odekake
posted:2019.2.8 from:新潟県南魚沼郡湯沢町 genre:旅行 / 食・グルメ
PR 新潟県
〈 おでかけコロカルとは… 〉
一人旅や家族旅行のプラン立てに。ローカルネタ満載の観光ガイドブックとして。
エリアごとに、おすすめのおでかけ情報をまとめました。ぜひ、あれこれお役立てください。
writer profile
Nanae Mizushima
水島七恵
みずしまななえ●編集者。新潟生まれ。人の営みから生まれる文化全般を思考領域としながら、企画とディレクション、執筆を行う。この仕事につく原点は、音楽。最近目覚めたことは、筋トレ。私にとって編集とは、世界の見方を増やす手段だと思っています。
credit
撮影:ただ(ゆかい)
新潟県の玄関口、越後湯沢駅西口目の前にある〈HATAGO井仙〉。
古民家風の風情ある扉を開けると、まず目に飛び込んでくるのは
魚沼のおいしいものを厳選してお届けするお土産処〈んまや〉です。
塩沢地区で江戸時代に創業した〈鶴齢〉の蔵元〈青木酒造〉との
コラボレーションによって生まれた限定酒〈仙七〉、
雪の中で寝かせて熟成させた〈豪雪ワイン〉など、
ここでしか買えないものも並ぶ〈んまや〉は、
地元の人にも愛されるローカルショップです。
この〈んまや〉の右奥には、喫茶室〈水屋〉が併設。
ここでは専属のパティシエがつくる、
魚沼産コシヒカリの米粉を使用して焼き上げたロールケーキ〈湯澤るうろ〉や
〈水出し温泉珈琲〉などの定番メニューはじめ、
地元の特産を生かしたさまざまなスイーツが楽しめます。
「旅館とは、地域を疑似体験してもらうためのショールームである」
〈HATAGO井仙〉4代目社長・井口智裕さんの言葉が染みる〈んまや〉と
〈水屋〉を堪能したあとは、宿泊部屋へ。
冬はスキーやスノーボード、春は山菜採り、
夏から秋にかけてはトレッキングなど……。
旅の目的に応じて、過ごしたい時間に合わせて宿泊部屋を選べるよう、
8タイプ16の部屋がある〈HATAGO井仙〉には、
四季を通して国内外から多くの人が宿泊します。
「東京のお宿は金額も高く、お部屋のサイズも小さい。
であれば東京から新幹線で約1時間30分と、
さほど遠さを感じない〈HATAGO井仙〉で、
おいしい地酒と食と源泉かけ流しの温泉を堪能したい。
そう思って宿泊してくださる海外のお客様もよくいらっしゃいます」
〈HATAGO井仙〉ホールマネージャーの梅澤美香さんの話を聞きながら、
宿泊部屋を巡ると、海外からの宿泊客が多いことに納得。
まず、ひとつひとつの宿泊部屋はもちろん、廊下もすべて畳敷き。
つまりスリッパを使わずにすむ館内は、
まるで館内がひとつのお部屋のように暖かく、素足でほっと寛げるのです。
このさりげない和のしつらえに深く心癒されるのは、
日本人だけでなく海外の宿泊客も一緒。
また、さりげないおもてなしと言えば、魚沼の水も欠かせません。
「魚沼産コシヒカリは全国的にも有名ですが、
新潟で食べるコシヒカリはなお美味しいんですよ。
それはなぜか。お米を炊く水に理由があるんです。
お水がおいしいからお米もいっそうおいしく炊けるんです。
例えばお客様にお水をお出ししますよね。
そうすると、とてもおいしく感じられるようで
これはミネラルウォーターですか? とよく聞かれるんですが、
実際は普通の水道水。どうやら地元の人間が普通に使っているものが、
当たり前ではないことがあって、なかでも水に関しては特にお客様に驚かれます」
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梅澤さんの言う「水のおいしさ」は、
まさに〈HATAGO井仙〉のさまざまな味をつくり出しています。
例えば、喫茶室〈水屋〉で飲んだ水出し温泉珈琲。
たまらないおいしさで、その理由を聞けば
「越後湯沢神立地区の温泉水を使用して、8時間かけて引き出した自慢の一杯」
とのこと。
また、〈HATAGO井仙〉のメインダイニング〈むらんごっつぉ〉でいただく
ディナーの食材の旨みを引き出しているのも、
地下1400メートルから湧出する、湯沢のアルカリ天然温泉水です。
