連載
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/
生姜! ショウガ! しょうが!
11月上旬から始まった生姜の収穫、加工作業。
ほぼ毎日、島の友人たちに手伝いに来てもらってワイワイ作業しています。
収穫が始まってから1か月が過ぎ、ようやく終わりが見えてきました。ほっ。
私たち〈HOMEMAKERS〉は、年間80種類くらいのいろんな野菜を育てています。
一年中なんらかの野菜が収穫でき、日々、家の食卓に並びます。
いまの時期だとにんじんや大根、里芋、さつまいもなどの根菜類、
レタスやキャベツ、白菜などの葉物野菜。
12月はもりもり冬野菜シーズンです。
そんな野菜の中でも、時間と手間をかけて育てているのが生姜です。
なんで生姜? 小豆島って生姜の産地なの?
と思われるかもしれません。小豆島は生姜の産地じゃないです。
誰かにすすめられたわけでもないです。
小豆島に引っ越してきた頃、体の冷えが気になっていて、
体を温めてくれる生姜を育てたいなぁ、
その生姜でジンジャーシロップをつくれたらいいなという個人的な思いから始めました。
2013年4月に初めて生姜を植えたときから始まって、
今年で生姜の栽培は7年目になります。
生姜の栽培は春から始めます。
生姜はじゃがいもや里芋などと同じく、
種生姜、親生姜などと呼ばれる生姜そのものを植えます。
毎年4月頭にこの植えつけ作業をします。
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芽がでてくるのは6月頃。
土の中に植えた親生姜から芽がでて葉を茂らせ、
土の中では親生姜が分けつして新しい生姜が増えていきます。
この時期になると勢いよく雑草が生え始めます。
生姜の芽が雑草に負けてしまわないように、雑草との戦いが始まります。
7月に入ると梅雨が明けて暑さもピークに。
昼間は暑すぎてしんどいので、早朝から畑に出て、
雑草を抜いて、肥料を追加し、土を寄せる作業。
あー、もうずっと昔のことのようですが、今年の夏のことです。
朝日が山から昇ってくるのを畑で眺めるのがいい時間でした(笑)。
少し涼しくなってからも雑草たちは元気です。
抜いても抜いても生えてくる雑草を抜いて、再び肥料を追加し、
大きくなってきた生姜が土から出てしまわないように土寄せ。
そんなふうにして夏を越え、寒さを感じるようになってきた11月。
ようやく収穫です。待ちに待った収穫!
うれしくもあり、また今年もこの大変な収穫、
加工シーズンがやってきたとハラハラもします。
育てた生姜は、収穫してすぐ出荷したり、
1年分のジンジャーシロップをつくるために加工したりします。
7年前と比べたらびっくりするくらいの量を栽培し、
個人的な思いから始まったジンジャーシロップも今や年間数千本つくり、
多くの方に飲んでいただけるようになりました。
生姜を育ててジンジャーシロップをつくることで、仕事が生まれ、
仲間とともに働くことができ、ほんの少しだけれど畑を維持し、
風景を守ることができてると思うと、ほんとにうれしくなる。
もっとこの11月、12月の生姜収穫シーズンを盛り上げたいなと思い、
今年はこの時期限定の
〈掘りたて新生姜のシトラスジンジャーシロップ〉をつくりました。
収穫したばかりの生姜は「新生姜」と呼ばれ、
みずみずしくてリンゴを感じさせるようなとてもいい香りがするのですが、
その新生姜でつくったシロップです。
ラベルもいつもとは違うデザインに! 一緒に生姜の作業をしてくれている
〈artHouse tematoca〉のゆっこさんに描いてもらいました。
生姜の収穫・加工作業をし終えた夕方、
数日前に収穫・加工した生姜でつくったシロップをお湯で割ってみんなで飲む時間。
自分たちでつくったものを、あーおいしい! と共感しながら味わえるその時間は、
ほんとにいいなと思います。そして冷えた体をぐっと温めてくれます。
私たちがつくるジンジャーシロップ。
その1本1本には、この1年のみんなの仕事がぎゅっとつまっています。
あふれんばかりの手間と時間と思いが入ってるはず!
今年も無事に生姜を育て、シロップをつくることができて本当によかった。
これからやってくる寒い冬、HOMEMAKERSのシトラスジンジャーシロップを飲んで
温まっていただけたらうれしいです。
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