odekake
posted:2020.10.9 from:新潟県加茂市 genre:旅行 / 買い物・お取り寄せ
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〈 おでかけコロカルとは… 〉
一人旅や家族旅行のプラン立てに。ローカルネタ満載の観光ガイドブックとして。
エリアごとに、おすすめのおでかけ情報をまとめました。ぜひ、あれこれお役立てください。
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Hiroyo Yajima
矢島容代
やじま・ひろよ●フリーライター。岐阜県生まれ。大学卒業後に上京。東京では『GINZA』などの雑誌でインタビューしたり、おいしいものを紹介したり。一度日本を離れてタイやドイツで生活したあと、田舎暮らしをしようと、山形県に隣接する新潟県村上市に移住。夫とともに新潟と山形の両方の文化を楽しむ日々。
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撮影:嶋田健一
JR信越本線、加茂駅から車で15分ほど。
加茂市の七谷(ななたに)と呼ばれるのどかな里山に、1軒のカフェがあります。
名前は〈MACHITOKI〉。オーナーは渡辺幸治さん、サヨさんご夫婦。
2012年に横浜から幸治さんの故郷であるこの地にやってきました。
オーナーの渡辺幸治さんサヨさんご夫婦。サヨさんは北海道の出身。
カフェの建物は昭和10年に建てられた擬洋風建築の旧七谷郵便局。
現在は市の有形文化財に指定されています。
実は幸治さんはプロダクトデザイナーの顔も持ち、
当初ここは幸治さんがデザインしたアイテムを展示する
ショールームとしてオープンしたそうです。次第にお客さんから
「居心地がいいので、もっとゆっくりしていきたい」と言われるようになり、
その声に応えるかたちで2015年、カフェを開くことに。
「僕たちは日々の時間を豊かにするお手伝いがしたいという想いで、
2010年にデザイン&Webショップ、MACHITOKIを立ち上げ、
横浜を拠点にポーランド陶器の小売り販売をしていました。
MACHITOKI(街時)の“街”は“暮らしのある場所”で、“時”は“過ごす”という意味です。
カフェは初めての挑戦でしたが、基本的な考え方は同じ。
このすてきな建物を多くの方に見ていただきたいですし、
カフェを通じて、いい時間を提供できればと思っています」
「ハイカラ建築」とも呼ばれるこの建物は、
ヨーロッパの家を彷彿とさせるマンサード屋根が目を引きます。
茶色い外壁とコントラストをなす白いラインも愛らしくて印象的。
さらに正面玄関の彫刻欄間には「〒」印があしらわれ、
凝ったつくりであることがうかがえます。
この建物は幸治さんが偶然見つけたそう。市の指定有形文化財ということもあり、借りられるとは思わなかったそうですが、大家さんの厚意もあって使わせてもらえることに。
店内はなるべく手を加えず、そのままの雰囲気を残したというおふたり。
「リノベーションしてしまうと、せっかくの味わいが損なわれてしまう気がして。
朽ちている部分だけ修理しました。大家さんがていねいに管理されてきたので、
85年経ったいまでも美しい状態が保たれているんです」
カフェ2階のテーブルは事務所の机をそのまま利用した味わいのある雰囲気。
建物と調和している什器は廃校になった小学校からもらってきたそう。
昔ながらの造形美が残るカフェは瞬く間に注目を集め、地域の人たちの憩いの場に。
そしてカフェを通じてたくさんのすてきな出会いに恵まれたというおふたりは、
この場所を拠点に地元の人たちと一緒にさまざまな“楽しい時間”をつくっています。
カフェ2階の入り口には「交換室」の文字。当時のままの扉が残されています。
たとえば、新潟で活躍するクリエイターの展示会を開いたり、
地元ベーカリーの天然酵母パンを店頭で販売したり。
またこの夏は近所の保育園と共同で小さなイベントを開催。
「お子さんを保育園に預け、お母さんたちに
カフェでのんびりしてもらおうというものです。
午前中の1時間半という短い時間でしたが、
コロナ禍で沈んだ心を少しでもリフレッシュしてもらえればと企画しました」
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カフェの看板メニューは「しらたまあんみつ」です。
実は幸治さんの実家は加茂市で明治時代から続く老舗の白玉粉屋。
もち米の最高峰といわれる新潟県産の〈こがねもち〉を原料に、
昔ながらの製法でていねいにつくられているので、味はお墨つき。
