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「小豆島の顔」プロジェクトが残したもの

小豆島日記
vol.034

posted:2013.12.2   from:香川県小豆郡土庄町  genre:暮らしと移住

〈 この連載・企画は… 〉  海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。

writer's profile

Hikari Mimura

三村ひかり

みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が異様に強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HomeMakers」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、カフェ、民宿をオープンすべく築120年の農村民家を改装中。
http://homemakers.jp/

1年かけたプロジェクトを振り返って。

瀬戸内国際芸術祭(以下、瀬戸芸)が終わって1か月。
すっかりいつもの静かな肥土山(ひとやま)で、
先週末「わらアート」と「小豆島の顔」の撤収作業が行われました。

いつもの静かな肥土山の田園。

撤収作業中の「わらアート」。瀬戸芸期間中は、ここをわらわらと人が歩いていました。

「小豆島の顔」の撤収作業。温かい秋の陽射し。

「小豆島の顔」は、小豆島で暮らす60代以上のおっちゃんおばちゃんの
顔写真を撮影・展示するプロジェクト。
写真家のMOTOKOさんと島の友人たち、行政の方、
そしておっちゃんおばちゃんたちと一緒に取り組みました。
夏の間に撮影し、瀬戸芸秋会期のタイミングに合わせて
馬木(うまき)・肥土山の2地区で展示。
それぞれの地区の瀬戸芸作品とあわせて、たくさんの人たちが訪れてくれました。

そしていよいよ撤収作業。
地元の友人たち、おっちゃんたちと一緒に。

肥土山地区の展示は肥土山離宮農村歌舞伎舞台横の建物の壁に。ここで1か月半展示していました。

撤収作業スタート。あっという間に終了。

観光客の人たちに説明。瀬戸芸後もちらほらと観光客がやってきます。

このプロジェクトを通して学んだことはとても多かったけど、
とにかくいろいろな人を巻き込んで一緒にやることのパワーをまざまざと感じた。
自分たちだけでできることは限られてる。
私たち家族だけでは、時間がかかり過ぎるし、技術も道具もほとんどない。

撤収作業ひとつにしても、友人たちが手伝いにきてくれて、
2時間くらいであっという間に終わってしまった。
いろんな知識や技術をもった仲間がいるのはほんとに心強い。

みんなで一服しようと10人分のコーヒーを持って。

撤収作業後、コーヒーを飲みながらいろいろと。

企画から1年くらいかけて取り組んできた「小豆島の顔」プロジェクト。
地元のおっちゃんおばちゃんたちへどうお願いするか、
撮影や展示場所の手配・調整、行政との関わり方、予算の集め方など
初めてのことだらけで、何度も行ったり来たりだった。
けれどこの過程を経て、いろいろな世代、職種の人たちがいる地域で
何かをするというのがどんなことなのかを身をもって学び、
それぞれの人との繋がりが深くなった。
展示は終わったけれど、今回得た経験、地域の人、行政の人、
島の友人、外の人との繋がりは、これからも残り続け、
島で暮らしていくうえでなくてはならないもののような気がします。

大きく印刷された顔写真は、本人の自宅や集会所へ。
そして、今回の写真を収めたプロジェクトブックは、行政や自治会へ。
ちなみにHOMEMAKERSのお店にも置いてあります。

「小豆島の顔」のポスターにもなったたけっちゃん。ご本人の写真とともに。

「小豆島の顔」のプロジェクトブック。HOMEMAKERSで読めます。

瀬戸芸も「小豆島の顔」プロジェクトも終わり、
またいつもの冬を迎えようとしている静かな小豆島。
でも実は、新たなプロジェクトがあちこちで動き出そうとしています。
楽しみ楽しみ。

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