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お正月準備はこれでOK!
野草の手づくり「お屠蘇」と
「3種のおせち」レシピ

糸島での自給自足の日々を綴った
―田舎暮らし参考書―
vol.055

posted:2023.12.27   from:福岡県糸島市  genre:食・グルメ

〈 この連載・企画は… 〉  田舎へ移住を考えている人、すでに移住した人。
そんな方の、暮らしの参考やアイデアになるはずです。農業、狩猟、人とのつながり、四季のこと。
福岡県糸島で自給自足生活を営む〈いとしまシェアハウス〉の暮らしをお届けします。

writer profile

CHIHARU HATAKEYAMA

畠山千春

はたけやま・ちはる●新米猟師兼ライター。3.11をきっかけに「自分の暮らしを自分でつくる」活動をスタート。2011年より鳥を絞めて食べるワークショップを開催。2013年狩猟免許取得、狩猟・皮なめしを行う。現在は福岡県にて食べもの、エネルギー、仕事を自分たちでつくる〈いとしまシェアハウス〉を運営。2014年『わたし、解体はじめました―狩猟女子の暮らしづくり』(木楽舎)。第9回ロハスデザイン大賞2014ヒト部門大賞受賞。
ブログ:ちはるの森

こんにちは。
「食べもの・お金・エネルギー」を自分たちでつくる
〈いとしまシェアハウス〉のちはるです。

いよいよ2024年が近づいてきましたね。
年末の準備などはお済みですか?

我が家の大掃除は、毎年手づくりの灰洗剤が大活躍! 
灰の研磨剤を使えば、換気扇やコンロ周りのしつこい汚れもすっきりです。

そして、大掃除が終われば「おせち」の準備が始まります。
今回は、我が家で定番の
簡単「おせち」 & 野草でつくるオリジナル「お屠蘇(おとそ)」
のレシピをご紹介します。

オリジナルブレンドのお屠蘇の写真。薬草・野草もわきに添えてある。

お正月に無病長寿を願って飲まれる「お屠蘇」。薬草・野草をブレンドしてオリジナルのお屠蘇をつくりました。

初心者でも簡単! 小さなかわいい「3種のおせち」

今となっては「おせち=買ってくるもの」というイメージになりつつあるようですが、
昔はそれぞれの家庭で手づくりするのが主流でした。

お重に詰めれば豪華絢爛に見えるおせち料理も、
ひとつひとつの料理は意外とシンプル。
特別な技術は必要なく、普段のごはんをつくる感覚でつくれてしまいます。

今回は「これが揃えばお正月が迎えられる!」という
おせち料理の代表格「祝い肴三種」から「田づくり」「黒豆」の2品と、
主役級の存在感を放つ「なます」のレシピを紹介します。
この機会に、手づくりおせちに挑戦してみませんか?

(1)カリカリおいしい、ナッツといりこの「田づくり」

フライパンでいりことクルミを炒って、田づくりをつくっている写真

このポリポリ感と、甘じょっぱさがお酒と合う。手が止まりません。

「五穀豊穣」の象徴としておせちに欠かせない「田づくり」。
たくさん獲れたイワシを田んぼの肥料にしたところ
大豊作になったことが名前の由来なのだとか。
また、幼魚を多く使うことから「子孫繁栄」の意味も込められているといいます。

<材料>

・いりことくるみ:50グラム(割合はお好みで)

・醤油:大さじ2

・砂糖:大さじ3

・酒:大さじ2

・みりん:大さじ1

<つくり方>

1.フライパンでいりことくるみをカリカリになるまで炒って水分をとばす。(強火にすると焦げるので注意!)

