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徳島県神山町の
〈フードハブ・プロジェクト〉。
「育てる、つくる、食べる、つなぐ」を
循環させる

小豆島日記
vol.213

posted:2018.12.10  from:徳島県名西郡神山町  genre:暮らしと移住

〈 この連載・企画は… 〉  海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。

writer profile

Hikari Mimura

三村ひかり

みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/

「地域で育て、地域で食べる」食の拠点

11月末の日曜日、生姜の収穫加工作業やら玉ねぎの定植やら、
やることてんこ盛りの日々でしたが、
どうしても行きたかった徳島県神山町に行ってきました。
目的は、〈フードハブ・プロジェクト〉の真鍋太一くんに会いに行くこと。

真鍋くんは家族で神山に移住されていて、フードハブ・プロジェクトの活動をはじめ、
神山町にサテライトオフィスを構える〈モノサス〉にも所属されています。
先日、神山から小豆島を訪ねてきてくれて、
うちの畑を見たり、いろいろな話をするなかで、
私たちもフードハブ・プロジェクトのお店や畑をぜひみたい! 話を聞きたい! 
というわけで、今回神山に行くことに。

徳島県神山町は、IT企業のサテライトオフィスの誘致や
移住者たちのユニークな働き方、暮らし方などで有名な徳島の山あいにあるまちです。
徳島市街地から車で1時間弱の場所にあります。

小豆島から船に乗って高松へ、その後は車で1時間半のドライブ。
目的地は、フードハブ・プロジェクトの活動拠点〈かま屋〉(食堂)と
〈かまパン&ストア〉(パン・食品)さん。

徳島県神山町にある〈かま屋〉と〈かまパン&ストア〉。

徳島県神山町にある〈かま屋〉と〈かまパン&ストア〉。

外構の設計は、神山町の大埜地(おのじ)集合住宅プロジェクトも手がけるランドスケープデザイナーの田瀬理夫さん。

外構の設計は、神山町の大埜地(おのじ)集合住宅プロジェクトも手がけるランドスケープデザイナーの田瀬理夫さん。

そもそもフードハブ・プロジェクトってなんだろう。
私もあらためていろいろ調べました。

「Food Hub」という考え方は、アメリカ合衆国農務省が推奨しているもので、
地域のFood Hubは、主に地元の名前が特定できる生産者たちの食品を、
集約、保存、流通、そしてマーケティングすることで彼らの能力を強化し、
卸売業者や小売、制度的な需要に積極的に応えるビジネス、または組織のこと。

神山産の野菜も販売されていました。

神山産の野菜も販売されていました。

町内に点在している耕作放棄地などの農地をフードハブ・プロジェクトで借りて、〈つなぐ農園〉としてお米、小麦、野菜などを育てています。農業長の白桃薫さんが畑を案内してくれました。

町内に点在している耕作放棄地などの農地をフードハブ・プロジェクトで借りて、〈つなぐ農園〉としてお米、小麦、野菜などを育てています。農業長の白桃薫さんが畑を案内してくれました。

フードハブ・プロジェクトは、この考え方をもとに、
神山の農業の担い手を育成する活動を中心に、
「地域で育て、地域で食べる」場所として、農作物を育てることに加えて、
食堂・パン・食品を販売する場所を運営されています。

小学校のすぐ横にある畑。

小学校のすぐ横にある畑。

今年は暖かすぎて、葉物野菜が一気に育ってしまって、出荷調整が大変。それはうちも同じです。

今年は暖かすぎて、葉物野菜が一気に育ってしまって、出荷調整が大変。それはうちも同じです。

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かま屋の「産食率」とは?

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野菜を育てて、それを食堂で料理として出す。
小麦を育てて、その小麦でパンをつくって売る。

言葉にすると簡単ですが、これを実行し、
商売として成り立たせることはとてもとても大変なことです。

農作物を育てるのは本当に手間がかかります。
手間がかかった分、価格が高くなればいいですが、
高くて手が出ないようなものになってしまったら意味がない。
「少し高いけど、でもここで育った素材を使った
おいしくて体にやさしいものが食べられるなら払うよ」という価格にしたい。
そして働く人たちも、自分たちが楽しく働き、暮らしていくための収入を得たい。

神山のフードハブ・プロジェクトは、
これをたくさんの人たちと共に実現しようとしています。

かま屋さんの台所で働く人たち。手前の壁には、生産者さんの名前札がずらり。

かま屋さんの台所で働く人たち。手前の壁には、生産者さんの名前札がずらり。

移住してきた料理家の方やパン職人さん。
昔から神山で暮らし野菜を育てている方々。
それから神山町役場の方々も。
かま屋やかまパンではたくさんの人たちが働いていて、
いろんな人たちとつながっているのが見えて、その感じがとてもよかった。

昼ごはんは、神山で育った季節の食材を使用した、おばんざい形式のワンプレートランチ。

昼ごはんは、神山で育った季節の食材を使用した、おばんざい形式のワンプレートランチ。

かま屋(食堂)には「産食率」という言葉があって、
「地域で育てて、地域で食べている」割合(%)を
「食材品目数(町内産)÷ 食材品目数(総合計)」という計算方法をベースに
算出されています。

産食率ひとつ計算するのもけっこう時間のかかる仕事だと思いますが、
こういうひとつひとつの仕組みを継続していくことで、
自分たちの掲げる「地産地食」の割合を日々見ていくことは
すごくいいことだなぁと思いました。

つなぐ農園で採れた野菜のサラダ。

つなぐ農園で採れた野菜のサラダ。

徳島産さわらの竜田揚げ。野菜だけじゃなくて魚や肉も徳島産。

徳島産さわらの竜田揚げ。野菜だけじゃなくて魚や肉も徳島産。

いま、日本の中山間地域では、農業をしてきた人たちが高齢化し、
そのあとを継ぐ人がおらず、耕作放棄地がどんどん増えていっています。
それは私たちが暮らす小豆島も同じです。
その課題を「小さいものと、小さいもの、少量生産と少量消費をつなぐ」活動を通じて、
解決していこうとしているフードハブ・プロジェクト。
真似したい仕組みがいっぱいありました。

畑のこと、料理のこと、商売のこと、話がつきない。

畑のこと、料理のこと、商売のこと、話がつきない。

さぁ、小豆島に戻って、また畑とカフェと
ジンジャーシロップづくりと、私たちもがんばろう。
穏やかな年末年始を迎えられるように……。

information

map

かま屋

住所:徳島県名西郡神山町神領字北190-1

TEL:050-2024-2211

営業時間:モーニング 8:00〜10:00、昼ごはん 11:00〜14:00(売り切れ次第終了)、お茶 14:00〜17:00、晩ごはん(木・金・土曜のみ営業)18:00~20:30(L.O. 20:00)

定休日:月・火曜(月曜が祝日の場合は営業)

http://foodhub.co.jp

information

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かまパン&ストア

住所:徳島県名西郡神山町神領字北190-1

TEL:088-676-1077

営業時間:9:00〜18:00

定休日:月・火曜(月曜が祝日の場合は営業)

http://foodhub.co.jp

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