連載
posted:2017.11.13 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/
今年の10月31日で、小豆島で暮らし始めて5年経ちました。
小豆島暮らし5周年です!
5年というのはなんとなくひとつの区切りで、引っ越してきて農業を始めて、
5年後にはちゃんと生計が成り立っていないと、ここでのいまみたいな暮らし方は
続けていけないよねというのが私たち家族の共通認識。
というのも、私たちが受給している農業に関する助成金である
青年就農給付金も5年で交付期間終了。
いよいよ頼るものがなくなり、自分たちだけで立たないといけない時期になりました。
5年前〈HOMEMAKERS〉はありませんでした。
小豆島に来てから約半年後にたくちゃん(夫)とふたりで始めて、
毎日毎日つくりあげてきたこの場所と暮らしと仲間。
いまはここにHOMEMAKERSがあります。
自分たちの手で何かをつくりだすって本当にとてもワクワクすることで、
当時はなかったジンジャーシロップが、いまは世の中に出回っていたり
(まだとても狭い範囲でしか出回っていませんが、笑)、
自分たちがデザインしたロゴのTシャツを着てみんなと一緒に働いていたり。
少しずつだけど、積み重なってできていく自分たちの世界。
それがとてもうれしい。
お金の面でいうと、やっぱり農業で生きていくというのはとても難しくて、
それは私たちが農業者としてまだまだ未熟だからなんだけど、
もっともっと野菜を育てるということを学んで、
売り方を工夫していかないと厳しいのが実情です。
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いま私たちは年間80種類くらいの野菜を育てています。
いわゆる少量多品種栽培です。
育てた野菜は、旬野菜セットとして個人のお客様に宅配したり、
島内島外の飲食店さんで使ってもらっています。
メインで栽培している生姜や柑橘は、
シロップやドレッシングに加工して販売しています。
また金・土曜日は自宅の一部をカフェとして開き、
育てた野菜を使った料理をお出ししています。
野菜の売上、加工品の売上、カフェの売上が私たちの主な収入です。
なんとかやっていけるかなぁと思ったり、
あーまだ厳しいなぁと思ったり、行ったり来たり。
大儲けできるような生き方じゃないけれど、いまの生き方が好きだから、
このスタイルを続けていけるようにちゃんと儲けなきゃなと思っています。
5年前、私たちがここに来た時と比べて、手入れされなくなった畑がだいぶ増えました。
畑の持ち主が亡くなったり、病気になったり。
畑が荒れ、人の気配が少なくなったせいか、今年の秋はイノシシの被害がひどいです。
私たちの畑もだいぶイノシシに入られてしまいました。
雨続きだったこの秋、土はどろどろ、イノシシにぐちゃぐちゃに掘り返され、
生姜が転がっていたりして、もうそんな光景を目の前にすると、へこむし、
シロップをつくる分の生姜を確保できるのか不安になるし、
私たちやっていけるのかなと思ったりもします。
でも、うれしいこともあります。
小豆島に引っ越してきて、翌年の春に植えたレモン。
今年たくさんの実をつけてくれました。
4年かかってようやく収穫です。
ここでの暮らしは、山あり谷あり。
大変なことがあっても、ま、しょうがない。
なんだかんだとなんとかなるでしょ! という気持ちになる。
というか、なんとかするんです(笑)。
小豆島暮らし6年目。
この1年もまた楽しくがんばろうと思います!
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