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連載

斬新な白い雛人形〈白粋 HAKI〉。
ちりめん細工のバトンをつなぐ
〈京都夢み屋〉の挑戦

工芸と考える未来
supported by MUFG
vol.005

posted:2025.9.11   from:京都府京都市  genre:ものづくり / アート・デザイン・建築

PR 三菱UFJフィナンシャル・グループ

〈 この連載・企画は… 〉  日本の伝統的な工芸の文化や技術の継承に寄り添い、
これからのものづくりについて考えるとともに、その姿から変化の時代に必要なイノベーションを学ぶ「MUFG工芸プロジェクト」。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の社員がそんな革新に挑戦する工芸の作家や工房を訪ね、
未来に生きるための新たな学びや気づきを共有していきます。

writer profile

Ikuko Hyodo

兵藤育子

ひょうどう・いくこ●山形県酒田市出身、ライター。海外の旅から戻ってくるたびに、日本のよさを実感する今日このごろ。ならばそのよさをもっと突き詰めてみたいと思ったのが、国内に興味を持つようになったきっかけ。年に数回帰郷し、温泉と日本酒にとっぷり浸かって英気を養っています。

credit

photo:ただ(ゆかい)

京都・丹後地方を中心につくられてきた「丹後ちりめん」を用いた
伝統的な手芸「ちりめん細工」。
その季節飾りなどを製造・販売する〈京都夢み屋〉を、
三菱UFJ銀行一宮支店の中島崇介さん、徳永智久さん、
三菱UFJアセットマネジメントの小西和宏さん、木本朱音さんが訪れました。
着物文化が先細りするなか、伝統産業の一翼を担う企業のあり方をともに考えます。

白くて“顔のない”お雛様が、なぜヒットしたのか

「ちりめん」とは、表面にシボと呼ばれる細かい凹凸のある織物のこと。
京都府では北部の丹後地方を中心に、「丹後ちりめん」という絹織物が
古くからつくられ、着物の生地などに愛用されてきました。

江戸時代の後半、宮中や武家の女性などが、着物の端切れを利用して
小物や人形をつくるようになったのが、「ちりめん細工」の始まりとされ、
残り布を大切にする精神が息づいた、日本の伝統的な手芸といえます。

京都市伏見区にある〈京都夢み屋〉は、ちりめん細工を中心とした季節飾り、
インテリア小物などを製造・販売する企業。
2025年7月に完成したばかりの新社屋には、工房のみならず
ショールームも併設されています。

「ここに並んでいるのは、基本的に自社ブランド商品ですが、
OEM(他社ブランドの製造)も合わせると、500を超えるアイテムを
京都の材料と手作業にこだわって製造しています」と代表取締役副社長の大森清美さん。

代表取締役副社長の大森清美さん。

代表取締役副社長の大森清美さん。

干支の置き物や雛人形、鯉のぼり、兜飾りなど四季折々の飾りものが並ぶなかで、
ひときわ異彩を放っているのが、白を基調とした雛人形や兜飾り。

「10年ほど前に誕生した〈白粋 HAKI〉というシリーズ(以下、HAKI)で、
夢み屋のターニングポイントになったアイテムです。
生地を白とベージュの2色に限定しているので、どんなインテリアにも馴染みますし、
スペースが限られている現代の住宅事情に合わせて、サイズも豊富に揃えています」

昨年販売をスタートした、重厚感のある〈白粋 HAKI 雛人形 奏〉。西陣織の光沢のある着物をまとい、鼻すじや耳をつくったのが特徴。

昨年販売をスタートした、重厚感のある〈白粋 HAKI 雛人形 奏〉。西陣織の光沢のある着物をまとい、鼻すじや耳をつくったのが特徴。

すっきりとミニマルに見えるのは、カラーリングのせいだけではありません。
HAKIのもうひとつの大きな特徴は、雛人形に目や口などの“顔がない”こと。

「お人形と目が合うと子どもが怖がるため、せっかく飾った雛人形を
後ろ向きにしている、という声から生まれたアイデアです」

〈白粋 HAKI 雛人形 奏〉の顔のないお雛様

いまでこそHAKIは、夢み屋の看板商品になっているものの、
発売当時はあまりにも斬新な発想だったゆえに、
「白装束を彷彿とさせる」などとネガティブな声も少なくなかったそう。

