連載
posted:2013.7.1 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer's profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が異様に強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HomeMakers」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、カフェ、民宿をオープンすべく築120年の農村民家を改装中。
http://homemakers.jp/
梅雨らしい天気が数日続いている小豆島。
梅雨というより夏の豪雨のような雨が降り続け、
田んぼの稲も、畑の野菜や雑草もぐんっと大きくなった。
緑が一層濃くなり、いよいよ夏がそこまで来ているのを感じます。
私たちが暮らしている小豆島の肥土山(ひとやま)というところには、
小さな田んぼがあちこちにあります。
小さなといってもそれなりの面積はあり、
なんというか田舎スケールで考えた時の“小さな”田んぼです。
大きな米農家さんがどーんと広大な田んぼで米を育てて販売するというより、
それぞれの家が田んぼを所有をしていて、
自分の家や知り合いの分のお米を育てるという感じ。
家のすぐそばにも田んぼ、幼稚園に歩いて行く時にも田んぼ。
いまの時期は青々とした田んぼがとても美しい。
そして、子どもたちは毎日のように田んぼでカエル探しをしています(笑)。
その肥土山の田んぼで、先日「どろんこ遊び」がありました。
「美水(みみず)くらぶ」さんが主催してくださるイベントで、
島中の幼稚園児や小学生たちがやってきます。
美水くらぶさんは、9年前から活動されている地域の人たちのグループ。
小豆島肥土山で昔ながらの農法でお米作りをしており、
子どもたちにいろいろな体験をさせてくれます。
春のどろんこ遊びから始まり、田植え、草抜き、
秋には稲刈り・はざかけ、脱穀、そして餅つき。
1年を通して、お米を作ることがどんなことなのか、楽しみながら教えてくれます。
私たちが肥土山に引っ越してきたのは去年の10月末だったので、もう稲刈り後。
なので今年は初めてこの1年を通したイベントに参加できます。
実は親の私が一番ワクワクしているのかも(笑)。
どろんこ遊びの日は、晴れ渡った気持ちのいい日でした。
砂場のどろんこ遊びとは迫力が違って、とにかく本気。
子どもたちの表情や動きが本当に楽しそうで、見ているこっちまで興奮しました。
田んぼで駆けっこをしたり、綱引きをしたり、体全体を使って楽しむ。
遊ぶってこういうことなんだなと。
そしてそれをただ見守るだけでなく、
美水くらぶの皆さんや幼稚園の先生たちも一緒に遊ぶ。
一緒に遊びながら、子どもの遊び方の幅を広げる、
さりげなくフォローする大人たちの姿がとてもかっこ良かった。
この日は、久々に心が震える風景を見た気がした。
大げさかもしれないけど、それくらい素敵なイベントでした。
田舎で子どもを育てるということは、いいことばかりではない。
素晴らしいこともある反面で、そもそも子どもの数が少ない、
そして教育レベルについてもよく指摘される。
そういうことはやっぱりちゃんと意識して、何らか工夫しないといけない。
それでも、いまの私たちが選んだ子育ての場所はここ。
家で働きながら、子どもとともにどう暮らしていくか、
まだまだ模索中というところかな。
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