連載
posted:2014.9.29 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer's profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/
実りの秋、小豆島はまさにいまそんなシーズン。
イチジクから始まり、ぶどう、栗、そしてもう少ししたら柿、みかんなど、
いたるところでおいしいものが実っています。
私たちが暮らす肥土山では、そういった果物を育てている家がたくさんあります。
家の畑にイチジクの木が2、3本植わっていたり、小さなぶどう棚があったり。
自分たちの家で食べたり、まわりの人におすそ分けしたり、
毎年収穫の時期を楽しみに果物を身近で育てています。
私たちの家の庭にも、サクランボ、イチジク、柿、レモンの木があります。
少し離れた畑には、ビワ、栗、梅、金柑など。
お祖父ちゃんがたくさんの果樹を残してくれました。
そしてつい先日、みんなで栗拾いをしました。
去年の秋も小豆島で暮らしていたのですが、
なんとなくタイミングを逃してしまい、小豆島で初めての栗拾い。
子どものときに実家の近くで栗拾いして以来だから、実に25年ぶりくらい。
いやー、興奮するする(笑)。
実を採るっていうのは、ほんとにいくつになってもワクワクします。
割れたイガイガの間から見えるツヤツヤの栗。
それを見て嬉しくなりながら、足でイガイガをどけて栗ゲット。
時間を忘れて拾い続けました。
そしてたくさん拾ったはいいものの、どうしよか(笑)。
鬼皮と渋皮にしっかり守られた栗。
これをおいしく食べるために、ここからがひと苦労。
一緒に栗拾いした友人と、翌日の夜それぞれの家で栗ご飯にすることを約束。
いつもの私ならその面倒くささにくじけてしまうのですが、今回はその約束もあって、
鬼皮、渋皮と地道にむいて、無事に栗ご飯までたどりつきました(笑)。
昔はこうやって畑や山から採ってきた実を、お母さんやおばあちゃんが調理して、
毎日のごはんで食べていたんだなぁと。
いまは、その多くの部分が暮らしの外に出てしまい、
皮のむかれた栗を買って栗ご飯にしたり、加工された栗ご飯を買って食べたり。
手間が少なくなり、そのかわりにお金を払うように。
何が豊かかはその人しだい。
手間が少なくなって、暮らしが楽になったというのも豊かさのひとつだと思うし。
ただ、みんなでワイワイと栗を拾う時間はとても楽しいし、
もくもくと栗の皮をむく時間も心地いい。
そして自分たちの手で自然からいただいたものが、
おいしいごはんになるというのはけっこう感動する。
農と食が近くにある、農と食がつながってる暮らし。
これってほんとに豊かだなと、栗ご飯を食べながらあらためて思いました。
information
HOMEMAKERS
住所:香川県小豆郡土庄町肥土山甲466-1
営業時間:金曜、土曜のみ 11:00~17:00(L.O. 16:00)
http://homemakers.jp/
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