2.フライパンからいりことくるみを取り出し、調味料すべてを入れて中火にかけて煮詰め、水分を飛ばす。

3.とろっとしたカラメル状になったら火を消し、いりことくるみを加えて手早くからめる。

4.くっつかないようにクッキングシートに広げて冷ます。

固まるとくっつきやすいので、手早く行うのがポイント! 
カリカリの風味を楽しんで。

(2)錆び釘を使ったツヤツヤ本格「黒豆」

しわのない、つやつやした煮豆をスプーンですくっている写真

黒豆煮。関西では「不老長寿」を願ってシワがつかないようにつくりますが、関東では「しわが寄るまで元気でいられますように」と、しわがつくように煮るのだそう。

黒豆には「マメに元気に働けるように」と
「無病息災」の意味が込められています。

また「黒は邪気を払う」とされ、
昔は豆の黒さを引き出すために錆びた釘を一緒に煮ていました。
くぎの鉄分が豆の色素と反応し美しい黒になるのです。

錆びた釘はなかなか手に入らないので、
南部鉄器でつくられた鉄玉を入れたり、鉄鍋で煮ると黒く美しい豆になります。
(なくても大丈夫!)

<材料>

・黒豆 70グラム

・錆びた釘や鉄玉など(あれば)

・醤油 小さじ2

・砂糖 50〜60グラム(お好みでOK)

・塩 ひとつまみ

<つくり方>

【1日目】

1.黒豆と錆び釘はさっと洗い、釘はお茶パックに入れる。(釘の錆は落とさないように)

2.豆と釘、醤油、砂糖、塩を420mlの熱湯に入れ、一晩浸水する。(10時間以上)

【2日目】

3.2を鍋に移して火にかけ、煮立ったらアクを丁寧に除く。

4.落としぶた(なければキッチンペーパーでもOK)をし、さらに鍋のふたをして3~4時間弱火で煮る。

5.豆がやわらかくなったら火を止める。錆び釘を取り出し、そのまま冷まして味を染み込ませる。

6.煮汁ごと保存容器に入れ、豆がひたるようにして冷蔵庫で保存。(空気に触れるとシワが出ます)

保存期間は5日ほど。
途中で火入れをすればもう少し長持ちします。
食べ切れない分は小分けして冷凍保存すれば、約1か月半ほど持ちます。

調味料と混ぜて煮るだけの、至ってシンプルなレシピです。
ただし、前日から浸水する必要があるので、事前準備をお忘れなく! 

(3)ほんのり甘い、干し柿の「なます」

豪華に盛り付けられたおせちの写真。なますは柚子の実をくりぬいて器しに詰めてある。

なますって地味……と侮るなかれ。ゆずや小さな柑橘を器にするだけで一気に主役級の一品になります。ちょっと手間だけど、この存在感は手をかける価値アリ。

紅白なますは色合いがお祝いの水引に似ているため、
「平安」と「平和」を願う縁起物とされています。

我が家では干し柿を加えて、
酸味と甘みのバランスがとれた、爽やかな組み合わせのレシピにしています。

<材料>

・大根 2分の1本

・にんじん 2分の1本

・干し柿 1~2個 

・塩 大さじ2分の1

・砂糖 大さじ4

・酢 半カップ

・塩(塩もみ用) ひとつまみ

<つくり方>

1.大根、にんじんは長さ3~4センチの細切りにする。

2.1に塩ひとつまみをふって手でもみ、しんなりしたら水で塩を洗い流す。ぎゅっと絞って水気を切る。 

3.干し柿はへたと種を除いて細切りにする。

4.調味料をすべて混ぜてから、干し柿、大根、にんじんを加えてあえる。

ゆずや柑橘の中身をくり抜いて入れ物にすると、おせちがパッと華やかに!

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ワインでつくってもおいしい!

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野草の手づくり「お屠蘇」

ガラスの器に入った、あめ色のオリジナルお屠蘇と、薬草・野草の写真。

薬草を入れた手づくりお屠蘇。野草や薬草をいくつかブレンドし、一番香り高く風味のある組み合わせを考えてみました。お気に入りの薬草でオリジナルお屠蘇に挑戦しても◎ ワインでつくったり、お湯で煮出したりと、好きなスタイルで楽しんでみてください。

1年間の邪気を払い、長寿を願う祝い酒「お屠蘇」。
邪気を屠(ほふ)り、魂を蘇らせるという意味があり、
「一人これを飲めば一家病無く、一家これを飲めば一里病無し」
といわれています。

