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『人生フルーツ』に憧れて。
日記のように子育てしていくログハウス

わが家が楽しすぎる! BESS × colocal
vol.018

posted:2023.2.24   from:神奈川県秦野市  genre:アート・デザイン・建築

sponsored by BESS

〈 この連載・企画は… 〉  ライフスタイルの基本は、やはり「家」。
ログハウスなど木の家を得意とする住宅ブランド〈BESS〉とともに、
わが家に好きなものをつめこんで、
最大限に暮らしをおもしろがっている人たちをご紹介します。

writer profile

Tomohiro Okusa

大草朋宏

おおくさ・ともひろ●エディター/ライター。東京生まれ、千葉育ち。自転車ですぐ東京都内に入れる立地に育ったため、青春時代の千葉で培われたものといえば、落花生への愛情でもなく、パワーライスクルーからの影響でもなく、都内への強く激しいコンプレックスのみ。いまだにそれがすべての原動力。

photographer profile

Hiromi Kurokawa

黒川ひろみ

くろかわ・ひろみ●フォトグラファー。札幌出身。ライフスタイルを中心に、雑誌やwebなどで活動中。自然と調和した人の暮らしや文化に興味があり、自身で撮影の旅に出かける。旅先でおいしい地酒をいただくことが好き。
https://hiromikurokawa.com

木に囲まれたログハウスで暮らしたい

「『人生フルーツ』を観て、木の家に住む暮らしに憧れていました」

そう話すのは、
神奈川県秦野市にBESSの「カントリーログ」を建てて住んでいる八島巧実さん一家。

近代建築の巨匠である建築家、アントニン・レーモンドの弟子である
津端修一さんを追ったドキュメンタリー映画『人生フルーツ』。
土地を購入し、その場所に何十年に渡って雑木林を生み出しながら、
自ら建てた平屋で暮らす夫婦の物語である。
周辺環境はもちろん、その暮らしぶりに憧れた。

八島巧実さんと絢さん、そして子どもたち。

八島巧実さんと絢さん、そして子どもたち。

神奈川県藤沢市の鵠沼海岸に住んでいたとき、
なんとなくBESSのLOGWAY(ログウェイ・展示場)に行ってみて、一目惚れ。
そこから購入までの流れは早かったという。
『人生フルーツ』にあやかり「明るい色ではなく、木そのものの雰囲気がよくて」と、
BESSのなかでもログハウス感の強い「カントリーログ」を選んだ。

カタカナの表札がかわいい。

カタカナの表札がかわいい。

当初思い描いていた暮らしも、やはり『人生フルーツ』の影響が大きかったという。
まずは庭に木を植えること。

「家を建てたときにいくつか植えてもらいました。
その後に自分で植えたものもあります」

雑木林にまで育てるのは難しいかもしれないが、
これから時間をかけて育っていくのが楽しみな、若い木がたくさん植えられている。

窓際にダイニングテーブルを設置して、外を眺めながら食事できる。

窓際にダイニングテーブルを設置して、外を眺めながら食事できる。

庭の木々には野鳥用のバードハウスを設置。
ふたりの共通の趣味であるバードウォッチングを、
子どもとダイニングテーブルに座りながら楽しんでいる。
子どもが産まれる前、鵠沼海岸に住んでいるときにふたりで好きになったという。
ちょうどシジュウカラが飛んできた。

「小鳥、好きですね。愛らしさしかない。
それまでスズメとハトとカラスしか知らなかったんですが、
ちゃんと見てみると、ちょっと緑の多い公園なんかに行けばたくさんいるんですよね。
木の先端にいる鳥もいれば、中に入って止まっている鳥もいます」と言う奥様の絢さん。

「最初は図鑑を持っていって照らし合わせたり、写真を撮ってあとで復習したり。
1年くらいやっていると、季節と大きさ、止まっている木の場所で、
だんだんわかるようになってきました」と続ける巧実さん。

土間部分はリビングとして利用しているが、もう少しいい使用方法があればと常に考えている。

土間部分はリビングとして利用しているが、もう少しいい使用方法があればと常に考えている。

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子どもを撮るのに向いているカメラとは?

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SNSに投稿する家族の記録

八島さんは、instagramやtumblr、the LetterなどのSNSで数多くの写真を投稿している。
学生時代から写真を趣味として始め、以来、今までずっと写真を撮り続けてきた。

大学は工学部出身。
現在はカメラのレンズメーカーに就職し、レンズを設計する仕事に就いている。

自社製品をはじめとするカメラとレンズたち。

自社製品をはじめとするカメラとレンズたち。

「工学部だとクルマとかロボットなどのジャンルに進む人が多いですけど、
僕はあまり興味なくて……。好きな写真・カメラ関係の仕事に進みました」

撮影してSNSに投稿しているのは、主に子ども・家族や日常の風景。
レンズメーカーに勤めているだけに、
さぞ高額なレンズを使って撮影しているのかと思いきや、
そのほとんどはiPhoneだという。

「iPhoneは、まず常に持っていることがいいですよね。
かさばらないし、すぐに撮れる。
大きいカメラだと、子どもの素早い動きの瞬間を逃してしまいます。
それに今まで何度、子どもの頭にレンズをぶつけたことか……」

