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飛騨地方の珍しい郷土食って?
外国人観光客をも惹きつける
高山市の注目スポットと食文化

あなたはなぜ飛騨を好きになったのですか?
vol.004

posted:2016.11.21   from:岐阜県高山市  genre:暮らしと移住 / 旅行

sponsored by 飛騨地域創生連携協議会

〈 この連載・企画は… 〉  最近、飛騨がちょっとおもしろいという話をよく聞く。
株式会社〈飛騨の森でクマは踊る〉(ヒダクマ)が〈FabCafe Hida〉をオープンし、
〈SATOYAMA EXPERIENCE〉を目指し、外国人旅行者が高山本線に乗る。
森と古いまち並みと自然と豊かな食文化が残るまちに、
暮らしや仕事のクリエイティビティが生まれ、旅する人、暮らし始める人を惹きつける。
「あなたはなぜ飛騨を好きになったのですか?」

writer profile

Tomohiro Okusa

大草朋宏

おおくさ・ともひろ●エディター/ライター。東京生まれ、千葉育ち。自転車ですぐ東京都内に入れる立地に育ったため、青春時代の千葉で培われたものといえば、落花生への愛情でもなく、パワーライスクルーからの影響でもなく、都内への強く激しいコンプレックスのみ。いまだにそれがすべての原動力。

photographer

Masahiro Ota

太田昌宏

credit

Supported by 飛騨地域創生連携協議会

高山市で行くべきスポットと注目の食文化

飛騨エリアとは、高山市、飛騨市、下呂市、白川村の4市村のこと。
しかしそれらは広く、全体としての特徴がありながらも、
それぞれには深い文化が醸成され、おもしろいスポットも誕生している。

今回は高山市で注目すべき場所を紹介。
すでに観光地としても名高く、特に最近では外国人観光客に人気が高い。
彼らも東京などの都市部とは違う魅力を発見しているようだ。
自然が近く、その恩恵を受けた高山を堪能してほしい。

上から下から、滝を見る〈宇津江四十八滝県立自然公園〉

全国各地に四十八滝と呼ばれる滝の集まりがある。
某アイドルグループと同じく正確に48ではなく、数が多いことを指すが、
約800ヘクタールの県立自然公園に、無数の滝が存在している。
標高1200メートルにある滝上川が源流で、名前をつけられている滝が13ある。
高さ18メートルの急峻な滝や、2メートル程度のゆったりとした角度で流れる滝、
幅の広い滝など、すべてが独特の表情を見せてくれるので飽きない。

すべての滝を巡るように登って行くと、所要約1時間。
道は整備されているので、普段の格好のままでも
充分に歩ける(もちろんスニーカーなど動きやすい格好がベター)。
滝と飛騨の木々、つまり水と緑で目にも心にも栄養を。

information

map

宇津江四十八滝県立自然公園

住所:岐阜県高山市国府町宇津江3235-86

TEL:0577-72-3948(四十八滝総合案内所)

〈やわい屋〉で民藝の意志を感じよう

今年4月にオープンしたばかりの民藝ショップ〈やわい屋〉。
高山市街地からは車で20分ほど。のんびりとした雰囲気の景色を進んでいくと
味のある建物が見えてくる。実は移築した古民家なのだ。
「オリジナルに近いかたちのまま、次に誰かが移築するときも
また使えるようにお願いしました。だから間取りもほぼそのままです」
この古民家を見に行くだけでも充分におもしろい。

店主の朝倉圭一さんは民藝の考え方に影響を受けてこのお店を始めた。
店内には、数々のうつわや小物が並んでいる。
「工房に見学しに行って、暮らしぶりや考え方に共感した作家の作品を
置かせてもらっています。みんなやさしく迎えてくれるんですよね。
それが民藝のあたたかさ。同じことをこのお店でも感じてもらいたい」

取り扱う作家数を増やすよりも、好きになった作家の作品を
なるべく多く取り揃えようとしている。現在は13組の作家の商品がある。
「まちの専門店になりたいんです。かつての魚屋さんや八百屋さんのような。
特殊なものがあるというよりも、“いいのが入ったよ”と教えてくれたり、
あそこなら間違いないものがあるというお店です」
飛騨地方で民藝のことが知りたいなら、まずはやわい屋へ。

information

map

やわい屋

住所:岐阜県高山市国府町宇津江1372-2

TEL:0577-77-9574

https://yawaiya.amebaownd.com/

のんびりしたいなら〈檪(いちい)〉へ

高山のまちを一望できる高台に、山小屋のようなカフェを構えて38年。
まち中からプラプラと散歩がてら歩いていくのに
ちょうどいい距離にあるのが〈檪(いちい)〉だ。
地元の人が、友だちや親戚が来たときに連れて来て、
まちのアウトラインを説明していることも多いようだ。

景色がいいので、テラス席は最高だし、屋内席でも窓が大きいので
日差しが心地いい。なんだかのんびりしてしまう。
「長時間大歓迎です。パソコンで仕事してもいいし、お昼寝してもいい。
昼寝できるくらいリラックスしてもらえるのが理想です。
欧米人の方のほうがそういう使い方がうまいですよね。
トランプなんかして、5時間くらいいる人もいますよ」

