odekake
posted:2016.11.18 from:北海道中川郡美深町 genre:旅行
PR 北海道体験観光推進協議会
〈 おでかけコロカルとは… 〉
一人旅や家族旅行のプラン立てに。ローカルネタ満載の観光ガイドブックとして。
エリアごとに、おすすめのおでかけ情報をまとめました。ぜひ、あれこれお役立てください。
writer's profile
Akiko Yamamoto
山本曜子
ライター、北海道小樽生まれ、札幌在住。北海道発、日々を旅するように楽しむことをテーマにした小冊子『旅粒』発行人のひとり。旅先で見かける、その土地の何気ない暮らしの風景が好き。
旅粒
http://www.tabitsubu.com/
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supported by 北海道体験観光推進協議会
冷たい風の吹く10月中旬、美深町の山あいにある
元恩根内小学校を活用した〈アートヴィレッジ恩根内〉のカフェに入ると、
パチパチと燃える薪ストーブの火が出迎えてくれました。
懐かしいたたずまいの校舎のなか、
木のぬくもりに包まれた暖かな空間に、冷えた体がほっとゆるみます。
アートヴィレッジを運営する工藤 貢さん、眞紀美さん夫妻が4年間かけ、丹精込めてつくりあげてきた校舎内のカフェ。薪ストーブやテーブル、椅子はもちろん、なんと窓枠や木製ライトまで手づくり。
2009年にオープンしたアートヴィレッジ恩根内には、
まちに住む人や作家活動をする人が利用できる、
絵画室や木工室、暗室などが整備されています。
美深町では、ここの木工室を使って、冬の新しい遊びとして注目を集める〈雪板〉の制作から、
完成した雪板で美深の雪山滑りまでを楽しめる、魅力的な体験プログラムがスタートしました。
主宰するのは、美深を中心に有志が立ち上げた、
道北の魅力を発信するプロジェクト〈BASIS〉(ベイシス)。
“Craft & Play”を掲げ、“遊び道具を自分でつくる楽しみを知り、
それを使って道北の自然をぞんぶんに味わう”ことを伝えています。
屋外での体験には、雄大な眺めを楽しめる天塩川カヌー下りプログラムも。
完成品の雪板。スタッフが試行錯誤を重ね、よく滑る現在の形までたどり着いたそう。乗る人の個性やスタイルに合わせた加工ができるのも雪板の特徴。
近年、国内外のスノーボーダーに注目されている手づくりの雪板。
パウダースノーを、木の板で滑るアクティビティがじわじわと人気となっています。
ビンディングがない一枚板なので、持ち運びも手軽。イメージは、ソリ遊び。
ガイドとともに新雪の森のなかへ入りスロープを滑ったり、雪遊びを満喫できます。
なだらかな丘が続く美深の地形は、
雪板で滑ると臨場感たっぷりで最適なロケーションなのだそう。
本格的な雪板は一枚板から削りだし、こだわりの樹種の場合10万円以上するものも。
美深町の雪板づくり体験では、板を重ねて厚みを出し、
カーブをつけたのちにカットして塗装までを行います。
「つくり方はいたってシンプル。雪板は誰でもつくれるし、初心者も簡単に扱えますよ」
雪板づくりを教えてくれるのは、BASISを立ち上げた
美深町観光協会の事務局長、小栗卓さんです。さっそく、その手順を見せてもらいました。
まずは厚みをつくるため、ベニヤ板に手早く均一にボンドを伸ばし、4枚を貼り合わせていきます。板の厚さにも意味があり、初心者はゆっくり滑ることをイメージして薄い板を、上級者は加速をつけるため厚い板を使います。
これまで50枚以上の制作を重ねてきた小栗さん。そのなかで考案された、カーブを出すための専用台へ、重ねた板を金具でしっかりと固定。
基本となる板のでき上がり。次は特製の型にそって、好きな形にカットします。
基本の型以外に、先端の形を変えたり、板の幅を太くすることも可能。
電動ノコでカットしていきます。細かい粉が飛ぶので、体験では汚れてもいい服装がおすすめ。
丁寧にヤスリがけ。この工程で、滑りが格段に良くなるそう。
仕上げに、試行錯誤を重ねて行き着いた、水性ウレタンニスをペイント。
左ができ上がった雪板。ここから好みで色を塗ったり、右の完成品のように滑り止めシートを貼り付けて完成。見た目より軽く、運ぶのも楽です。
雪板づくりの所要時間は約3時間。希望者はでき上がった雪板を背負い、
ガイドつきの雪山ツアーへ行くこともできます。雪板を満喫できる、
美深町近郊のとっておきのバックカントリーをご案内。
「初心者でも、上手に滑れなくても、
ふわふわの雪が受け止めてくれるので、大丈夫。本当に楽しいですよ」と小栗さん。
町内にある、アウトドアガイド〈リバートリップキャメル〉では、
雪板遊び体験のみも受け付けています。
静寂の森へ向かい、新雪のなかを滑るのは壮快!(写真提供:美深町観光協会)
制作体験がひと息ついたら、校舎内につくられた
ギャラリースペースにも立ち寄ってみましょう。
廊下には、近郊遺跡の出土品を展示するガラスケースも。
廃校から8年、今もさまざまな人が訪れ生かされている校舎で、
アート作品や、まちの歴史に触れることができます。
ギャラリースペースでは、道北各地で巡回開催された〈道北アート〉展が開催されていました。“アートで道北を盛り上げていこう”と工藤さんを中心に2016年からスタートした事業で、上川北部、留萌、宗谷が、地域を超えて連携しながら道内外へ向けて道北を発信しています。
アートヴィレッジの運営とともにカフェを切り盛りする工藤さんは、小樽出身。