「3、4年は泣かず飛ばずの売れ行きだったのですが、
東京の大規模な展示会に出展したとき、
ベビー用品のECサイトを運営する会社が気に入ってくださったんです。
それから出産祝いを中心にターゲットが広がっていき、
徐々に認知されるようになりました」

製造企画部長の中村芳美さんは、節句飾りに対する意識や価値観の変化を指摘します。

「当初は顔がないことに賛否があったようですが、
すてきなお顔を思い思いに想像できるところが、いまでは人気の理由になっています。
兜飾りも従来は勇ましさが重視されてきたと思うのですが、
優しい男の子になってほしいと願う、近年の親御さんのイメージに合う雰囲気を
重視しています」

製造企画部長の中村芳美さん。

製造企画部長の中村芳美さん。

2025年に創業50周年を迎えた夢み屋。

「創業者の飯田景子はフラワーアレンジメントをたしなんでいて、
そのつながりで知り合った仲間と和小物をつくり始めたのが、そもそものスタートです。
当時は和雑貨という言葉もあまり一般的ではなかったようですが、
せっかくだから地元京都のちりめんを使おうと考えたようです」(大森さん)

最初にヒットした商品が、和装用のリボンにかんざしをつけたアクセサリー
「和装リボン」。その一方で、着物を着る人は年々少なくなっていたので、
洋装でも違和感なく身につけられて、
なおかつ若い人にも好まれるようなアクセサリーや和小物を展開し、
ちりめんや西陣織などにあまり馴染みのなかった若年層のファンを獲得していきます。

「最初は数百円の和小物が中心で、財布、巾着袋、エプロンなどと
人気商品を増やしていったのですが、同業他社も類似品を扱うように。
価格競争の激化から脱却するために始めたのが、
現在の流れをくむ季節の置き物でした」(大森さん)

これまでの和小物・和雑貨と比べると、季節の置き物はつくりが細かい分、
手数がかかるにもかかわらず、売れ筋となっていたのは千円前後の安価な商品でした。

「より高単価の商品にシフトすべくデザインを一新させて、
自社ブランドとして売り出したのが、HAKIシリーズだったのです」(大森さん)

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実際に工房で手作業を見学

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多くの人の手を経て完成する、ちりめん細工

ちりめん細工は、いくつもの細かいパーツを組み合わせて、立体物をつくっていきます。
100人以上いる外部スタッフが主にパーツ制作を担当していますが、
複数の商品を並行してつくっているため、人手は常時足りないくらい。
対して、常駐スタッフは企画デザインのほか、
外部スタッフにパーツ制作のレクチャーをしたり、納品されたパーツを組み合わせたり、
検品などを行っています。

「細工には伝統的な技法を取り入れています。
たとえば江戸時代から続く“押絵”は、羽子板の装飾などに使われてきた技法で、
厚紙や布に綿を詰めて立体的な絵柄をつくります。
正方形の布を折りたたみ、つまんで立体的な形にしていく“つまみ細工”は、
舞妓さんのかんざしの装飾などに使われています。
昔ながらの技法を踏襲しつつ、デザインや生地にこだわることで
モダンな雰囲気にしているのです」(中村さん)

左から、見学する三菱UFJアセットマネジメントの木本朱音さん、小西和宏さん、三菱UFJ銀行一宮支店の中島崇介さん、徳永智久さん。

左から、見学する三菱UFJアセットマネジメントの木本朱音さん、小西和宏さん、三菱UFJ銀行一宮支店の中島崇介さん、徳永智久さん。

ひとつひとつが細かい手作業。

ひとつひとつが細かい手作業。

つまみ細工の作業を実際に見せてもらいました。
わずか2.5センチ四方の布をピンセットを使って器用に折りたたみ、
1枚の花びらに見立てます。
それら5つを糊でくっつけると、可憐なお花ができあがりました。

ちりめんのつまみ細工の作業

つまみ細工でつくった小さな花

「つるし雛の装飾のひとつになっているくす玉は、
お花の状態になったものが19個組み合わされています。
ひとつのくす玉をつくるだけでも、かなりの手間ひまがかかるのです」(中村さん)

