連載
posted:2016.7.31 from:三重県尾鷲市 genre:食・グルメ
sponsored by KIRIN
〈 この連載・企画は… 〉
その土地ならではの風土や気質、食文化など、地域の魅力を生かし
地元の人たちと一緒につくった特別なビール〈47都道府県の一番搾り〉。
コロカルでは、そのビールをおいしく飲める47都道府県のスポットをリサーチしました。
ビールを片手に、しあわせな時間! さあ、ビールのある旅はいかがですか?
writer profile
Mako Yamato
大和まこ
やまと・まこ●京都在住のライター/コーディネーター。京都に暮らす最大の幸せは、思い立ったらすぐに鴨川でピクニックができること。『&Premium』では、さんぽ部部長として「&Kyoto」を連載中。
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撮影:福森クニヒロ
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Supported by KIRIN
47都道府県、各地のビールスポットを訪ねます。
美し国・三重でコロカルが向かったのは梶賀。
伊勢海老やアワビ、牡蠣、フグといった海の幸に恵まれた三重は漁業も盛ん。
なかでも尾鷲や熊野といった東紀州エリアには、小さな港町が連なります。
尾鷲市の最南端に位置する梶賀(かじか)もそんな港町のひとつ。
港町にはそれぞれ独自の漁や漁師文化があって、
「あぶり」は梶賀だけに伝わる郷土の味。
早朝、市場にあがった魚をサクラやカシの木でじっくり、
焼くのではなくて炙って燻製にしながら仕上げます。
冷蔵庫がない時代の保存食としてつくり始められたといわれ、
100年以上前から受け継がれてきたもの。
春はサバゴと呼ばれる小サバ、夏はイサキ、秋は小カツオなど、
市場では流通しない、その時々の小魚が原料となります。
訪ねたのはいまもあぶりを専門に行うふたりのうちのおひとり、濱中倫代さんです。
港のすぐ目の前が濱中さんの作業場。
近づくと食欲をそそられる燻製の香りがあたりに漂います。
妹さんや小学校からの友だちにも手伝ってもらいながらつくるあぶり。
現在、濱中さんがつくるのは4~6月頃にとれる小サバが中心とのこと。
なによりも鮮度が大切と、作業は早朝から始まります。
頭とはらわたを丁寧に取り、真水で洗ったら塩をして、
しばらく置いたあと、もう一度洗って特別に仕立てた竹串に刺します。
平たくて薄い30センチほどの竹串は、
いまは亡きご主人が考えてつくったものといいます。
「大きさを揃えてきれいに並べるのが、なかなか難しい。
刺し方にもコツがあってね」と濱中さん。
串先から根元へ、少しずつ大きくなってゆく様子が美しい小サバの串。
専用のコンロにのせたら、サクラの木を使って燻すように焼き上げます。
話しながらも濱中さんは串から目を離すことはなく、串を返しながら、
仕上がり具合を確かめてゆく手が休まることはありません。
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こうして1時間ほどかけて完成したあぶり。
「味見してみよい」と渡してくれた小サバは、薫香に包まれて、ふっくらやわらか。
こうばしい香りと、ほどよく脂が抜けたサバの旨みが口に広がります。
焼き魚のふんわりした身、干物の味の凝縮感、燻製の香り、
すべてのいいとこ取りをしたようなあぶり。
「ビールにもよう合うよ」の言葉にも納得で、
もう一匹、もう一匹と手が止まらなくなるおいしさ。
今回、案内をしてくれたのは〈梶賀まちおこしの会〉会長の中村美恵さん。
江戸の頃は捕鯨、現在では定置網のブリ漁が中心の梶賀。
もとは網元の家だったという、築100年を超える古民家を改装し、
まちおこしの拠点として、情報発信をしていきたいといいます。
あぶりも、もっと広く知ってほしいと真空パックにしての通販も。
「真空パックを開けていただいたら、そのままお召し上がりいただけます。
そのまま食べるのはもちろん、サラダやお茶漬けにするのもおすすめです」
梶賀からは熊野古道もすぐ近く。曽根次郎坂太郎坂と呼ばれる、
尾鷲市の賀田から熊野市の二木島へと抜ける甫母峠(ほぼとうげ)です。
かつては志摩の国と紀州の国の国境だったという
峠を越えるルートは、約5キロ、2時間強の距離。
苔むす古道を歩き、振り返って湾を見るのもまた尾鷲の地ならではの楽しみです。
※一番搾り 三重づくりは、三重の誇りを込めてつくった、三重だけの味わいです。
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