odekake
posted:2016.3.11 from:北海道稚内市 genre:旅行
〈 おでかけコロカルとは… 〉
一人旅や家族旅行のプラン立てに。ローカルネタ満載の観光ガイドブックとして。
エリアごとに、おすすめのおでかけ情報をまとめました。ぜひ、あれこれお役立てください。
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Akiko Yamamoto
山本曜子
ライター、北海道小樽生まれ、札幌在住。北海道発、日々を旅するように楽しむことをテーマにした小冊子『旅粒』発行人のひとり。旅先で見かける、その土地の何気ない暮らしの風景が好き。
旅粒
http://www.tabitsubu.com/
credit
supported by 北海道観光振興機構
北海道、そして日本最北端のまち、稚内を中心に
利尻島・礼文島をあわせた、
道北の10市町村を擁する宗谷総合振興局。
オホーツク海と日本海とに囲まれた、
どこか荒涼としたイメージ……
それをいい意味でくつがえしてくれる、
エネルギーいっぱいの宗谷情報発信プロジェクトがあります。
その名も〈SOYA PARTY〉。
幌延町にトナカイ観光牧場? 浜頓別町では川で砂金堀り??
猿払町には生きたホタテをすぐ食べられるお店が?!
SOYA PARTYウェブサイトとFacebookページには、
個性あふれる宗谷各地のおすすめポイント、
ご当地グルメやイベントのお知らせが目白押しです。
愛らしいイラストや元気をもらえる
黄色×白のボーダーが目印のウェブサイトは、
宗谷の情報が10市町村ごと&ジャンルごとに集められ、
各地から日々寄せられる選りすぐり情報を
Facebookと連動して発信しています。
あわせて、道内外で開催する独自のイベントや企画を通じて、
宗谷の魅力をあますところなく伝える活動を続けています。
サイトには、スタッフが旅先で見つけた
「宗谷のお土産」「宗谷のチャーメン」(詳しくはサイトをご覧ください!)
「宗谷のカワイイものシリーズ」などの気になるタグがたくさん。
実際に各地を訪れてレポートしたものが多いのもうれしいところ。
この〈SOYA PARTY〉プロジェクトを手がけるのは、
稚内市の中央商店街でペットショップを営む、
尾崎篤志さん(NPO法人 街にいき隊PRO代表)と、
東京でグラフィックデザイナーとして活動する弟の尾崎強志さん。
そして、情報発信担当で東京から地元に帰ってきた柴野朋子さん。
生まれも育ちも稚内の3人は2012年、
いまは、寂しくなってしまった中央地区商店街と
再開発を終えたばかりのJR稚内駅をうまく連動させた
マップづくりの依頼を受け、
「せっかくなら、かつての中心街である中央地区をまとめて紹介する
冊子をつくろう」と、
地域情報誌『yansh』(ヤンシュ)を企画制作。これがそもそもの始まりでした。
篤志さんの地元や商店街でのつながりと、
強志さんがもつ本州圏のクリエイターたちとの縁を生かして生まれた『yansh』。
きめ細かく丁寧、そしてワクワクするような写真や文章で、
稚内のまちと、まちを支えるひとの顔が見えてくるこの冊子は、
稚内市内外から反響を呼びます。
「『yansh』の最後にもあるように、僕は小学校の頃から、
稚内をもっといいまちにしたいという想いがありました。
高校を出てからはずっと東京ですが、
デザインや企画などで地元にかかわっていくことがしたかったんです」
と強志さんは振り返ります。
その後2014年、地域資源を掘り起こす、北海道の事業の公募に、
自分たちの住む宗谷の魅力を発信していきたいと企画を出し、見事採択されたそうです。
そこで、稚内市のNPO法人 街にいき隊PROと、
『yansh』からのクリエイターチーム+αのメンバーで制作したのが
『SOYA PARTY BOOK』。
本州から訪れる人が「稚内はまるで外国のよう」と言う、
「なんにもない=手つかずの自然」に着目した強志さん。
「宗谷でアウトドアを思いっきり楽しもう!」というコンセプトのもと、
「スロウ×アクティブ」をキーワードに
宗谷を満喫してみたくなる1冊が完成しました。
いまは東京に住む強志さんの“よそ者”目線が、
地元の人がなかなか気づかない土地の魅力をさらに引き出しています。
「実は、稚内が実家でありながら、利尻島・礼文島や枝幸町へは、
『SOYA PARTY BOOK』の取材で初めて訪れたのですが、