伝統とポップさがミックスされた、つるし雛。ちりめんのみならず、木の部分も京都の職人が手づくりしている。

伝統とポップさがミックスされた、つるし雛。ちりめんのみならず、木の部分も京都の職人が手づくりしている。

ちりめんのつまみ細工でつくったつるし雛のくす玉

MUFGの徳永さんが、感嘆しながらつぶやきました。

「ショールームで商品を拝見したとき、ひとつを完成させるのに
どのくらいの時間がかかるのかお聞きしましたが、いろんな人の手が必要なだけに、
そう簡単には換算できないことがよくわかりました」

「綿入れも一見簡単そうですが、実は難しい工程のひとつです。
たとえば人形の顔をつくるとき、同じグラム数の綿を詰めていくのですが、
ちょっとした膨らみの加減で表情が変わってしまいます。
異なるパーツを組み合わせていくのも同様で、バランスがとても大事。
手作業とはいえ、なるべく均一にしていかなければいけません」(大森さん)

〈京都夢み屋〉のショールームを見学するMUFGの中島さん

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商品のデザインはどうやって生まれる?

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企画デザインを担当しているのは3名。
多彩なデザインはどんなふうに生まれるのか、興味を持ったMUFGの中島さんが
「伝統的な季節飾りにも現代らしさを感じますが、
デザイン面ではどんなことを大事にしているのでしょう?」と尋ねると、
中村さんはこう話します。

「もともとちりめん細工は、季節感を表現したり、
子どもの成長を願ったりなど、ひとつひとつに意味があります。
そういった思いを大事にしながら、現代のライフスタイルに合うような
色味やフォルムを積極的に取り入れたいと思っています。

そのうえで特に意識しているのは、ちりめんならではの柔らかさ。
押絵を重ねるなどして立体感を出しているのですが、布製品なので見た目だけでなく、
手に取ってもらったときに癒やされる、
ほっこりしていただける感覚を大切にしています」(中村さん)

緯糸(よこいと)をねじった状態で織り機にかけることで伸縮性が生まれる、ちりめん。2本ずつ撚りをかけたのが二越ちりめん(手前)、1本ずつかけたのが一越ちりめん(奥)。京都市内の工房で織ったちりめんを使っている。

緯糸(よこいと)をねじった状態で織り機にかけることで伸縮性が生まれる、ちりめん。2本ずつ撚りをかけたのが二越ちりめん(手前)、1本ずつかけたのが一越ちりめん(奥)。京都市内の工房で織ったちりめんを使っている。

白とベージュの2色しか使っていないHAKIのお雛様に、
華やかさや艶やかさを感じてしまうのも、隠れたこだわりの賜物です。

「ベージュの生地を1枚で使うのと、折りたたんで2枚重ねにするのとでは、
色味の雰囲気が変わってきます。ベージュの上に白を重ねても見え方が違いますし、
合わせ方によって深みのある多色に見えるような工夫をしています」(中村さん)

HAKIは白とベージュの2色のちりめんを使用

お雛様の着物などに使っている西陣織。

お雛様の着物などに使っている西陣織。

「試作だけでも大変そうですね」とMUFGの小西さんが言うと、
「合わせ方が1ミリでも違うだけで、全体の印象も変わってくるので、
何度も何度も試作を重ねて商品が完成します」と中村さん。

ほかにもさまざまな柄の友禅染のちりめんが。

ほかにもさまざまな柄の友禅染のちりめんが。

MUFGの中島さんが
「新しい企画、デザインはどんなところから発想していくのですか?」と聞くと、
「最初は手描きでスケッチして、立体でどう表現できるか考えていきます」と中村さん。

「生地の裁断には、パーツごとに型屋さんに特注した型を使うのですが、
これまでつくった型はすべて保管していて、型帳として記録もしています。
どの型を使えばイメージどおりの形になるのか。
できない場合は、新たにどんな型が必要なのかを考える作業といえます」(中村さん)

ちりめんを裁断する型を収納している棚。長いつき合いの“型屋さん”は、靴などの革製品の製造が盛んな神戸にあるそう。

ちりめんを裁断する型を収納している棚。長いつき合いの“型屋さん”は、靴などの革製品の製造が盛んな神戸にあるそう。

「デザイナーは、うちにあるほぼすべての型が
頭に入っていると思いますよ」(大森さん)