黒蜜をかけてパクリと頬張れば、
もっちりつるんとした食感に口元がゆるみます。
添えられているあんこは自家製のさつまいもあん。
アイスの上にはうす焼きせんべいが添えられ、甘じょっぱい味のバランスが絶妙です。
「しらたまあんみつ」(600円・税込)。白玉は注文ごとに茹で上げるのでみずみずしい。(写真提供:MACHITOKI)
新潟県産こがねもち100%使用。創業明治20年の〈渡英商店〉の白玉粉(540円・税込)。
あんみつと並んで人気の「クリームソーダ」(450円・税込)。昔ながらのレトロなルックスが愛らしい。
そして今年6月からはランチもスタート。
「地元、七谷の野菜を使った料理を提供したいと考えていたところ、
いいシェフとの出会いがあって実現しました。
季節ごとに野菜が変わるのは楽しいですよ」
たとえば旬の野菜をちりばめた彩り豊かなペペロンチーノ。
この日はズッキーニ、ブロッコリー、きゅうり、トマト、レタスなど。
食感や風味の異なるさまざまな野菜を楽しめます。
ランチはミニサイズの白玉がついたセットもあるので、両方楽しむならこちらをぜひ。
「七谷野菜のペペロンチーノ」(990円・税込)。生パスタを使うことで、もっちりとした食感に。
七谷野菜は店頭販売も。新鮮でリーズナブル。
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楽しい品揃えにあっという間に時間が過ぎていきます。
カフェ1階には幸治さんがデザインしたさまざまなプロダクトが並んでいます。
「手元にあると笑顔になったり、ほっとしたり……、
そんな“時間を共にしたい”と思えるモノをつくれたらいいなと思っています」
角という意味の〈DEGREE(ディグリー)〉と名づけられたガラスのプロダクトは、
理化学ガラスを使ったアイテム。
「余計なデザインを加えない、限りなくシンプルなものにしたかったんです。
この製品は色づけや表面加工されていない透明なガラスを用いて、
直線と角だけで構成しました。
理化学ガラスは丸みを帯びたものが多いのですが、これはあえて角をつけ、
ふたつの製品を近づけるとぴたりとくっつくように設計しています。
日常生活にあるさまざまな“相対するもの”を表現しました」
〈小泉硝子製作所〉とのプロダクトである〈DEGREE TYPE B〉(各4785円・税込)。片方は中央部分が出っ張り、もう片方はへこんだデザインに。
使い方は人それぞれ。オブジェでも花器でも小物入れでも。
空間にしっくりとなじむプロダクトは日々の生活に寄り添ってくれそうです。
こちらは〈DEGREE TYPE C〉(4345円・税込)。繊細なルックスとは対照的に、触れると重厚感があり、強固な理化学ガラスであることがわかります。長く使えるアイテムになりそう。
デザインのテイストに一貫性を持たせないのが幸治さんのスタイルでもあります。
クールなガラスのプロダクトがあるかと思えば、色使いがキュートな靴下も。
〈TRIP SCOTT(トリップスコット)〉と名づけられたこの靴下は“旅”がテーマ。
新潟の老舗靴下メーカーと共同でつくった〈TRIP SCOTT〉(各1650円・税込)。足の甲の部分は強めに、そのほかはゆったり編まれているので、靴の中でズレにくく、足首やふくらはぎはゆったりとした履き心地に。
「旅に出るときに履いてほしいという想いからデザインしました」
内側は肌にやさしいコットン、負担のかかる外側は強度のあるポリエステルを使い、
丈夫で心地のいい仕上がりに。移動の多い旅を快適にしてくれそうです。
ヴィヴィッドなカラーはコーディネートの差し色にぴったり。(写真提供:MACHITOKI)
そして最近、仲間入りしたのが〈YOUTO(ヨウト)〉という名のストール。
“用途”に応じて使ってもらいたいとの想いからこの名前をつけたそう。
綿と麻の混合なので、ナチュラルな風合いで使い勝手も抜群。
〈YOUTO〉(6800円・税込)。加茂市はニットの生産地としても知られています。色はオフホワイトとブルーの2色。
スタイリッシュなプロダクトからちょっと笑えるアイテムまで、幸治さんの世界が広がっています。一部商品はオンラインでも購入可。
そのほかにも食器やエコバッグなど、MACHITOKIのアイテムは機能的であり、
飽きのこないデザインが魅力。
また地元で活躍するクリエイターとコラボしたアイテムも展開しています。
ゆったりと時間が流れる里山のカフェで、
暮らすことの楽しさやおもしろさを再発見できそうです。
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