小さな畑や家業が里山の風景をつくる
この風景を残し続けるために。
1月末、大寒から立春までのこの時期が、1年でいちばん寒い季節。
今朝も外に置いてある水鉢に立派な氷が張っていました。

庭の水鉢に張った立派な氷。
この時期、畑作業は比較的のんびりしています。
もちろんやることはてんこ盛りなんですが、
草刈りと水やり、次々と育つ作物の収穫をしなくてもいい分、
夏に比べると余裕があるという感じ。
そして何より気候的に体が楽。
夏の日中は暑すぎて、外での作業は本当に過酷。
冬は防寒対策さえしっかりすれば、日中の作業は穏やかです。
私たちが暮らしている肥土山(ひとやま)の集落全体もいまはそんな雰囲気。
ゆっくりと育つ白菜や大根を少しずつ収穫しては、
自分の家で食べたり、おすそ分けしたり。
そして空いた時間に、切り干し大根をつくったり。

肥土山の冬の畑と田んぼ。白菜や大根がそこら中の畑で育てられています。

おばちゃんと一緒に切干大根づくり。こういうのも肥土山の風景。

干した大根と人参。これで長いこと保存できるようになる。
肥土山には共同の水洗い場がぽつぽつとあって、
そこで収穫したお野菜を洗ったりできます。
おばちゃんが野菜を洗っている、そういう風景に出会うとなんだか嬉しくなる。
あー、まだこの水洗い場は現役なんだなあと。

共同の水洗い場でお野菜を洗うおばちゃん。
そしてもうひとつ、冬の小豆島と言えばお素麺。
肥土山にも何軒かお素麺屋さんが残っていて、
この季節の天気の良い日中は、お素麺が天日干しされています。
真っ白なお素麺と澄んだ青い空のコントラストがほんとに美しい。
寒い時期につくられる「寒そうめん」は、
少ない塩でつくることができ、コシが強くておいしい。
そんなおいしいお素麺をつくるために、この時期は午前3時頃から作業するそう。
続けていくのが大変な仕事です。

天日干しされる「寒そうめん」。

娘の幼稚園のお友だちの家。素麺づくりが暮らしの一部。

跡を継ぐ人がいないと、この風景も肥土山からなくなってしまう。
肥土山はいまはまだ現役の集落。
こんなふうにして、そこに暮らす人たちが畑を維持したり、
家業を続けることで、風景が保たれてる。
でも、これがあと10年もするとどうなるのかなと時々考える。
畑を手入れする人が少しずつ減り、やがてそこは山に戻っていき、
お素麺屋さんも跡を継ぐ人がいないと、あの天日干しの風景はなくなってしまう。
この風景を残し続けるためには、ここで豊かに暮らし続けるためには、
そういうことを続けていく人を減らしちゃいけないんだなと思う。

きれいに手入れされた田んぼと家々。だんだんと山が迫りつつある。

冬の夕暮れ。ひとつひとつのシーンがきれい。
そんなことを考えながら、私たちはここに拠点を構えて人を招き、
そして畑を耕し野菜をつくることで、この集落と風景を保つことに
少しでも関われたらいいなと思っています。