連載
posted:2019.11.11 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/
11月に入って、寒いなぁと感じる瞬間が増えてきました。
ごそごそと、いつもとは違うクローゼットの引き出しを開けて、
そうそうこれこれと引っ張り出してきたフリース、それからタイツにレッグウォーマー。
あー、温かい。気づけば季節は少しずつ秋から冬へ。
私たちの秋冬の仕事のひとつに柑橘の収穫&加工があります。
柑橘は主に冬がシーズン。
もちろん柑橘の種類によって収穫時期は異なるし、
地域によっても変わってくると思いますが、たとえば小豆島のレモンだと
10月中旬〜11月にかけてまずグリーンレモンを収穫します。
グリーンレモンというのは品種のことではなくて、
まだ黄色に色づく前の緑色の状態のレモン。
果汁は少ないですが香りが強いです。11月後半くらいから黄色く色づき始め、
12月〜4月くらいまで黄色いレモンを収穫できます。
このレモンをはじめ、小さくて丸いスダチ、ゴツゴツとして大きいダイダイ、
香り爽やかなライムなどを収穫します。
収穫した柑橘は、そのまま販売したり、自宅やお店で
料理や飲みものをつくるときに使ったりします。
ただの炭酸水にスダチを絞って入れて飲んだり、
あ、ハイボールにもレモンやスダチは必須ですね。
料理だと、野菜のマリネをつくるときやカレーにかけて食べたりもします。
小豆島で暮らすようになり、柑橘は私たちの暮らしにとって
欠かせない存在になりました。
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冬場は家のどこかしらに柑橘の姿があります。
ご近所さんからいただいたみかんがかごに盛られていたり、
畑から採ってきたレモンがキッチンにころっと置いてあったり。
そんな柑橘を一年中使えるようにするために、
うちでは収穫した柑橘の果汁を冷凍しておきます。
大量の柑橘をカットして、ハンドジューサーやスクイーザーを使ってひとつずつギュッと。
1リットルごと袋に入れて冷凍庫へ。必要なときに解凍して使います。
この柑橘果汁を使って、〈HOMEMAKERS〉の
〈シトラスジンジャーシロップ〉や〈ハニーダイダイシロップ〉をつくっているのですが、
私たちが育てている柑橘だけでは量が足りず……。
小豆島内で柑橘を栽培されている方々に声をかけて、収穫させていただいています。
先日はスダチを収穫しにいきました。
島には収穫されずにそのままになっている柑橘の木があちこちにあります。
柑橘は山の斜面などに植えられている場合が多く、収穫作業はそれなりに大変です。
高齢化により持ち主が管理するのを止めてしまったり、
使いみちがなくて収穫されずにいたり。
車で走っていてそういう木を見つけると、
「あのレモンはどうなるんだろう。あー、もったいない。誰のだろうなぁ」
と毎回思います。ご縁があれば収穫させてもらったりもします。
さぁ、今年も柑橘の収穫シーズンです。
宝物を腐らせてしまわないように、大事に使わせていただきます。
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