連載
posted:2017.7.10 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/
小豆島にはいまもたくさんの人たちが移住してきています。
現在の島の人口は、3万人弱。
私たちが引っ越してきた5年前は3万人以上いて、
そこからすでに3000人くらい減っているわけで、
どれだけ移住者がいてもやっぱり人口減少しています。
それでも毎年人口の約1%にあたる300人弱の
30〜40代を中心とした人たちが外から移り住んでくれることはすごいことで、
それがこの先何十年と続いていくと、島の高齢化を止めることができるそう。
移住者が増え続けることに加えて、地場産業がもう一度元気にならないといけない、
新しい産業、ビジネスを生み出さないといけないなど課題はたくさんありますが。
この移住に関して、大きな問題のひとつが「受け入れられる家が少ない」ということ。
移り住みたくても、即入居できる家が少なかったり、家賃が高かったり。
ちなみに小豆島の賃貸物件の平均家賃は約4.5万円で、
高松市の平均家賃とあまり変わらないのだそう。
一方で、島の小さな企業で、働き手を募集しているところはけっこうあります。
島外から働きに来てくれる方がいればぜひお願いしたいけれど、
住む家まで面倒はみられないというのが実情。
そんな移住希望者が抱える悩みと働き手を探している島の企業の悩みを解決する。
そのためにこの7月にオープンするのが〈うえむらシェアハウス〉です。
うえむらシェアハウスは、北に寒霞渓の山々、南に内海湾を望む、
草壁港から車で約3分の場所にあります。
もともとお遍路さんたちを迎える宿〈大倉旅館〉だった建物を改修。
運営は、小豆島・豊島への移住促進と空き家活用促進活動を行う
NPO法人〈Totie(トティエ)〉がしています。
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7月上旬に内覧会があり、見に行ってきました。
もともと20部屋ほどあったそうですが、シェアハウススタート時は
そのうちの9部屋を提供するそうです。
個別の部屋のほか、共有のリビング、元の厨房施設は共有のキッチンに。
男女別の浴室、洗濯機なども設置されていて、とても快適そうでした。
シェアハウスでけっこう問題になるのがゴミの問題だそうですが、
きちんと分別できるスペースも用意されていました。
ちなみに家賃は一室あたり24000円〜34000円で、
プラス共益費が11000円だそうです。
内覧会の日、さっそく入居者第1号の方がいました。
この7月から島のイタリアンレストラン〈FURYU〉で働くそうで、
たくさんのダンボールが部屋に届いていました(笑)。
このうえむらシェアハウスのもうひとつの目的が空き家活用。
使われなくなった建物を有効活用し、暮らす人を生み出し、景観を維持する。
うえむらシェアハウスがある神懸通地区も、
当時は大倉旅館も含めて3軒の遍路宿があり賑わっていたそうですが、
いまは高齢化、空き家の増加が進んでいるそう。
そんななかでのこのシェアハウスへのリノベーションは、
地区の方々の期待も大きそうでした。
内覧会の日に、小豆島町長がこんなことをお話していました。
「いまから100年後に振り返ったとき、地域に新しいビジネスが生まれ始め、
地場産業が再び元気になり始めたのは、
うえむらシェアハウスがオープンした頃だったと言えるかもしれない」と。
小豆島の歴史のなかで、もしかしたらターニングポイントになるかもしれない拠点、
うえむらシェアハウス。また新たな流れが生まれそうです。
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