〈MACHITOKI(マチトキ)〉 何気ない“日々の時間”を大切にする 擬洋風建築の郵便局を利用したカフェ

お客さんの声からカフェをオープン

JR信越本線、加茂駅から車で15分ほど。
加茂市の七谷(ななたに)と呼ばれるのどかな里山に、1軒のカフェがあります。
名前は〈MACHITOKI〉。オーナーは渡辺幸治さん、サヨさんご夫婦。
2012年に横浜から幸治さんの故郷であるこの地にやってきました。

オーナーの渡辺幸治さんサヨさんご夫婦。サヨさんは北海道の出身。

オーナーの渡辺幸治さんサヨさんご夫婦。サヨさんは北海道の出身。

カフェの建物は昭和10年に建てられた擬洋風建築の旧七谷郵便局。
現在は市の有形文化財に指定されています。

実は幸治さんはプロダクトデザイナーの顔も持ち、
当初ここは幸治さんがデザインしたアイテムを展示する
ショールームとしてオープンしたそうです。次第にお客さんから
「居心地がいいので、もっとゆっくりしていきたい」と言われるようになり、
その声に応えるかたちで2015年、カフェを開くことに。

「僕たちは日々の時間を豊かにするお手伝いがしたいという想いで、
2010年にデザイン&Webショップ、MACHITOKIを立ち上げ、
横浜を拠点にポーランド陶器の小売り販売をしていました。
MACHITOKI(街時)の“街”は“暮らしのある場所”で、“時”は“過ごす”という意味です。
カフェは初めての挑戦でしたが、基本的な考え方は同じ。
このすてきな建物を多くの方に見ていただきたいですし、
カフェを通じて、いい時間を提供できればと思っています」

「ハイカラ建築」とも呼ばれるこの建物は、
ヨーロッパの家を彷彿とさせるマンサード屋根が目を引きます。
茶色い外壁とコントラストをなす白いラインも愛らしくて印象的。
さらに正面玄関の彫刻欄間には「〒」印があしらわれ、
凝ったつくりであることがうかがえます。

この建物は幸治さんが偶然見つけたそう。市の指定有形文化財ということもあり、借りられるとは思わなかったそうですが、大家さんの厚意もあって使わせてもらえることに。

この建物は幸治さんが偶然見つけたそう。市の指定有形文化財ということもあり、借りられるとは思わなかったそうですが、大家さんの厚意もあって使わせてもらえることに。

店内はなるべく手を加えず、そのままの雰囲気を残したというおふたり。

「リノベーションしてしまうと、せっかくの味わいが損なわれてしまう気がして。
朽ちている部分だけ修理しました。大家さんがていねいに管理されてきたので、
85年経ったいまでも美しい状態が保たれているんです」

カフェ2階のテーブルは事務所の机をそのまま利用した味わいのある雰囲気。

カフェ2階のテーブルは事務所の机をそのまま利用した味わいのある雰囲気。

建物と調和している什器は廃校になった小学校からもらってきたそう。

建物と調和している什器は廃校になった小学校からもらってきたそう。

昔ながらの造形美が残るカフェは瞬く間に注目を集め、地域の人たちの憩いの場に。
そしてカフェを通じてたくさんのすてきな出会いに恵まれたというおふたりは、
この場所を拠点に地元の人たちと一緒にさまざまな“楽しい時間”をつくっています。

カフェ2階の入り口には「交換室」の文字。当時のままの扉が残されています。

カフェ2階の入り口には「交換室」の文字。当時のままの扉が残されています。

たとえば、新潟で活躍するクリエイターの展示会を開いたり、
地元ベーカリーの天然酵母パンを店頭で販売したり。
またこの夏は近所の保育園と共同で小さなイベントを開催。

「お子さんを保育園に預け、お母さんたちに
カフェでのんびりしてもらおうというものです。
午前中の1時間半という短い時間でしたが、
コロナ禍で沈んだ心を少しでもリフレッシュしてもらえればと企画しました」