連載
posted:2013.11.29 from:全国 genre:エンタメ・お楽しみ
〈 この連載・企画は… 〉
独自の視点で日本各地のユニークな文化を研究してきたみうらじゅんが、
読者にフィールドワークを課しながら集成していく新たなプロジェクト。
profile
Jun Miura
みうらじゅん
みうら・じゅん●1958年、京都府生まれ。イラストレーターなど。代表作に『アイデン&ティティ』など。“マイブーム”の生みの親であり、「とんまつり」や安斎肇とのユニット「勝手に観光協会」など、日本各地の知られざる魅力を独自の視点で広める活動も多い。『マイ仏教』(新潮新書)、リリー・フランキーとの対談本『どうやらオレたち、いずれ死ぬっつーじゃないですか』(扶桑社)、いとうせいこうとの共著『見仏記 ぶらり旅篇』(角川書店)、『キャラ立ち民俗学』(角川書店)など著書多数。
すっかり寒くなってきましたが、フィールドワークの際は
風邪などひかないように気をつけたいですね。
今回もみなさんから寄せられた、謎に満ちた世界遺産の店をご紹介します。
所長のコメントと併せてどうぞ。
たかゆきさんの投稿
儲けたいのかそうでないのか理解に苦しむ、まったくもって曖昧な店名です。
撮影場所:大阪市淀川区
みうら:わざわざルビまで振って読ませる意味がどこにあるのだろう。
ライレイさんの投稿
文化の薫りが漂っています!?
それにしても鼻が長い。
撮影場所:金沢市
みうら:わざわざアーチ状のスペースにするのがわからない。
もっと天狗がスッキリ入るスペースがあったはずだと思うから。
julieさんの投稿
店名も気になりますが、そもそも何の店なのか、
営業しているのかしていないのか、一切が謎です。
撮影場所:埼玉県東松山市
みうら:四次元ポケットといいながらも“?”。
たぶん店の人もよくわかってないのだろう。
yotecoさんの投稿
服とふくをかけたのか。
撮影場所:福岡県北九州市
みうら:服とふく。なるほどなぁ……って、意味わかんない。
ピース生活さんの投稿
わかり易いが、雑すぎる。
撮影場所:東京都小平市
みうら:アントニオ猪木の「ダーッ」にも読めるが。
ひでさんの投稿
バリエーションがあるようで、無いです。心配です。
撮影場所:大阪市中崎町
みうら:ヘアというと、アンダーの意味にもとられがち。
ゆみなっつさんの投稿
宝くじが当たったのかどうかは確認できていません。
撮影場所:北海道留萌市
みうら:当然、この三億は1968年に起こった
三億円強奪事件からきているものであろうが、
円を園にした茶目っ気が店のオヤジの特徴なのだ。
つつみさんの投稿
ここの村役場と町役場の違いが気になっています。
撮影場所:東京都台東区
みうら:町村が合併する日も近いはずだ。
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みうら所長より
止める人がいなかったのか? って、ことだと思う。そこが重要。
いまの“ゆるキャラ”は、企画段階からたくさんの人が関わっている。
広告代理店に丸投げする場合もあるだろうが、
町や村の人が集って、“どうすれば人気キャラが生み出せるか?”について
連日、語り合っているに違いない。何せ当たるとデカいから。
そうなると町や村のアピールよりも、
キャラがカワイくて、みんなに愛されることが主題となって、
特産品や名物といった要素はなるべく少なくしたほうがいいってことになる。
かつては、“コレ、誰か止める人がいなかったんだろうか?”って、
他人事ながら心配になるキャラや、まちの看板をよく目にした。
当然、止める人がいなかったんだろうか? という店はつぶれることが多く、
その看板だけがポツンと残されてさらに不安感を煽る。
この世の中には“自称・おもしろ”といわれる人がいて、
比較ではなくずっと自分が面白いと信じてらっしゃる。
面白かったら味はそこそこでもやっていけると思う輩である。
店を出す前、妻は一応止めたが聞く人ではない。
開店パーティは盛大だったが、集った人は“これで大丈夫なのか?”と、心配はした。
いまでいうとスナック「倍返し」とか、「お・も・て・な・し」といった具合の、
年内しかもちそうにないネーミング。
そーゆー人は飽きるのも早いから、コロコロ店名を替える。
もう止めたら? と、心配してくれる優しい人もいなくなって、
そして看板だけが残る。
他人の人生、何をしたって勝手だけど、止めてくれる人がいるうちが花だってこと、
肝に銘じたほうが賢明であると思う。
編集部より
看板だけが取り残され、ひっそりとたたずむ遺産たち。
そんな遺産にスポットを当てるべく、まちで見かけた世界遺産の店を送ってください。
いやげ物、ヌー銅、フィギュ和もお待ちしています!
募集は終了しました。たくさんのご応募ありがとうございました。
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