これまでの商品で使った型を記録している、型帳。

これまでの商品で使った型を記録している、型帳。

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M&Aという選択、自社ブランド育成へ

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先代の思いを受け継ぎながら、より働きやすい企業へ

夢み屋は2021年にM&Aを選択。
大森さんたちは創業者である先代の思いを受け継ぎながら、
伝統産業が“残すべきもの”として守られるだけの存在ではなく、
現代の暮らしに溶け込んでいけるようなあり方を模索しています。
先代の功績でさらに強化しようとしているのが、自社ブランドの育成です。

「高価格帯の商品になかなか切り替えることのできなかった要因として、
問屋さんを介さないと販売できないという、この業界のセオリーがありました。
ですので長いこと下請けメーカーとして、
消費者には夢み屋の名前も伏せられている状態でものづくりを続けてきたのですが、
活路を見出すべく10年ほど前に直販を始めました。

暗黙のルールを破ったことで、当時はご批判もいただいたのですが、
いまがあるのは思い切った決断のおかげ。
自社のECサイトと並行して、こちらのことを尊重してくれるお取引先様と
ウィンウィンの関係を築けています」(大森さん)

手軽に飾れる、卓上こいのぼり。左は数十年のロングセラー、中はHAKIシリーズ、右はデニムを使った〈蒼の国〉シリーズ。

手軽に飾れる、卓上こいのぼり。左は数十年のロングセラー、中はHAKIシリーズ、右はデニムを使った〈蒼の国〉シリーズ。

先代が育て上げたHAKIは、すでにブランドとして確立しているため、
どちらかというと現状維持に重きを置いています。
一方で、HAKIがメインとしている節句飾りは季節限定品で、
同じ人が何度も買うような商品とはいえません。

シーズンによって売れ行きに波がなく、なおかつリピーターを増やせる商品として
考案したのが、〈LuxeStyle ウォールデコレーションアイテム〉。
花やリーフなどさまざまなデザイン、カラーのちりめん細工と、
それらを飾るパネルをすべてバラ売りにして、
ブーケやリースを仕立てるように自分好みにアレンジできる壁飾りです。

フラワーアレンジメントをするようにパーツを組み合わせられる〈LuxeStyle ウォールデコレーションアイテム〉。

フラワーアレンジメントをするようにパーツを組み合わせられる〈LuxeStyle ウォールデコレーションアイテム〉。

「鏡や額縁のコーナーにさりげなく飾ったり、
あるいはパネルを使ってゴージャスにデコレーションしたり、
自由に組み合わせられることが売りなので、個人のお客様はもちろん、
ホテルやヘアサロンなどにもアピールしたいと思っています」(大森さん)

ちりめんという和のイメージからの脱却も狙ったアイテムだそうで、
たしかに一見洋風ですが、実はちりめん細工という意外性も楽しめそうです。

インテリアに馴染むお神札(ふだ)立てがコンセプトの〈LuxeStyle いのりシリーズ〉。壁掛けや置き型などバリエーションに富んだ棚板、榊や雲、春夏秋冬を感じる飾りオプションなどすべて別売りで、少しずつ増やしていくことができる。

インテリアに馴染むお神札(ふだ)立てがコンセプトの〈LuxeStyle いのりシリーズ〉。壁掛けや置き型などバリエーションに富んだ棚板、榊や雲、春夏秋冬を感じる飾りオプションなどすべて別売りで、少しずつ増やしていくことができる。

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外部スタッフの賃金は倍近くまでアップ…!

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外部スタッフ含め、働き手の多くは女性。新社屋に移転して労働環境を整えたのも、
開かれた伝統産業にしていくためには不可欠だったと大森さんは語ります。

「旧社屋は手狭だったため、2か所に倉庫を借りていました。
そのため、すぐに使いたい材料が倉庫にあったり、
在庫を確認するためにわざわざ倉庫に行かなければいけなかったりと、
非効率なことが日常になっていました。
新たに若い人材を採用するためにも快適なオフィスは必須でしたし、
すべてを1か所に集約することで無駄な作業が減り、
生産力がアップすることを見越して、新社屋を建設しました。