西向きなので、夕陽が美しく、桜並木なので春には華やかな風景を見せる。
移りゆく自然も堪能できる。ちなみに檪というのは木の名前だが、
岐阜の県木であり、高山の市木でもある。まるでこの地を象徴しているようだ。

お店は道の突き当たりで、この先には北山公園がある。
そこからはまちの反対側を臨むこともできる。ぜひ公園とセットで訪れたい。

information

map

住所:岐阜県高山市三福寺町4340

TEL:0577-34-9016

飛騨でしか食べない!? なつめの甘露煮

飛騨地方、特に高山市の国府町で、以前は盛んに栽培されていた「なつめ」。
かつては子どもたちが、庭先などに生えているなつめを採って食べていたそう。
いまでも庭になつめの木を植えている家庭も多い。
ひと粒2~3センチの大きさで、薬膳料理などに使われるなど珍重されてきた。
熟したものは、そのまま生でいただける。
リンゴと比べられるようにさわやかでシャリシャリとした食感だ。

なつめの甘露煮は、飛騨のみで食べるといわれる郷土料理。
朝市などで生のなつめを購入して甘露煮をつくってみるのもいいが、
まずはお手軽な缶詰めもある。おみやげにも喜ばれそうだ。
ここまでなつめを日常的に食すのは飛騨だけ。
訪れた機会にぜひ、なつめデビューしてみては?

江戸時代へタイムスリップできる〈高山陣屋〉

江戸時代、飛騨の政治が行われていた場所。役所や家などを総称して陣屋という。
全国で唯一、郡代役所の建物が現存していて、現在のものは平成8年に
修復・復元が完成。江戸時代の〈高山陣屋〉の姿がほぼ再現された。
高山観光のハイライトともいえる。
観光客でいつも賑わっているが、一度は訪れておきたい場所だ。

江戸時代、高山は天領地と呼ばれ、幕府の直轄地になった。
それを証明するのが葵紋の幕。水戸黄門のアレと同様である。
館内を見学してみると、細かいデザインなどおもしろい。
ガイドツアーに参加すれば、江戸時代の高山を勉強しながら、
より立体的に思い描くことができそうだ。

information

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高山陣屋

住所:岐阜県高山市八軒町1-5

TEL:0577-32-0643

古民家〈久田屋〉でゆっくりとジャズライヴを。

「TOKU & 小沼ようすけ Duo Live in 飛騨高山 at 日下部民藝館」

高山で音楽を楽しみたいと思ったら、絶好の場所がある。
ライヴハウスでも、クラブでもない。
築100年を超える古民家で、高山の郷土料理が食べられる〈久田屋〉だ。

主催しているのは久田屋の久田上総さん。
年に数回、久田屋を使ってジャズを中心として音楽ライヴを開催している。
和の空間、しかも古民家でジャズを聴くなんてオツなもの。
お酒は持ち込み自由で、おつまみを提供するという。

「いつも家で飲んでいるお酒を持ってきてもらって、
アットホームな雰囲気で、楽しんでもらいたい。
自分自身がお酒を飲み歩くのが好きなんです。
ホールのようなところでライヴを聴くのもいいけど、
“日常の延長線上にある非日常”みたいなものを目指しています」

久田さんは、高山生まれ。高校まで高山で育ち、その後関西に移住。
自身も音楽活動をスタートして、勉強のためにアメリカに2回ほど留学している。
「古民家で生まれ育ったので、正直、昔は特に憧れのようなものはありませんでした。
自分の家ですからね(笑)。でも外に一度出てみて感じるのは、
100年以上の古民家がたくさんあって、しかもそこでライヴもできてしまう。
そんな土地は珍しいのではないでしょうか」

久田屋以外にも、最近では〈日下部民芸館〉でも開催することもある。
こちらはやや広めなので、ビッグネームを招聘することも。
地元の人にとっては歩いていけるような場所なので、
年配の方は着物で着てくれることもあるという。
旅先で、地元の人にまじってライヴを楽しんでみるというのも
おもしろい体験になりそうだ。

information

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久田屋

住所:岐阜県高山市上三之町12

TEL:0577-32-0216

営業時間:10:30〜15:00(L.O.)

*音楽イベントは別の時間で開催

http://hisadaya-hida.com/

世界を魅了する飛騨の〈山椒粉〉

江戸時代に徳川将軍にも献上されたという記録も残っている飛騨の山椒。
奥飛騨の山中で、高度800メートル、半径5キロメートルという、
ある限られたエリアの土地で栽培された山椒のみが、高い香りを生み出す。
ちなみにほかの土地に移植してもこの香りは出ないという。

そんな飛騨産山椒を100%使用してつくられているのがこの〈飛騨山椒〉の〈山椒粉〉。
創業以来、天日干しにこだわっている。乾燥機などを使うと香りが飛んでしまうからだ。
その後、種と皮を分け、皮のみ杵と石臼でついて粉にしていく。
その味と香りの良さは全国的にも知れ渡っている。
たかが山椒と侮るなかれ、飛騨の山椒を試してみるべし。

information

■日本一広い、飛騨地域の中心市「高山市」をもっと知るには↓

グッとくる飛騨:高山市

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