手間をかけ、ていねいにつくられたおいしい麺
「木灰そば」というそばをご存知でしょうか?
木灰はそのままモクハイと読んだり、
ウチナーグチ(沖縄のコトバ)でモッカイと言ったりします。
意味はその字のごとく、樹木を燃やしてできた灰のこと。
現在の沖縄そばの麺は、小麦粉と塩とかん水からつくられています。
ところが戦前は、かん水の代わりに、
灰汁(木灰を水につけて置いた上澄みの部分)を用いていました。
これが木灰そばです。大変手間がかかるため、
いまでは木灰そばのお店は数えるほどになりました。
限られた木灰そば店のなかで、もっとも那覇空港に近い
木灰そばのお店が〈木灰そば とらや〉です。

2006年9月にオープンしたとらやは、那覇空港から車で約10分。
ゆいレールでは那覇空港から2駅目の小禄(おろく)駅下車、歩いて10分足らずです。

店内にはカウンター席とお座敷があります。
地元の方はもちろん、観光客の方も多いそう。
シンプルなメニューは、かえって期待値を上げますよね。

「本ソーキそば」は骨つきのあばら肉が別皿についてくる木灰そば。
「沖縄そば」は三枚肉が乗った木灰そばです。
平日はセットメニューが人気で、とくに「ちきなーじゃこのせご飯」が人気だとか。
ちきなーとはからし菜のことで、沖縄ではポピュラーな野菜です。

席に着くと、サービスで自家製浅漬を持ってきてくださいます。
漬物を取り分ける小皿はやちむん(沖縄の焼きもの)。
やちむん、いいなぁ。ステキだなぁ……と店内を見回すと、
お箸立て、爪楊枝立て、観葉植物の鉢まで、贅沢にやちむんです。
店内のさりげないやちむんが、沖縄らしくていい感じ。

下の写真は、かわいらしい小型の製麺機。
オーナー店主、最初はこの製麺機で木灰そばづくりの練習をされていたのだとか。

まったくの独学で木灰そばを完成させた店主。
樹木を焼いて灰をつくり、できた灰を水に漬け、数日寝かせて灰汁にする。
そしてようやく、麺づくりがスタート。 すべての工程をひとりで行っています。
「一般的なつくり方であれば数時間でできますが、
灰汁をつくる工程を入れると、4、5日はかかりますね」とのこと。

麺場は立入禁止。
「麺場は大切な仕事場。ここが勝負どころですから」と店主。
木灰そばをつくれるお店は少なく、ほとんどが家族経営のため、その製法は門外不出。
誰からも習うことなく、たったひとりで試行錯誤を重ね、
ようやくつくり上げたとらやの木灰そば。ぽつりぽつりと多くは語られない分、
木灰そばに並々ならぬ想い入れがあるように感じました。
こちらは、3枚肉の乗った沖縄そばとちきなーじゃこのせご飯。

どちらも器はずっしりとした沖縄のやちむんです。
透明な鰹出汁のスープに白い麺。木灰麺の白さが美しく感じます。
木灰そばをひと口食べてみて最初に思ったのは「麺がおいしい!」ということ。
あっさりとしたスープにツルツルしこしこの麺がとてもおいしく、
一気に食べてしまいました。
人気のちきなーじゃこのせご飯もちょうどよい塩加減でご飯が進みます。

一度はお試しいただきたい、とらやのツルツルしこしこ木灰そば。
那覇空港の近くに行かれた際は、足を伸ばしてみてはいかがでしょうか?
information
木灰そば とらや
住所:沖縄県那覇市赤嶺1-5-14 金城ビル1階
TEL:098-858-2077
営業時間:11:00~20:00(売切次第閉店)
定休日:第1・第3火曜日
