colocal コロカル マガジンハウス Local Network Magazine

連載の一覧 記事の検索・都道府県ごとの一覧
記事のカテゴリー

連載

ここにある資源をいかして暮らす

小豆島日記
vol.042

posted:2014.2.3   from:香川県小豆郡土庄町  genre:暮らしと移住

〈 この連載・企画は… 〉  海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。

writer's profile

Hikari Mimura

三村ひかり

みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が異様に強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HomeMakers」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、カフェ、民宿をオープンすべく築120年の農村民家を改装中。
http://homemakers.jp/

使えるものを、工夫しながら。

いま私たちが暮らしている家は、たくちゃん(夫)のお祖父ちゃんの家です。
曾祖父ちゃんの代に建てたそうなので、たくちゃんで四代目。
そこにはながーい歴史があります。
かれこれ約120年。

いわゆる農村民家で、母屋のほかに蔵、離れ、
タバコの葉の乾燥部屋(昔、小豆島ではタバコの生産が盛んだったそう)、
農機具の収納小屋があります。
ありますといってもその一部は床が朽ち、屋根が崩れ、使えない状態。
家というのは人が暮らし、手入れをしないとどんどん朽ち果てていってしまう。

たばこの乾燥部屋。屋根は崩れ落ち、隙間から陽射しが。

崩れ落ちた壁。修理したいけど、なかなか手がまわらない。

農機具小屋。お祖父さんが使っていた状態そのまま。

そこに私たちが帰ってきて、いまいろいろと直しながら暮らしている。
母屋は一部をカフェとして住み開くため、基礎から大工事。
この完了までに計画から約1年。
これから順に、蔵は野菜の出荷作業場に、離れは農家民宿に……
壮大な夢は広がっています(笑)。
ひとつずつ進めていくしかないですね。

ここには、この家という資源のほかにもたくさんの面白いものが残っている。
もう使われなくなってしまって、まさに埃をかぶっているようなものばかりなんだけど。

みかんなどの作物を収穫して運搬するための木製のみかん箱。
収穫したお野菜を入れるためのカゴ。
つくったお素麺を保管しておく木製の素麺箱。
ずっしりとした構えの洋服や着物の収納タンス。
遊び心がある茶ダンス(昔の日本のお茶の間の隅にありそうなもの)。

隣のお素麺屋さんから使わなくなった素麺箱をいただいた。

素麺箱とみかん箱をきれいに拭いて塗装。それだけでだいぶ雰囲気が変わる。

そういうものが何十年も処分されずにそのまま残ってる。
おっ、これ使えるじゃん! と思いながら、掘り出してきては、
お野菜の販売の時に使ったり、カフェのディスプレイとしても活用。
なんでも買わなくても、ふとまわりに目を向けてみると、
ここには活用できる資源が山ほどある。

使っていない茶ダンスの引き出しを壁に取り付けてディスプレイに。

塗装した素麺箱でつくった小カウンター。

お素麺箱を壁に取り付けて調味料や食器の収納棚に。

家で埃をかぶって眠っていたカゴを使って野菜を販売。

それはモノだけじゃなくて、食べ物や風景などもそうなんじゃないかなと。
毎年秋には柿があり過ぎて困ったり、
いまの時期は食べきれないほどの柑橘をいただく。
こういうものこそ、何かにいかして、
ここに住む人たちが幸せになることを考えたいなと思う。

もちろん、なんでもかんでもあるわけじゃなくて、島にはないものもたくさんある。
私たちの生活もネット通販がなければ成り立たないくらいかも。

それでも、できる限りここにあるものと自分たちの知恵と手を使って、
暮らしをつくっていけるといいなと思います。

Feature  特集記事&おすすめ記事

Tags  この記事のタグ