連載
posted:2013.6.3 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer's profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が異様に強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HomeMakers」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、カフェ、民宿をオープンすべく築120年の農村民家を改装中。
http://homemakers.jp/
曇り空が続くここ数日。
四国地方は例年よりも9日早く梅雨入りしたそうです。
ここのとこ全然雨が降っていないので、そろそろしっかり降ってほしいところ。
畑のお野菜たちのためにも、自分たちの体を休めるためにも(笑)。
「晴耕雨読」という言葉があります。
晴れた日には田畑を耕し、雨の日には家に引きこもって読書する、というような意味。
まさにいまはそんな暮らしで、晴れの日は基本的に畑。
事務作業は夜でもできるし、晴れてるなら畑であれしよ、これしよっと思ってしまう。
なので、あまりにも晴れの日が続くと体が疲れてきて雨が恋しくなってきます。
そして待望の雨。
そんな日は家の中で、事務作業をしたり、料理をしたり。
体を休めながら、気になってることをあれこれとします。
あれやらなきゃこれやらなきゃといつもいろいろなことが気になってるのですが(笑)、
その中のひとつ、ご近所さんからいただいた夏みかんやいちごでジャム作り。
食べてしまえる量ならいいんだけど、あきらかにそんな量じゃなくて、
30キロ用の米袋に夏みかんどっさり。それを4袋とかそういう量。
放っておくとすぐに傷んでしまうので、
なんとかしなきゃといつも頭の片隅で気になってる。
私たちが暮らしている小豆島の肥土山では、
村人全員といってもいいほど皆、畑仕事をされています。
もちろん家庭菜園レベルから専業農家まで幅は広いけど、皆何かしら作っている。
だから風景の中に普通に畑や田んぼがある。
そしてこっちに来て印象的だったのは、果樹の多さ。
道を歩けば、みかんやダイダイ、レモン、柿、梅、
サクランボ、ビワ、ザクロなどの木があって、実がなっている。
こういうのは何も特別じゃなくて昔は普通だったのかもしれない。
学校の帰り道にザクロを採って食べたり。プチプチ酸っぱい感じ。
それがまだ残っているだけなのかも。
でも名古屋から引越してきた私たちにとって、それはとても印象的な風景。
引っ越してすぐの10、11月頃は、ちょうど早生の温州みかんの収穫が始まる時期。
家の目の前も小さなみかん畑で、近所のおばちゃんが収穫したみかんをくれたり、
いろはも一緒に収穫したり。
わざわざフルーツ園などに行かなくとも、ここで暮らせば
毎日「みかん狩り」ができるなーと思った記憶がある。
こうして年中、何かしらの果物が収穫できるこの場所で暮らしていると、
常に家にも何かしらの果物があって、自然とそれを加工して
ジャムやシロップ、ジュース、ポン酢などを作るようになった。
最初に作ったのはイチジクのジャム、続いてレモン&オレンジシロップ、
そして金柑ジャム、ダイダイポン酢、夏みかんジャム、サクランボジャム、
サクランボ酒、イチゴジャム、イチゴの酵素シロップ……と
次々とその季節に採れる旬の果物で挑戦してみている。
作ることが楽しくなってきて、たくさん作っては友だちやご近所さんにおすそ分け。
「この前は夏みかんをありがとう」と言って、
もらった夏みかんで作ったジャムをお礼に。
こうやって果物を通して自然とコミュニケーションが生まれたり。
「果物離れ」という言葉を聞いたことがある。
すぐに食べられるお菓子の種類が豊富となり、
皮を向かなきゃ食べられない、日持ちしない、値段が高い果物を
食べる機会が減っているそう。
確かに名古屋にいる頃の我が家も果物離れしていたと思う。
だけど肥土山で暮らすようになり、格段に果物を食べる機会が増えました。
身近に果樹があり、それに少し手間を加えて食べる時間があるからなのかも。
果物が育っていく様子を日々見られる。
自分たちが収穫できる。
旬の果物を知ることができる。
身近に果樹がある生活は、子どもにとっても大人にとっても楽しくて、
何より美味しく学べるのがうれしい。
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