!
みんなのテンション急上昇(笑)。
かき揚げの中には、採れたての新玉ねぎとベビーニンジンとその葉が。
「ん~~~~~! うまっ」
これは止まらない。
ちなみにこの日は、近所のお母さんがすぐ近くの山で掘ってきてくれた
たけのこで「たけのこご飯」。6合炊いたのですが、8人でほぼ完食。
高校生男子みたいな勢いでみんな食べてました。
私、思うんです!
「おいしい!」が人を元気にするのは真理だと。
もりもり食べられちゃうし、がんばって働ける。
そのおいしい! を生み出すために必要なのは、
おいしい素材があること。
料理する人がいること。
みんなで食べること。
この3つが揃ってるってほんとにすごいなと。
実はHOMEMAKERSのWebサイトにも書いてあるのですが、
「Farm, Cook, Eat together.
おいしい野菜のある食卓をみんなで囲もう」
が、私たちの大切にしたいこと。
自分たちが育てた新玉ねぎとベビーニンジンをかき揚げにして、
おいしいねって言いながらみんなで一緒に食べる。
まさにこれなんだなとあらためて思いました。
1日3食食べるとすると1年で約1000回食事をすることになります。
80年で8万回。そんな何万回かの食事の中のたった1回の食事だけど、
私たちの体はその「食」の積み重ねでできていて、
だからこそ1回のごはんを大切にしたい。
体だけじゃなくて、きっと心にも影響してる。
「新玉ねぎとベビーニンジンのかき揚げ」は春限定のおいしいレシピ!
1 新玉ねぎを薄切り、ベビーニンジンを斜め切りに、
ニンジンの葉を食べやすい大きさにカット。
2 カットした野菜をボウルに入れて、薄力粉を加えてざっくり混ぜる。
野菜と薄力粉をからませるイメージ。
3 そこに水を加えてざっくり混ぜます。
新鮮な新玉ねぎ、ベビーニンジンは水分が多いので、
いつもの天ぷら衣よりも少なめの水で。水の代わりに炭酸水を使うとよりからっと!
4 170~180度の油でいい色になるまで揚げる。
おいしい食卓を!
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