連載
posted:2020.8.10 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
https://homemakers.jp/
ようやく梅雨が明けたと思ったら、突然やってきた猛暑。
あー、きたきた、この耐え難い暑さ。
日中の畑仕事は、頭から足までノンストップ・汗!
水浴びしたり、こまめに着替えたりしながら、
夏野菜の収穫、秋冬野菜の準備をしています。
私たち〈HOMEMAKERS〉は農業をしながら、
週2日、金曜・土曜日はカフェを開いてきました。
今回のコロナ禍で、4月〜7月中旬まではカフェを臨時休業していました。
感染拡大防止のための休業でもありましたが、いまの私たちはカフェを営業するよりも、
野菜を育て、必要としている人たちに届けることを優先しようという判断で。
6月下旬に全国的に移動や営業自粛が解除され、私たちはどうしようかと考えましたが、
7月中旬から週1日、土曜日のみカフェの営業を再開しています。
店内の席数を減らし、庭に外席を新たに設置しました。
テイクアウトできるようにしようか、いままでと違うメニューにしようかなど
いろいろ検討しましたが、いまのところは大きく変えていません。
7月の下旬から、Go To トラベルキャンペーンが始まり、
小豆島にもたくさんの人たちが遊びにきています
(それでもいつもと比べたら、歩いてる人、車の数など全然少ないですが)。
8月27日からは、小豆島独自の企画「小豆島復路フェリー無料キャンペーン」を
開始するそうです(島内で宿泊などの条件を満たすと、
帰りのフェリー代が無料になります。詳しくはこちら)。
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そうしたウェルカムな雰囲気の一方で、島内の飲食店には、
島外の方の来店をお断りしているところも何軒かあります。
小豆島はまだそこまで大変ではないですが、コミュニティが小さくなればなるほど、
地元の人の、外から人に来てほしくない意識は高まり、
お客さんウェルカムモードの観光業や飲食業に対する風当たりが強くなります。
もしかしたら都会でも同じようなことが起こっているのかもしれませんが。
うちでは特に島外の方のご来店を制限するようなことはしてないですが、
逆に地元のお客さんの数が減りました。
いままでよく来てくれていた近所の方たちは、いまはほとんど来ていません。
カフェに来てくれる近所のお母さんたちと野菜のことや地域のこと、
他愛もないことを話していた日々が懐かしく、なんだか少しさみしくなります。
でもそれはしょうがないです。だってリスクを冒したくないから。
もともとHOMEMAKERSカフェという場所には、
島の外の人、島で暮らす人、両方が来てくれていて、
その偶然の出会いがおもしろかったり、新たなつながりを生み出したりしていました。
観光客だけじゃなくて、地元の人だけじゃなくて、
いろんな人たちがやってきてくれて話をすることが私たちにとって楽しみでした。
いま、離島や田舎で飲食店を運営している人の多くが
同じような悩みを抱えていると思います。
とくに地元の人たちが暮らしている集落や、住宅地の中でお店を開いている
私たちのような場合、いまこの場所に外から人を呼びこんでいいのか、とても悩みます。
私たちのせいで近所の方々に迷惑をかけることになってはいけない
(それはコロナ禍にかかわらずそうなんですけどね)。
たった週1日の営業なのですが、それでもうーんうーんと悩みつつ
カフェを開いています。きっといまは、ひとつの正しい答えなんてなくて、
いろいろな情報をもとに自分たちがどう判断して行動するか、
その考えをきちんと伝えながら活動していくしかないなと思っています。
さて、今週土曜日もカフェの営業日。
前日夜、絶賛仕込み。カレーのスパイスの匂いが漂っています。
考えて行動して、進んでいこう。
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