もともとは屠蘇散(とそさん)と呼ばれる5~10種類の生薬を
お酒とみりんに漬け込んだ薬草酒ですが、
今回は伝統的なお屠蘇の薬草に加え、糸島でとれた野草6種類をミックスしてみました。

(1)陳皮(チンピ): 干したみかんの皮。糸島の甘夏の皮でつくりました。風邪の予防、咳や痰を鎮めたり、健胃作用があるとされています。

(2)青山椒(あおざんしょう):胃腸をあたため、食欲を増進させ、冷え性改善にも役立つとされています。

(3)肉桂(ニッキ):シナモンのこと。疲労、胃腸の不調に効果があるとされています。

(4)よもぎ:糸島の山でとり、天日干しさせたもの。浄血・増血効果、腸内環境を整え、体を温めるほか、美容効果も期待できるとされています。

(5)すぎな:シェアハウスの庭で収穫。自律神経を整え、むくみとりやデトックス効果もあるといわれています。

(6)丁字(ちょうじ):クローブのこと。しゃっくり止め、歯痛止め、抗菌作用もあるのだとか。

<材料>

・お好みのお屠蘇の薬草

・日本酒 150ml

・本みりん 150ml

<つくり方>

1.日本酒と本みりんを合わせる。

2.お屠蘇の薬草をお茶パックにすべて入れ、1に浸す。

3.薬草の香りがお酒に移ったらできあがり。

※甘めが好きな人はみりんを多めに、スッキリ感が好きな人は日本酒を多めに。
※大晦日の夜、または元旦の早朝に漬け込みましょう。
※みりん風調味料ではなく、本みりんを使いましょう。「本みりん」と書いてあれば本物です。本みりんが見つけられない場合は、日本酒だけでもOK。
※薬草を入れっぱなしにするとえぐみが出ることがあるので、お好みの頃合いで取り出してください。

成分が抽出されてあめ色になったお屠蘇をグラスに注いでいる様子の写真。

薬草の成分が溶けだしたお屠蘇は、とろとろとした口当たりです。

お屠蘇の飲み方のお作法

ここで簡単にお屠蘇のお作法を紹介します。
地域によっても違うので、参考程度にしつつ
「こんな意味合いがあるんだ」と想像しながら気軽に楽しんでいただけたらと思います。

<お作法>

お屠蘇は、おせちを食べる前に。
元日の午前中にいただきます。

お屠蘇を飲む前には、元日の朝に汲んだその年初めての水で手を清め、
神棚や仏壇を拝んでから家族で新年の挨拶をすませます。

飲むときは家族全員が東の方角(日の出の方向)を向きます。

飲むのは年少者から年長者という順番。
これは若者のエネルギーを年長者に分ける意味合いと、
毒見の名残といわれています。
厄年の人は厄を祓う力を分けてもらうため、最後に飲みます。

子ども用にはアルコールを飛ばしたみりんでつくるか、
盃を傾けて、飲んだふりをするだけでも充分です。

つくり方のアレンジやポイント

思い切ってワインに入れてみると、サングリアのような味わいの、爽やかな薬草酒になります。
オリジナルお屠蘇を試してみたい方はぜひお試しあれ!

お酒が飲めない方は、
お茶のようにお湯で煮出してもOK。
アルコールに比べるとエキスが出づらいので、少なめのお湯で。

忙しくてつくる時間がない! という方には、
スーパーなどに「屠蘇散」というお屠蘇のスパイスが入ったものが売られているので、
そちらで試してみるのもいいかもしれません。
インターネットでも検索すればすぐ出てきますよ。
1包300〜400円前後で手に入ります。

みんなでおせち料理をお重に詰めている様子の写真。

年末年始は、元シェアメイトたちも集まって一緒におせちづくりをします。

我が家は毎年気合の入ったおせちをつくるのですが、今年はできるかなあ。
忙しくてまだ何の準備もできていないので、
今年は無理せず、ゆるゆる楽しめたらと思います。

みなさんも、よいお年をお過ごしください!  
来年もどうぞよろしくお願いいたします。

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