連載
posted:2014.2.3 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer's profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が異様に強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HomeMakers」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、カフェ、民宿をオープンすべく築120年の農村民家を改装中。
http://homemakers.jp/
いま私たちが暮らしている家は、たくちゃん(夫)のお祖父ちゃんの家です。
曾祖父ちゃんの代に建てたそうなので、たくちゃんで四代目。
そこにはながーい歴史があります。
かれこれ約120年。
いわゆる農村民家で、母屋のほかに蔵、離れ、
タバコの葉の乾燥部屋(昔、小豆島ではタバコの生産が盛んだったそう)、
農機具の収納小屋があります。
ありますといってもその一部は床が朽ち、屋根が崩れ、使えない状態。
家というのは人が暮らし、手入れをしないとどんどん朽ち果てていってしまう。
そこに私たちが帰ってきて、いまいろいろと直しながら暮らしている。
母屋は一部をカフェとして住み開くため、基礎から大工事。
この完了までに計画から約1年。
これから順に、蔵は野菜の出荷作業場に、離れは農家民宿に……
壮大な夢は広がっています(笑)。
ひとつずつ進めていくしかないですね。
ここには、この家という資源のほかにもたくさんの面白いものが残っている。
もう使われなくなってしまって、まさに埃をかぶっているようなものばかりなんだけど。
みかんなどの作物を収穫して運搬するための木製のみかん箱。
収穫したお野菜を入れるためのカゴ。
つくったお素麺を保管しておく木製の素麺箱。
ずっしりとした構えの洋服や着物の収納タンス。
遊び心がある茶ダンス(昔の日本のお茶の間の隅にありそうなもの)。
そういうものが何十年も処分されずにそのまま残ってる。
おっ、これ使えるじゃん! と思いながら、掘り出してきては、
お野菜の販売の時に使ったり、カフェのディスプレイとしても活用。
なんでも買わなくても、ふとまわりに目を向けてみると、
ここには活用できる資源が山ほどある。
それはモノだけじゃなくて、食べ物や風景などもそうなんじゃないかなと。
毎年秋には柿があり過ぎて困ったり、
いまの時期は食べきれないほどの柑橘をいただく。
こういうものこそ、何かにいかして、
ここに住む人たちが幸せになることを考えたいなと思う。
もちろん、なんでもかんでもあるわけじゃなくて、島にはないものもたくさんある。
私たちの生活もネット通販がなければ成り立たないくらいかも。
それでも、できる限りここにあるものと自分たちの知恵と手を使って、
暮らしをつくっていけるといいなと思います。
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