地元の僕たちでも感動する本当に素敵なところだったんです。
宗谷って、北海道を見渡すと、あまり人気のないエリアなんですよ(笑)。
だからこそ発信する楽しみもあります。
宗谷というキーワードがあれば、
交通標識や野良鹿や近所のじいちゃんでもなんでも
FACEBOOKでほぼ毎日発信し続けています。
取材しながら僕たちも宗谷のことを知り、感動して、
ほかの北海道に負けていないと自信が持つことができました。
SOYAPARTYを見てすこしでも宗谷に興味を持ってくれればうれしいです。
そして来てくれた方には雄大な景色や、
最果ての空気感を味わいながら、
ぜひゆっくりと過ごしてほしいですね」
『SOYA PARTY BOOK』に登場するのは、
宗谷に住む人たち、そして初めて宗谷を訪れる人たちとさまざま。
誌面から、それぞれが体験する自然、
そして心奪われるような美しい風景を通して、
宗谷のイメージが立ち上がってきます。
10市町村に点在するキャンプ場情報や川釣りの記事、
絶景ポイントへの行き方などの充実した内容はもちろん、
各地で体験できるアクティビティ情報もあり、
宗谷への新しい目線を与えてくれるガイドブックです。
『SOYA PARTY BOOK』はウェブサイトからダウンロードできます。
『SOYA PARTY BOOK』も、冊子をつくることにとどまらず、
関連イベントやオリジナルグッズの制作など、
同時進行で宗谷を楽しくする企画を開催。
なかでも2014年には、
本州からツリーハウスビルダーの竹内友一さんをゲストに招き、
宗谷の廃屋から廃材をいただき、地元の有志でつくりあげた
ミニカフェハウスを軽トラックに乗せ、
宗谷各地をまわる〈SOYA PARTY移動カフェ〉というユニークな企画も。
「もともと宗谷の人たちが一緒に
楽しくなってもらえるようなことがしたかったんです。
まず地元のつながりを固めてから、外に発信してゆきたいなと」
SOYA PARTYの事務所は、
稚内中央商店街の元家具屋だった空き店舗を利用しています。
宗谷の情報が集まっているほか、
事務所内「ギャラリーチェプ」では不定期の展示や、
〈学べる!健康商店街〉と題して、
ヨガやパステルアート教室など多彩な講師陣が授業を行なっています。
また、事務所を訪れてくれるお客さん用の
SOYA PARTY記念撮影ブースがあるので、
稚内へ行くときは気軽に足を運んでみましょう。
撮影写真はSOYA PARTYウェブサイトにて随時更新中。
2015年10月には、稚内から40キロほど、
湯治場として良質な温泉で名を馳せる豊富町を会場に、
取材を通してつながった宗谷の人たちや
10市町村の選りすぐりの飲食店・名産品が集合する〈SOYA PARTY MARKET〉を開催。
ライブコンサートやワークショップも好評だったこのイベント、
Facebookの告知だけで、
人口4000人の豊富町に北海道各地からお客さんが訪れ、
開始1時間ほどで商品が売り切れてしまい、
近所のお店も大盛況で、地元のみなさんに喜んでいただけました。
ほかにも、2016年1月には東京にも出張。
イベント「SOYA PARTY in 原宿」を開催するなど、
道外にも宗谷をどんどん発信しています。
「東京での仕事だとデザインだけで終わってしまうことも、
宗谷に帰ると企画から全てみんなで考えてつくっていく。
その反響が返ってくることや、
喜んでもらえる声を聞けることがうれしく、そして楽しいですね」
SOYA PARTYには、パーティという意味のほかに、
「集団や山登りのチームといった意味合いも絡めている」と語る強志さん。
宗谷にもともとある素敵な場所、もの、人を紹介するとともに、
宗谷の魅力的な人たちをつなげて、
そこからさらに新たなつながりやおもしろさをつくりだしていく。
みんなでつくられるSOYA PARTYは、
これからも広がりながら続いてゆきます。
information
SOYA PARTY
特定非営利活動法人 街にいき隊PRO
credit
『yansh』『SOYA PARTY BOOK』
企画:尾崎篤志(NPO 街にいき隊PRO)
編集&文:山村光春(BOOKLUCK)
アートディレクション&デザイン:尾崎強志
写真:加藤新作
SOYAPARTYイラストレーション:yamyam
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