キリシタン復活のシンボル「堂崎教会」

海辺にひっそりと立つ、宣教の拠点となった教会。

長崎県に130ほどある教会のうち、五島列島には50あまりの教会が点在しています。
国内のみならず海外からも多くの人が訪れるこの「カトリック教会群」は、
世界遺産登録を目指しています。
福江島で教会巡りをするならぜひとも訪れたいのが、堂崎教会。
福江港から緑豊かな風景を眺めながら、車で北上すること約20分、
奥浦湾の先端に位置しています。
教会の数十m手前にある駐車場に車を止めて外に出ると、
砂が透けて見えるほどの美しい海に、思わずうっとり。
入り江になっているので波がなくてとても静かで、のどかさが一層際立ちます。
穏やかな海を横目に見ながら歩いて行くと、
レンガ造りの教会が海を見つめるようにしてそびえていました。

教会と向き合うかたちで立っているのは、
この地に最初に聖堂を建てたマルマン神父と、
のちに現在の赤レンガの教会を建てたペルー神父の銅像。
さらにその傍らには、十字架にはりつけにされた日本人男性の像があります。
この男性はヨハネ五島といって、
1597年に大阪で捕らえられて豊臣秀吉の命令によって長崎で処刑された、
26人のカトリック信者のうちのひとり。五島生まれの19歳の青年でした。

ヨハネ五島を記念して1879年に創建された堂崎教会は、
1873年の禁教令解禁後、五島に初めて建てられた自由の象徴といえる教会で、
必然的に宣教の拠点となっていきます。
ちなみに現在のレンガ造りになったのは1908年のことで、
五島初めての洋風建造物だったそうです。
島の教会の多くがそうであるように靴を脱いで中へ入ると、
キリシタン資料館になっています。
布教から長くつらい迫害の時代を経て、
復活に至るまでの貴重な資料は200点余り。
弾圧の時代に信仰の対象にされていた、マリア観音と呼ばれる観音菩薩像をはじめ、
宗教画やロザリオなども、どこか和の雰囲気が漂っていて、
この地でひっそりと、しかし確実にキリスト教が育まれていたことを感じさせてくれます。

資料にばかり目が行きがちですが、ゴシック様式の教会の内装も必見です。
五島のシンボル、椿の花をイメージしたと思われるカラフルなステンドグラスは、
素朴でとてもかわいらしく、郷土を愛する気持ちが伝わってきます。
そしてシンプルな造りの内陣には、ヨハネ五島の聖骨が安置されています。
ここでは第1日曜日の早朝のみミサが行われていて、
今も変わらず地元の人々のよりどころになっています。

再び外に出ると、教会の先には草原とキラキラ輝く海が広がっていました。
こんなにのどかで平和な場所に弾圧に苦しむ人がいたという事実は、
にわかに信じにくいものです。
しかしここで起こった歴史を忘れないためにも、
この教会がキリシタン復活のシンボル的存在としてあり続けているのでしょう。

information


map

堂崎教会

住所 長崎県五島市奥浦町2015
TEL 0959-73-0705
開館時間 9:00~17:00(11月11日~3月20日は16:00閉館)
休日 年末年始
拝観料 一般300円 中高生150円 小学生100円 ※20名以上団体割引あり