連載
posted:2012.1.11 from:北海道虻田郡ニセコ町 genre:食・グルメ
〈 この連載・企画は… 〉
みんなどんな朝ごはんを食べているのか? 暮らしの大切な一場面だから、
おいしい朝のメニューを全国さまざまな場所で集めてみます。その土地ならではもあれば、新しいスタイルも!?
writer profile
Satoko Nakano
仲野聡子
なかの・さとこ●ライター。鳥取県生まれ。東京在住。「日常」を構成する人・コト・モノに興味を持ち、それにまつわるインタビューを主に生業としている。
credit
撮影:渡邊有紀
ニセコの味を守る、料理グループ「じゅうごばぁ」の代表、菊地昌子さん。
朝食に限らず、菊地さんの食卓はいつも賑やか。
なぜなら、近所の仲間たちがいろいろなものをおすそ分けしてくれるからだ。
「私自身は野菜をいくらも作ってないのでね、いただきものも多いんですよ。
さといもは、ご近所の方が静岡の弟さんから送ってもらったものを煮付けにしてくれたの。
少し煮ても余るからってね、私が留守の間に玄関に置いていってくれたのよ」
おひたしにした小松菜も、お隣からのいただきもの。野菜はあまり買うことがない。
ご近所では、みんなそうだ。お互いがお互いのものをおすそ分けし合っている。
「主人(元ニセコ町長)に世話になった、と言って、庭の世話をしてくれる方もいらっしゃる。
そうすると、苗を持ってきて植えてくれるわけ。気づいたら、トマトやししとうが育ってる。
食べ切れないから、作っていない方と分けるんです」
鮮やかなピンク色のお漬物は、紫キャベツ。
「紫キャベツも、毎年同じ方からいただくんです。
今年は息子のお嫁さんが半分持っていったから(笑)、残りをお酢で漬けたの」
ひとり暮らしの菊地さんの冷蔵庫は、このような保存食でいっぱいだ。
調味料も、できるだけ自分で作っていると話す。
もちろん、豆腐の味噌汁に使っている味噌も、菊地さんのお手製。
「お味噌汁にはアサツキを散らしてね。これは、春のうちに切って冷凍保存しているのよ」
それに、鮭の塩焼きをメインに添えてできあがり。
鮭は、最近腰を痛めた菊地さんのためにお嫁さんが買って届けてくれた。
「買うものといえば、肉や魚くらいかな」と話す菊地さん。
その土地土地のおいしさが集まった栄養たっぷりのごはんである。
Profile
MASAKO KIKUCHI
菊地昌子
ニセコ町の料理グループ『じゅうごばあ』のリーダー。
かつては中学校で国語を教えていた。元気な86歳。
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