オンライン授業で
どこまで気持ちが込められる?
77の質問に手書きで答えて

自己紹介を紙芝居風にまとめる取り組み

札幌にある北星学園大学で、1年に1度、ゲスト講師を務めている。
今年が2年目。文学部の心理・応用コミュニケーション学科の3、4年生が対象で、
将来をいままさに考え中のみなさんに、自分の活動やこれまでの体験について話す
「総合講義」という枠だ。

わたしが話題にしようと思っていたのは「過疎で営む、小さな出版活動の可能性」。
自分がつくった本について話しをしようと思っていたところ、
新型コロナウイルスの感染が拡大していき、大学ではオンラインの授業形態が導入され、
講義の多くがZoomで行われることとなった。

開講日は5月19日。
オンラインでの授業が決まった段階で、わたしは昨年と同じように、
ただ話すだけでは、大事なものが伝わらないのではないかと思った。

2012年に北海道に移住してから、東京の仕事先とオンラインでつなぐことが多かった。
このとき事務的な伝達であればまったく問題ないのだが、
アイデアを考えるときには高揚感が少なく、
相手と共感し合う気持ちが薄いように感じていた。

そこで、自分のいままでの経歴については書面にまとめて
あらかじめ配布しようと考えた。
わたしは編集者なので、人前でしゃべるよりも、
本のようなかたちにして伝えるほうが得意(!)。
全編手書きで紙芝居風プロフィールをつくってみた。

加えてこの講義では、事前にゲストの活動について調べ
質問を考えるのも課題のひとつとなっていた。
学生のみなさんは紙芝居風のプロフィールとともに
コロカルの連載なども読んだうえで、さまざまな質問を寄せてくれた。

履修している学生はおよそ100名(!)。
ひとり2~3問の質問を考えてくれていて、読むだけでもかなりの時間を費やした。
わたしの仕事に興味を持ってくれた人が多く、
読み流してしまうにはもったいないと感じ、A4コピー用紙を4分割し、
ひとコマにひとつ答えを書いてみることにした。

最初は軽い気持ちで始めたが、1日やってもゴールにたどり着けず、
持っている鉛筆がどんどん短くなっていったが、
ついに全部に答えることはできなかった。

およそ200問くらいあったなかから77問に答えた。

およそ200問くらいあったなかから77問に答えた。

質問の内容に身につまされる想いがした。
「不安」「ストレス」などネガティブな言い回しがたくさんあったからだ。

「移住して戸惑いやストレスを感じましたか?」
「会社から独立するときに不安はありませんでしたか?」
「仕事をしていて、一番辛かったことは?」

外出自粛要請が続くなかで、アルバイトもできず友人にも会えず、
就職活動も思うように進められない。
仮に就職ができたとしても、経済に大打撃が起こっているなかで、
未来の展望が見出せない、そんな苦しさが質問からにじみ出ているように思えた。

これに対して、わたしはできるだけシンプルに正直に答えるようにしてみた。
講義の前日ギリギリにみなさんに答えを届け、
いよいよオンライン講座に挑むことになった。

「質問ありがとうございました!!」の手紙とともに、答えを送った。

「質問ありがとうございました!!」の手紙とともに、答えを送った。

オンラインで授業が行われるなかで、在宅ワークに関する質問も多かった。

オンラインで授業が行われるなかで、在宅ワークに関する質問も多かった。

writer profile

來嶋路子 Michiko Kurushima
くるしま・みちこ●東京都出身。1994年に美術出版社で働き始め、2001年『みづゑ』の新装刊立ち上げに携わり、編集長となる。2008年『美術手帖』副編集長。2011年に暮らしの拠点を北海道に移す。以後、書籍の編集長として美術出版社に籍をおきつつ在宅勤務というかたちで仕事を続ける。2015年にフリーランスとなり、アートやデザインの本づくりを行う〈ミチクル編集工房〉をつくる。現在、東京と北海道を行き来しながら編集の仕事をしつつ、エコビレッジをつくるという目標に向かって奔走中。ときどき畑仕事も。
http://michikuru.com/

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