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福江島唯一の本格焼酎醸造所
「五島列島酒造」

おでかけコロカル|長崎編

posted:2013.11.15   from:長崎県  genre:旅行

〈 おでかけコロカルとは… 〉  一人旅や家族旅行のプラン立てに。ローカルネタ満載の観光ガイドブックとして。
エリアごとに、おすすめのおでかけ情報をまとめました。ぜひ、あれこれお役立てください。

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Ikuko Hyodo

兵藤育子

ひょうどう・いくこ●山形県酒田市出身、ライター。海外の旅から戻ってくるたびに、日本のよさを実感する今日このごろ。ならばそのよさをもっと突き詰めてみたいと思ったのが、国内に興味を持つようになったきっかけ。年に数回帰郷し、温泉と日本酒にとっぷり浸かって英気を養っています。

credit

撮影:山口徹花
取材協力:長崎県、五島市

五島産の原料で、ここでしか生まれない味を作る。

福江島で唯一の焼酎醸造所である五島列島酒造は、
遣唐使船の最後の寄港地として知られる三井楽町にあります。
2009年に創業した新しい醸造所ですが、平成24年福岡国税局管内酒類鑑評会で、
麦焼酎「五島麦」が出品143銘柄のうち1位に相当する大賞を受賞。
いまや島を代表する特産品となっています。
福江島は五島列島のほかの島々と比べて平坦で、田畑が多いところ。
せっかく島内で米も麦もサツマイモも作っているのだから、焼酎を造らない手はない、
ということで焼酎造りが始まったそうです。
社長であり、杜氏でもある谷川友和さんが、
蔵を案内しながら焼酎の醸造工程を説明してくれました。

杜氏の谷川友和さん。

まず、蒸した麦や米に麹菌を加えて麹を作ります。
最初に行うこの麹作りは、できあがりの味を左右する最も重要な工程のひとつ。
原料自体のできも毎年微妙に異なるので、
それを踏まえたうえで一定の味の焼酎を醸造できるかどうかが、
杜氏の腕の見せどころなのだと谷川さんは言います。

次に酵母を増殖させる一次しこみ、
そこでできたもろみに芋と麦を混ぜ合わせて加え、二次しこみを経て蒸留。
もろみを蒸留器で沸騰させて、発生する水蒸気を冷やしたものが、焼酎の原酒になります。
蔵の奥にどっしりと鎮座している蒸留器は、ウイスキーのポットスチルと同じように、
タンクの上部から突き出たパイプが、途中で折れ曲がっている独特の構造をしています。
このパイプの形状が、味と香りのバランスの決め手となるのだそう。
さらに原酒をろ過して2年間熟成させることで、ようやく商品として出荷されます。
「麹は生き物と一緒なので、毎日の温度管理が大切。
麹作りの時期に台風が来て停電して、機械が動かなくなってしまったため温度管理ができず、
麦の麹を泣く泣く全部捨てたこともあります」と谷川さん。
そんな苦労を経て昨年大賞を受賞できたことは、さぞかし励みになったはず。

もともとレストラン関係の仕事をしていた谷川さんは、
熊本で酒造りの修業をして、その面白さと奥深さにどっぷりのめり込んでしまったそう。
以前は飲まなかった焼酎も、
今では大好きどころか、お酒の話をするだけで自然と頬が緩んでしまいます。
「居酒屋なんかで、自分が造った焼酎をおいしそうに飲んでいる人を見かけると、
本当にうれしいですね」
五島列島酒造の焼酎は、五島で育てられた大麦を100%使用した麦焼酎「五島麦」と、
五島の特産「かんころ餅」の原料となる高系14号という品種のサツマイモを
100%使用した芋焼酎「五島芋」の2種類。
どちらも五島産の原料のみで造っています。
通常のサイズは720mlですが、島内限定商品として
900mlのボトルを同じ値段で買うこともできます。(メイン写真は900ml)

美しいボトルの芋焼酎「五島芋」は1470円、麦焼酎「五島麦」は1298円。ともに720ml。

information


map

五島列島酒造

住所 長崎県五島市三井楽町濱ノ畔3158
TEL 0959-84-3300
営業時間 9:00~18:00
休日 日曜・祝日
蔵見学は要予約
http://www.gotoretto.jp

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