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収穫まで2年、原木しいたけができるまで

小豆島日記
vol.081

posted:2014.11.17   from:香川県小豆郡土庄町  genre:暮らしと移住

〈 この連載・企画は… 〉  海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。

writer's profile

Hikari Mimura

三村ひかり

みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/

初めてのしいたけ作り。

「しいたけ、できてるー!!」
11月半ば、雑木林に並べておいた“ほだ木”の様子を見に行くと、
なんとしいたけができていました。
クヌギの木を伐採するところから始めて収穫まで実に2年。
この秋、やっと自分たちが育てたしいたけを食べることができました。

2012年10月に小豆島に移住してきて、見よう見まねで始めた農業。
農業経験ゼロだった私たちは、島のおっちゃん、おばちゃんたちに教えてもらいながら、
苗を植えたり、堆肥作りをしたり、ひとつずつ挑戦していました。
年が明けて2013年、普段からいろいろ教えてもらっていた
コスモイン有機園の旦那さんとおかみさんに
「原木しいたけ作らないか」と誘われ、そこから原木しいたけ作りがスタート。

まずは、ほだ木となるクヌギの伐採から。
ほだ木とは、しいたけを栽培するために菌を植えつける原木のこと。
オリーブ畑にするために切り開かれる雑木林があり、
許可を得てそこからクヌギの木を伐採。
直径が10〜15cmくらいの、なるべく真っ直ぐな幹を探して、
チェンソーとのこぎりでカット。
道のない森に入っていき、クヌギを探し、木に登り、カットして運び出す。
いろんなことが初体験すぎる(笑)。

オリーブ畑にするために切り開かれる雑木林、そこからクヌギの木を探して切ります。

持ち帰ってきたクヌギの木。しばらく乾燥させます。

そして次は、切ったクヌギの木にきのこの種菌の駒を打ち込みます。
ドリルで穴を空けて、木槌でコンコン。
これでほだ木の完成です。

きのこの菌の駒を打ち込むための穴をドリルであける。

いろはもお手伝い。木槌で種菌を打ち込みます。

コスモイン有機園に滞在中のウーファー(食事や宿泊場所を提供してもらうかわりに農業などの仕事を手伝う人)さんたちと一緒に作業。

さて、このほだ木をどこに並べようか。
直射日光のあたらない、雨のあたる、風通しのいい場所……がいいらしい。
考えた結果、家の裏にある山というか雑木林となっている土地を借りて、
そこに並べることに。
これまた大変な作業。
スペースを作り、棚を組んで、ほだ木を立てかける。
あとは自然にまかせ、1〜2年待ちます。

手伝いに来てくれていた父と一緒にほだ木を並べる。

ほだ木の設置完了。あとは自然にまかせて待ちます。

ひとつひとつの作業が、なんとなくは知っていても、やったことのないことばかり。
そして、こういうことをするためにはほんとに駆動力がいる。
まず軽トラックは必須(笑)。
チェンソーやのこぎり、木槌などの道具。
そして何より、作業する仲間。
ひとりでは到底できない作業、まさにみんなで力をあわせて作ります。

2014年11月、自分たちで育てた原木しいたけがやっとできました。
しいたけを見つけた瞬間の「わぁ!!」という気持ちの高揚感、
野菜もそうだけど、できたものを見るといつもこういう気持ちになります。
ほんとに美しくて、毎度感動する。

ほだ木設置から1年ちょっと。もうそろそろかなと様子を見に行く。

おぉぉ! なんとしいたけができてました。

2年越しの原木しいたけ。さっそくいただきました。

さてさて収穫したしいたけは、オリーブオイルをかけてオーブンで焼き、
小豆島産のお醤油と柑橘の絞り汁をかけてさっそく今晩のおかずに。
おいしすぎる!
この島は、やっぱりおいしいものだらけ、そう感じた夜でした。

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HOMEMAKERS

住所:香川県小豆郡土庄町肥土山甲466-1
営業時間:金曜、土曜のみ 11:00~17:00(L.O. 16:00)
http://homemakers.jp/

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