連載
posted:2018.10.22 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/
小豆島では毎年10月中旬に太鼓まつりが行われます。
秋の収穫を感謝するお祭りとして、小豆島内にある6つの八幡神社で開催され、
太鼓台を奉納します。
10月11日の葺田八幡神社から始まり、伊喜末八幡、土庄八幡、
内海八幡、富丘八幡、最後は10月16日の池田亀山八幡さん。
この1週間は島中がお祭りムード、島のいたるところで太鼓の音が聞こえてきます。
私たちが暮らしている肥土山(ひとやま)地区は
10月15日に富丘八幡神社に奉納します。
今年は、ほかの八幡さんのお祭りに参加している友人を見に、
10月14日は土庄八幡神社へ、10月16日は池田亀山八幡神社へ。
3日間、毎日まつり!
各八幡さんによってお祭りの内容は少しずつ違います。
太鼓台の担ぎ方やかけ声の違いなど、
「へー、ここの地区はこんなふうにするんだ」というのが見てるといっぱいあります。
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今年見に行きたいなと思っていたのが、
池田亀山八幡神社で行われる「押し込み(オシコミ)」。
なんと重さ約1トンの太鼓台(神輿)を和舟に乗せて、海からやってくるんです。
この押し込みは、池田亀山八幡神社のお祭りだけで見られます。
太鼓まつりは、普段、各集落で大切に保管している太鼓台を
八幡さんまで運んで行くところから始まります。
その昔、まだ広い道路が整備されてなくてトラックなんかもなかった頃は、
船に太鼓台を乗せて八幡さんまで行ったそうです。
そしていまも船に乗せてやってくるのが、三都半島にある神浦(こうのうら)地区。
当日はたくさんの人たちが浜に集まって、船がやってくるのを待っていました。
花火があがり、いよいよ船が浜に近づいてきます。
船の上では、白いサラシをまいた男の人たちが船を漕ぎ、
船首には赤と緑の長襦袢を着たふたりが踊っています。
あっという間に浜に着き、待っていた同地区の人たちが駆け寄り、
船から太鼓台をおろし、八幡さんの馬場まで一気に担いでいきました。
これが「押し込み」。
あっという間でしたが、こんな光景がまだ残っているって
ほんとにすごいなぁと思いました。
実はこの押し込みは一時途絶えていたそうで、再び行われるようになり、
いまではたくさんの人たちが見られるのを楽しみにしています。
生活スタイルが変わり、人が少なくなり、昔と同じように
なんでもできるわけではありません。
太鼓台に乗る子どもも、昔は男の子しか乗れなかったのが、
いまは女の子も乗っている地区があります。
少しずつかたちを変えながら、でも続けていく、
それが大事なんじゃないかなと思います。
少しずつ変わっていくことを受け入れ、そのときそのときの様子を
忘れないようにちゃんと記録に残していく。
今年の太鼓まつりの写真も、10年後に見たらすでに歴史の中の1年になっていて、
10年前はああだったねー、こうだったねーと話してるかもしれません。
あー、やっぱり日本のお祭りはいいですね。
来年も10月が楽しみです。
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