札幌で作家として版画制作を行い、奥さまも画家として活動してきたそう。
おふたりは静かな環境で作品制作に打ち込むため、
アトリエとして使える廃校を探して道北を回り、最後にここ美深にたどり着きます。
「持ち主である美深町役場からは、アトリエだけでなく、
地域に寄与する活動をと依頼されました。私は内装や木工は初体験だったけど、
カフェをつくったり、木工室などものづくりの場を整備したのは、
そもそも地域のおじいちゃんおばあちゃんのために始めたこと。今もその思いで続けています」
立派なカウンター席で水出しコーヒーを淹れる工藤さん。カフェメニューはブレンドコーヒー(300円)などドリンクのほかにケーキ(各300円)も。ドライブのひと休みにも立ち寄ってみては。
地域の人たちへ開かれたカフェは、近所のおじいちゃんが酒瓶を持って訪れたり、
近隣の忘年会や新年会の会場になるほか、
木工室では、持参したまな板を削るおばあちゃんもいるそう。
自由に過ごせるコミュニティスペースとしての機能を果たしています。
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美深地域の木材を使ったククサづくり体験も人気。
アートヴィレッジ恩根内では、地元の木を使ったククサづくり体験を受け付けています。
“ククサ”とは、フィンランドの伝統工芸品で、手づくりされた木製のカップのこと。
同じものを地元の木材でつくってみようと、
もとは、小栗さんから依頼されたものでしたが、それが忙しくなり
「じっくり自分の制作をする時間がないんです」と笑いながらも、
「頼まれたからにはしっかり応えたい」と、
5年間で500個以上のククサをつくってきた工藤さん。
つくるたびに進化してきた美しいククサは、カフェでも販売しています。
木目が味わい深いオンネナイククサ(4980円)。近隣の作家さんがつくる木製品や、白樺小物も販売。
ククサや雪板づくりの発案者で美深出身の小栗さんは、
札幌や東京で暮らしたのち、結婚を機にUターン。
移住後は、自由な働き方ができる美深暮らしを楽しんでいるそう。
小栗さんいわく、まちはずれに位置する恩根内は、
実は美深のなかでも祭りの文化が色濃く今も活気の残る地域。
ここにアートヴィレッジが生まれたことで、
年配の方に再び元気が出てきたと教えてくれました。
「最初は気難しい方かなと思ったけど(笑)、
工藤さんは地域にいい意味で風穴を開けてくれた存在です」(小栗さん)
「小栗さんのアイデアや行動力はすばらしい。
将来を見据えて動いている人」(工藤さん)
それぞれの活動の根っこには、この地の暮らしに寄り添う目線が生かされています。
それぞれの活動を語ってくれた、小栗さんと工藤さん。
「美深には、農家が多いこともあって、何でも自分たちでつくるという文化がある。
ここでの体験は美深の暮らしそのものにもつながるんです。
観光で訪れた方が、自分でも何かつくれるということに気づいたり、
そんな気概のある美深のまちに興味を持ってもらえたらうれしいですね」
小栗さんはそう話してくれました。
アートヴィレッジ入口は、2016年7月、道北アート発足の記念事業として行ったライブペインティングで彩られていました。左は札幌在住の作家、富士翔太朗さんが美深小学校の5・6年生たちと制作、右は同じく札幌の作家、富樫幹さんの作品。
現在は、道北の作家を紹介する〈道北アート〉の企画のほかに、
若手アーティストの滞在制作と発表の場としてアートヴィレッジを提供している工藤さん。
「これからという作家たちに、お金をかけないで
制作や発表に打ち込んでもらいたいという思いもあって。
カフェではそうした作家の作品を常設展示しています」
土地の魅力を伝える人たちとの出会いは、旅人目線だけでなく、
そこでの暮らしに思いをはせるきっかけになることでしょう。
その一歩となる雪板づくりは毎年10月頃から受付スタート。
美深が雪に覆われる12月〜3月の間に訪れて、
極上の雪をマイ雪板で遊びつくしてみませんか。
ワクワクする冬が、恩根内で待っています。
カフェの壁面には、昭和25年当時を再現した恩根内村地図が。地元のおじいちゃんおばあちゃんたちの記憶を頼りにつくられたもので、帰省の折、昔住んでいた家をここに見つけて涙する人もいたそう。
information
アートヴィレッジ恩根内
住所:中川郡美深町字恩根内25
TEL:01656−9−6005
定休日:不定休(電話で要確認)
カフェ
営業時間:5月〜10月11:00〜17:00
定休日:水曜・木曜
※駐車場 あり
information
道北魅力発信プロジェクト〈BASIS〉
事務局:美深町観光協会(担当:小栗)
TEL:01656-9-2470
※雪板制作体験のお申し込みは上記までご連絡ください。
http://dohokuexplore.jp/
2016年雪板制作体験プログラム
内容:雪板の切出し、ヤスリがけ、色つけ、塗装まで
体験時間:①9:00~12:00 ②13:00~16:00 ※約3時間
開催時期:2016年10月中旬~2017年3月末
料金:大人2万円~(材料代、指導料含む)※使用する材によって料金が変わります。
※12月下旬~道北の雪山でのガイド付雪板体験も別途受付中。詳しくは、リバートリップキャメルのHPをご確認ください。→http://camel-trip.biz/snowtrip/pg268.html
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