連載
posted:2017.11.27 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/
11月中旬からぐっと寒くなりました。
天気予報では、1月並みの寒さになるでしょうとか初雪を観測しましたとか。
いよいよ冬ですね。
11月の畑は、夏にはなかった野菜たちがいっぱいです。
大根、にんじん、白菜、なばな、とにかく緑の葉っぱがわさわさしてます。
1年のなかで、畑が一番きれいな時期なんじゃないかなと思います。
今日はそんな私たち〈HOMEMAKERS〉の畑の1日について書こうかと。
こんなふうに働いています!
私たちは週に3回、野菜の収穫&出荷作業をしています。
レタス農家、さつまいも農家さんなど、単一のお野菜を栽培しているところは、
1年のなかで出荷のシーズンが決まっていて、その時期に出荷作業が集中しますが、
私たちはいろいろな野菜をつくっていて、1年を通して収穫&出荷作業をしています。
もちろん野菜が多い時期、少ない時期などあるので、量は変動しますが。
11月23日(木)、この日は出荷の日。
朝一番で、その日の出荷リストや宅配用の宛名、
お届け案内などを作成します(前日にしておくこともありますが)。
私たちは島外のお客さまにもお野菜を宅配でお届けしているので、
その宛名の準備や、ダンボールの中に野菜と一緒に入れる野菜の説明や
納品書などを用意するのに結構時間がかかります。
この時期、畑に出るのは9時から。
ほかの農家さんと比べたらちょっと遅めかも。
それでも家族そろって朝ごはんを食べて、子どもを送り出して、ストレッチとかして、
片づけや準備、事務作業などしているとあっという間にその時間。
朝のこの時間がけっこう貴重だったりします。
9時、畑チームのみんな集合、いざ出動です。
この日はいつもより少し多めの6人体制(私たち夫婦も入れて)。
この時期は玉ねぎの定植、生姜の収穫などやることが多いので、
みんなにお手伝いをお願いしています。
玉ねぎの定植チームと収穫出荷チームに分かれて作業を進めていきます。
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新鮮な野菜をお届けしたいので、基本的には
出荷する日の朝イチで収穫(いも類など事前に収穫してあるものもあります)。
採ってきた野菜の土を落とし、ひとつひとつ丁寧に袋に入れていきます。
この作業がすごく大変で、どうやって効率化していくか、まだまだ課題の多い部分です。
どれだけバタバタしていても私たちが大切にしてるのは、
お茶の時間とお昼ごはんの時間。
みんなで作業する時は、いつも11時頃に30分のお茶休憩、
13時半頃に1時間のお昼休憩をとっています。
お茶休憩のときにはハンドドリップでコーヒーを淹れます。
お昼ごはんは採れたての野菜を使ってつくります。
そういう時間も含めて、HOMEMAKERSの畑仕事なのかなと。
そんな働き方で成り立つのか?
もっと朝暗いうちから夜中まで働かなくてもいいのか?
野菜の売上だけでみると正直成り立ってないです(汗)。
加工品の売上やその他もろもろを組合せてなんとかなっている感じです。
いい働き方をして、かつ、ちゃんと経済的にも成り立たせたい。
それが私たちの目標。
いい働き方っていっても、私たちが考えてるのは
たぶん人として当たり前の働き方だと思う。
ちゃんと働く、ちゃんと休む。それが基本。
なんでも安く手に入ってしまう時代。
野菜だって、もやし10円とか「あり得ないでしょ」と思うけど、
実際にそういう価格で売られている。そこまで安くしないとしても、
いまの私たちの野菜の育て方、働き方、暮らし方を維持するには、
それこそキャベツ1個1000円くらいで売らないと成り立たないのかも。
野菜の難しいところは、ある程度価格が決まっていて、自分たちで決められないこと。
例えばコーヒーカップ&ソーサーは、作家さんがつくられたものは5000円、
かたやディスカウントショップなどでは
100円で売られてたりします(デザインや素材は全然違いますが)。
それだけ価格差があっても、高いほうを買う人がいます。
でも野菜は100円と5000円とまではいかなくても、
200円と1000円のキャベツがあったら、
よっぽど何か理由がない限り200円のほうを買いますよね。
そうなんだけど、やっぱり私たちはいまのスタイルで野菜を育てたくて、
それを自分たちや家族、友人たちに食べてほしくて、それで生計を立てたくて、
私たちらしい農家というスタイルで生きていきたい。
というわけで、バタバタと畑の1日が過ぎ、無事にお野菜の発送準備も完了。
16時には郵便局さんが集荷にやってきます。
そのあとは、日が暮れるまで玉ねぎの定植。さむーーーい。
最後はみんなでホットジンジャーを飲んで、ほっ。
今日も1日お疲れさまでした。
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