品質より何より、小さい子どもがいると、物理的なサイズがネックになる。

「パッと撮れてリアリティがあります。
普通の一眼レフカメラなどで撮ると、背景をぼかしたりしてそれっぽく写るけど、
自分の子どもでそれをやるとなんだか恥ずかしくて(笑)。
人のそういう写真を見ているのはいいのですが」

好きな写真家でもある濱田英明さんの写真と、家族のポートレート。直接壁に釘を打って飾っても気にならない。

好きな写真家でもある濱田英明さんの写真と、家族のポートレート。直接壁に釘を打って飾っても気にならない。

iPhoneがいい、なんて、レンズメーカーの人が言うから余計に説得力がある。

「いい機材を使った品質のいい写真と、いわゆる”いい写真”は別の話。
“いい写真”というのは、人それぞれですよね」

八島さんの写真は記録であり、作品とは違う。
もちろん、あえてそうしているのであって、意図があってのことだ。

ログハウスは木の調湿機能で、洗濯物が乾きやすい。八島家ももっぱら家干しだとか。

ログハウスは木の調湿機能で、洗濯物が乾きやすい。八島家ももっぱら家干しだとか。

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バイブルの「日記」とは?

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コツコツと日記として発信する

最近の八島さんのSNSは、「日記」に徹しているようだ。
あまり長い文章は書かず、簡潔に。
どうやら発信欲とも自己顕示欲とも違う。
フリーランスや起業家ではないから仕事の発信ではなく、
プロモーションしたいことがあるわけでもない。

「人の日記を見るのが好きなんです。
インスタも昔はそんな感じだったので積極的に投稿していたのですが……。
下北沢にある日記専門店〈月日〉にも、先日行ってみました。
バイブルにしている大好きなブログが『ダカフェ日記』です」

書籍化された『ダカフェ日記』シリーズはファンも多い。

書籍化された『ダカフェ日記』シリーズはファンも多い。

ダカフェ日記は、森友治さんが日常を撮り、写真とひと言を添えたブログで、
書籍化もされている。
本人いわく「出不精」なので、家の中で子どもと家族、犬ばかりが登場する。
でもユーモアがあって、ほっこりする。

実は森さんが使っていたレンズから、
八島さんが現在勤める会社を知ったという経緯もある。

「ただし、好きな写真家の写真と、
自分が撮りたい・撮るべき写真は別かなと思っています。
趣味なのに、ずっと写真を撮っているのってなんだろうって最近考えますね」

好きな写真家のひとりでもある高橋ヨーコさんのオリジナルプリント。

好きな写真家のひとりでもある高橋ヨーコさんのオリジナルプリント。

自分だけが見る本当の日記帳ではなく、発信をすることに意味があるという。

「SNSなどでアウトプットすることによって、すごく気づきはあります。
そのためにアンテナも張っていますし。
the Letterでは1週間分まとめて配信しているのですが、
その1週間を思い出すために、毎日メモしています。
日記を書いていなかったらメモもしていないし、
気づきもその瞬間だけで流れていってしまう。
だけど日記をアウトプットする場があるから、メモするし、気づきも残る」

日記は三日坊主になりがち。だから八島さんは、
「自分に課しているところもありますね」と言う。

「自分の生活を好きで読んでくれる人が少しでもいるなら、できるなあと。
僕も人の日記が好きなので」

日差しが入り込む明るいダイニングとキッチン。

日差しが入り込む明るいダイニングとキッチン。

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子育てが落ち着いたらやりたいこととは?

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コツコツと続けること、暮らすこと

BESSの家に住み始めて5年。
今は5歳と1歳の子育てに全力で向き合っている八島さん夫婦。
もっぱら子どもたちの時間帯に合わせた日々を過ごしている。
子どもの寝かしつけをしながら一緒に寝て、朝は早く起きる。

週末は、当然子どもたちと過ごす時間。写真を撮るのもこのタイミングが多くなる。

「撮るのは子供が多いですね。でもわりと引きで撮ることが多い。
子どもの顔というよりは、子どもがいる風景。
振り返ると、それが“自分の写真”なんだろうなと思います」

小さな子どもを育てているふたりにとって
「気を使わなくていい家」というのは最大の利点だ。

「床も壁もすごい傷だらけですけど、あまり目立たない。
柱にはマジックで落書きされていますけど、削れば取れますし、それもいい味かなと」

ダイナミックな柱の落書き。

ダイナミックな柱の落書き。

そして子どもが大きくなったときの暮らしを想像している。

「正直いって、近くなのにあまり秦野市のことを知らなかったんですが、
山や川など、気持ちのいい自然が身近にあるので、そういうところに出かけたいです」

ひとり暮らし時代は、会津に住んでいて山登りもよくしたという。
キャンプも年に数回はやっている。
それもあって、自然に近い環境を選んだ。

「あと畑もちょっとやってみたんですけど、子どももいるし、
なかなか続けられませんでした。将来的にはやりたいなと思っていますね」

これからの楽しみが続いていく八島家の暮らし。
それに向かって日記のように日々を積み重ねていくことが大切だと教えてくれる。

『人生フルーツ』とは、Life is Fruits。
「こつこつ、ゆっくり。人生、フルーツ。」

家も暮らしも、美しい経年変化には、
ゆっくりとした時間が必要なのだ。

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