連載
posted:2015.7.6 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/
小豆島に移り住んで2年と8か月が過ぎました。
この島で過ごす3回目の夏。
そして私たちにとって3回目の肥土山の「虫送り」の日が今年もやってきました。
虫送りは、火手(ほて)とよばれるたいまつに火を灯し、
田んぼのあぜ道をみんなで歩いて虫よけと豊作を祈願する行事。
映画『八日目の蝉』にも出てくるのですが、
小豆島といえばこれでしょ、と言ってもいいくらい美しくて神秘的な光景です。
肥土山地区の虫送りは、毎年7月2日に行われます。
夏至から数えて11日目のこの日は「半夏生(はんげしょう)」にあたり、
毎年何曜日であろうとこの日に行われます。
今年は木曜日。
子どもたちは小学校から帰ってきて、夕方6時半、
虫送りのスタート地点である肥土山離宮八幡神社に集合します。
ちなみに、小豆島で虫送りが行われているのは、肥土山地区と中山地区の2か所。
中山地区では毎年7月の第1土曜日に行われます。
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私たちが初めて虫送りに参加したのは、いろは(娘)が幼稚園の年長さんだった頃。
移住して8か月経ち、少しずつここでの暮らしに慣れ始めたときで、
「あー、この虫送りという行事がある農村で私たちは暮らしてるんだなぁ」
としみじみと思ったことを覚えています。
そんないろはも小学2年生。
低学年の子たちは大人が横について一緒に歩きますが、
ほんとにたくましくなったもので、しっかりと火手を持ち
「最後まで火ついてるかなぁ」
とか言いながら、歩いて行きました。
19時から歩き始めて30分。
目的地近くまで来たとき、日が沈む直前、空が一気にピンク色に。
美しい夕焼けの中を、火手を持って歩く子どもたち。
今年もまたなんとも美しい虫送りの光景を見ることができました。
江戸時代から300年以上続く虫送りという行事。
その中のたった3年だけれども、ここで暮らし、一緒に歩きました。
来年、再来年と子どもたちが成長していくのを感じながら、
またその中にいたいなと思います。
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