odekake
posted:2020.8.27 from:新潟県新潟市 genre:旅行
PR 新潟県
〈 おでかけコロカルとは… 〉
一人旅や家族旅行のプラン立てに。ローカルネタ満載の観光ガイドブックとして。
エリアごとに、おすすめのおでかけ情報をまとめました。ぜひ、あれこれお役立てください。
writer profile
Hiroyo Yajima
矢島容代
やじま・ひろよ●フリーライター。岐阜県生まれ。大学卒業後に上京。東京では『GINZA』などの雑誌でインタビューしたり、おいしいものを紹介したり。一度日本を離れてタイやドイツで生活したあと、田舎暮らしをしようと、山形県に隣接する新潟県村上市に移住。夫とともに新潟と山形の両方の文化を楽しむ日々。
credit
撮影:嶋田健一
新潟駅からバスに揺られること10分。
信濃川にかかる国の重要文化財「萬代橋」を越えると、
古町(ふるまち)が見えてきます。
古町は北前船の寄港地として発展した歴史のあるまち。
いまも昔ながらの景色が残ります。
ここに、新潟のさまざまなモノやコトをクリエイトする集団がいます。〈hickory03travelers(ヒッコリースリートラベラーズ )〉。
代表の迫一成さんは、長岡造形大学の非常勤講師や〈NADC〉
(新潟アートディレクターズクラブ)の会長も兼任する、
新潟のデザイン界を牽引するクリエイターです。
そんな迫さんの手がけるショップ〈ヒッコリースリートラベラーズ〉が、
白山神社と白山公園につながる参道につくられた
「上古町商店街」(通称カミフル)にあります。
築80年の酒屋をリノベーションしたという店は風情ある雰囲気。
1階はお土産を中心とした小物類が並び、
2階はTシャツやセレクトアイテムが並んでいます。
ヒッコリースリートラベラーズのデザインテーマは“日常を楽しむ”。
いつもどこかに遊び心がある親しみやすいデザインが彼らの真骨頂といえます。
また、全国から選りすぐったセレクトアイテムに出合えるのも、
この店を訪れる楽しみのひとつ。
たとえば、ライフスタイルブランド〈NIZYU KANO(にじゅうかのう)〉のバッグ、
新潟五泉市のニット工場が手がける〈mino〉のポンチョ、
水彩画家・伊藤尚美さんのテキスタイルブランド〈SUMAU nani IRO〉のハンカチ、
奈良の老舗靴下屋〈西口靴下〉のソックス、益子焼き作家の陶器など。
売り切れ御免の一期一会のアイテムが多いので、訪れるたびに発見があります。
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現在、8人のクリエイターが活躍するヒッコリースリートラベラーズですが、
もともとは迫さんが仲間と3人で始めた、
Tシャツのデザイン販売を手がける小さな店だったそうです。
福岡県出身の迫さんは、社会学や心理学に興味があり、
新潟大学で行動科学を勉強するためにこのまちにやってきました。
在学中は、ヨーロッパやインドを放浪しながら各地の美術館に足を運んだり、
東京にある絵本作家の養成スクールに通ったり、
デザインにも興味を持っていたといいます。
「何かをわかりやすく伝える仕事がしたかった。
デザインそのものも好きですが、デザインの力で社会が好転するという
社会学的な側面にも興味がありました」
迫さんの仕事は、Tシャツのデザインから
次第に新潟のつくり手さんを手伝う仕事へと広がっていきます。
売れるパッケージを考えたり、時には一からブランディングすることも。
新潟銘菓の〈ゆか里〉もそのひとつ。
かつては新潟土産として人気があり、多くのつくり手がいたそうですが、
次第に売り場が縮小。いまではつくり手は新潟市内ではたった1軒に。
最後の製造元さえも存続が厳しくなっていた状況を知った迫さんは、
若い人にも親しんでもらおうと、商品を丸ごとリニューアルしました。
ゆか里は小さなあられに砂糖蜜をまぶした金平糖のようなルックス。
湯飲み茶碗に入れて、お湯を注いで楽しみます。
お湯を入れると、あら不思議。パチパチと音を立てながら砂糖蜜が溶けて、
あられが浮き上がってきます。
この様子から迫さんは商品名を〈浮き星〉に。
パッケージは新潟に飛来する白鳥をデザインしました。
この商品が大ヒット。市場から消えかかっていたお菓子は、
デザインの力で再び新潟の人気土産となったのです。
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お店に入ったら最後、かわいいアイテムのオンパレードで、
お土産用にと思いつつ、自分用にあれもこれもと、
あっという間に時間が過ぎていきます。
「商店街はさまざまな人が訪れる場所。
だからこそどんな人でも楽しめる店にしたかった。
旅行者には“新潟らしいもの”を。
そして地元の人たちには“楽しめるもの”を提案しています」と迫さん。
このショップで扱っている商品は、生産者がていねいにつくった“確かなもの”ばかり。
そこにヒッコリースリートラベラーズが、遊び心あふれるデザインをプラスして、
新たな価値を生み出します。
たとえば新潟の農家さんがつくる無添加ジャム。
「ラベルがクイズ形式になっているんですよ」と迫さん。
なるほど、よく見ると、酸味のある野菜ルバーブのジャムは
ルとバの文字が隠されていて「●●ーブ」となっています。
黄色のジャムは「●●●チ●」。
「はて、そんな果物あったかな?」と思わず立ち止まって答えを見つけたくなります。
正解は新潟名産の洋梨、ル・レクチエ。
かわいくて、おもしろくて、しかもとびきりおいしい。
そんな新潟産のジャムはギフトとしても喜ばれそうです。
新潟の地場産品にもデザインをプラス。
たとえば全国で3軒しかつくり手がいないという国産の砂時計。
その1軒が新潟市にあります。迫さんたちはこの新潟生まれの砂時計に
〈すなだときお〉という名前をつけ、顔を描きました。
シンプルな砂時計は、絵本から飛び出してきそうなキュートなおじさんに早変わり。
お土産としてはもちろん、地元の子どもたちにも大人気だそうです。
また美しいチョコレートが出てきそうな箱に収まっているのは、
約400年前から伝わる新潟漆器の竹塗箸。伝統的な工芸品も迫さんの魔法で、
若い人たちが思わず手に取りたくなるアイテムに変身します。
そのほかにも、阿賀野市の老舗染物工場の手ぬぐい、
五泉市の刺繍工場でつくられる名刺入れ、
伝統織物「亀田縞」を使った洋服など、
“新潟のいいもの”דデザイン”で生まれた唯一無二の商品たち。
お気に入りの新潟アイテムが見つかりそうです。
また〈新潟市美術館ミュージアムショップ ルルル〉も
ヒッコリースリートラベラーズが企画・運営。
こちらにもクリエイティビティ光るオリジナルアイテムが多数揃っているので、
美術館を訪れた際はぜひ覗いてみてくださいね。
『新潟のつかいかた』では、迫さんの活動について
さらに詳しく紹介しています。記事はこちらから↓
information
hickory03travelers
ヒッコリースリートラベラーズ
住所:新潟市中央区古町通3番町556
TEL:025-228-5739
営業時間:11:00~18:00(日曜、連休最終日~17:00)
*連休時は営業時間に変更の場合あり
定休日:月曜(祝日の場合は営業、翌火曜休)
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