外部スタッフの勉強会も本社で行っているのですが、
多い人は週3回くらい出入りしています。
それもあって移転は極力近い場所へしたいと思い、
100メールほどの距離の引っ越しになりました」(大森さん)

働きやすさを考慮した新社屋。

働きやすさを考慮した新社屋。

外部スタッフの作業は自宅でできるため、育児や介護をしている人には重宝されています。
しかしその必要性がなくなると辞めてしまう人が多かったため、
賃金の見直しも行いました。

「M&A以前より、2倍近くまでお支払いできるようになりましたが、
まだまだ上げていかなければいけません。
育児や介護を卒業して外で働けるようになっても、
隙間を見つけて働き続けたいと思えるような労働条件にしていかないと、
全体的な技術面も上がっていかないので。もちろん内部スタッフも同様で、
仕事と家庭の両立は簡単なことではないので、長く気持ちよく働いてもらい、
出世していけるような環境をつくっていきたいと思っています。

労働条件の改善は、必然的に価格に跳ね返ってきてしまうものですが、
そこは商品の価値をお客様にいかにアピールしていくかが
肝だと痛感しています」(大森さん)

ベテランのスタッフが外部スタッフを丁寧に指導。

ベテランのスタッフが外部スタッフを丁寧に指導。

MUFGの小西さんが
「事前にホームページで商品を拝見していたのですが、じかに見て、
なおかつ手に取ると、ちりめん特有の凹凸感や細かい手仕事なども感じられて、
魅力の伝わり方がまったく違うと感じました」と言うと、
中村さんは「それをいかに伝えられるかも、今後の課題だと思っています」。

目下制作中の来年の干支飾り「丙午子(ひのえうまこ)ちゃん」。丙午の迷信を逆手に取って、明朗活発に成長してほしいという願いを込めている。

目下制作中の来年の干支飾り「丙午子(ひのえうまこ)ちゃん」。丙午の迷信を逆手に取って、明朗活発に成長してほしいという願いを込めている。

見学を終えて、MUFGの方々からあらためて感想をいただきました。

「私は愛知県の一宮支店におりまして、一宮は毛織物のまちなのですが、
後継者不足や存続していくことの難しさなど、
丹後ちりめんも同様の問題を抱えていると感じました。
夢み屋さんのような企業が、新しいアイデアで地場産業を盛り上げるのは
意義深いことですよね。作業の工程やものづくりのこだわりを見せていただいたことで、
より多くの人に広めたいという実感を抱くことができました」(中島さん)

「お邪魔する前は、ちりめん細工に対して
どちらかというと古風なイメージを抱いていたのですが、
売り方と広め方を考えていけば、とても可能性のある商品だと感じました。
私たち銀行は、お客様とともに成長することを方針としていますので、
今後何らかのかたちで貢献できればありがたいお話だと思っています」(徳永さん)

「私も母もちりめん細工の温かさがもともと好きで、自宅にも飾りものがあるので、
今回の見学をとても楽しみにしていました。なんとなく想像していたとはいえ、
これほど細かい作業やたくさんの人の手が必要なことを知って驚きましたし、
ありがたさを感じました。帰ったら、さっそくオンラインショップを
チェックしようと思います」(木本さん)

「和のイメージが強い素材をうまくモダナイズして、
素材だけでは成し得ない工芸的な価値を生み出していると感じました。
しかも単に現代らしくしているわけではなく、
守らなければいけないデザインのエッセンスやイメージとの均衡から生まれたのが、
HAKIであるということを知ることができて、
見学前とはまた違うリスペクトも生まれました。

金融業も同じだと思うのですが、長く続いてきた伝統があるなかで、
革新を起こすための生みの苦しみが大なり小なりあると思います。
守るべき価値観は崩さずに、前に進もうとチャレンジされているスピリットが
すてきだと思いました」(小西さん)

夢み屋のショールームにて取締役副社長の大森清美さんと製造企画部長の中村芳美さんを囲んで

先代から受け継いだ看板商品と、ちりめん細工の未来を切り拓く
新たなアイテムへのチャレンジ。M&Aというかたちでバトンをつなげた夢み屋は、
伝統産業のあり方の可能性を広げてくれるかもしれません。

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京都夢み屋

工芸と考える未来 supported by MUFG

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