「当店は和食のお店。毎日昆布と鰹節で出汁を引きますが、
そのとき使う水が湯沢のアルカリ天然温泉水なのです。
温泉水を使う理由はやはりここが温泉地であるということはもちろん、
ph(ペーハー)が8.9と高めで、軟水であることが一番の理由です。
というのも軟水は食材の旨みを引き出してくれるんです」
そう解説してくれたのは、
2009年から〈むらんごっつぉ〉の料理長を務める桑名宣晃料理長。
「早春から晩秋にかけて採取した山の恵みを
塩漬けや乾燥品、発酵食として蓄える雪国の食文化は世界に誇れるもの。
その食文化の基盤にあるものは、やはり雪。雪があってこその営みなんです」
と、魚沼地域の食の魅力の本質を語ってくれました。
そんな〈HATAGO井仙〉では現在、新潟の食文化を伝えていくために
〈雪国ガストロノミー〉を企画しています。
「〈雪国ガストロノミー〉とは、魚沼で長く受け継がれてきた食の知恵、
地域の知恵を五感で感じるものだと思っています。
その前提のもと、春と秋にはきのこや山菜を収穫するツアーを、
また、宿泊されるお客向けに〈HATAGO井仙〉のメインダイニングである
〈むらんごっつぉ〉でのキッチンツアーを行っているんです」
そう語るのは、〈HATAGO井仙〉のゼネラルマネージャーであり、
収穫ツアーのプランニングとガイドも務めている小野塚敏之さん。
生まれも育ちも魚沼の小野塚さんは、
幼い頃から祖母と一緒に、山できのこや山菜採りをする毎日を送っていたんだとか。
今でも趣味といえば、山遊び川遊び。魚沼の自然生態系にも詳しく、
すべては遊びながら学んでいったと話します。
「越後湯沢の山は土山ではなく岩山なんです。
岩盤があるからこそ、雪解け水が直に川の中に入ってきます。
その透き通った水によって春は川が潤おうので、
生物もまたみずみずしく育っていく。
こんなふうに魚沼の食の背景にある物語を知っていただくと、
見えている世界が広がりますし、
ここで過ごす時間がより楽しくなると思いませんか?」
小野塚さんの話にわくわくしながら、私たちはキッチンツアーを体験。
その後、そのツアーで味見した食材が実際に提供される
〈雪国ガストロノミーフルコース〉を堪能しました。
ちなみに井仙の宿泊には、1泊朝食付の〈にいがた朝ごはん〉プランが基本。
これに夕食を〈雪国ガストロノミーフルコース〉を中心に、
アップグレードした“プレミアムコース”、
食事の量を控えた“セミコース”の3つから選びます。
「冬、早春、新緑、夏、秋。〈雪国ガストロノミーフルコース〉は
年に5回メニューが変わりますが、本日お出ししたのは秋の味覚です。
これが冬になると雪国ならではの保存食がメインになります。
また残雪が残る早春は、保存と芽吹きが共存する時期で、
雪下にんじんや山菜がおいしい季節になります。
そしてその名の通り新緑は緑豊かな食材が並び、
夏は夏野菜がとても豊富に収穫されるので、
それをふんだんに使ったメニューをお出ししています」
フロアマネージャーの萩野 翔さんによる丁寧な料理解説を聞きながら、
〈雪国ガストロノミー〉を五感で体験。
「山に降り積もった雪が溶けて、その水は里に流れて、最後に行き着くのは海。
なのでメインの皿は、青い海をイメージしているんです」
萩野さんいわく、
「実は雪の旅をイメージしていた」というお皿にも魚沼の季節を感じながら、
古き良き旅籠のまちとして栄えたかつての魚沼の風景と今が
豊かにつながっていくような、そんな感覚を覚えました。
小野塚さんは言います。
「見渡せばこの魚沼には宝が無数にある。私たち〈HATAGO井仙〉の使命はその魚沼の宝と人をつなげて、みんなで盛り上がることなんです」
〈んまや〉でここでしか買えない地酒を買う。
〈水屋〉でコーヒーを飲みながら心温める。
〈むらんごっつぉ〉で魚沼の四季を味わい尽くす。
湧き上がる温泉に浸かって疲れを癒す。
飲んで、食べて、浸って、感じる〈HATAGO井仙〉は、
まさに魚沼を五感で体験できる宿なのです。
『新潟のつかいかた』では、〈HATAGO井仙〉の〈雪国ガストロノミー〉について
詳しくお伝えしています。記事はこちらから↓
information
HATAGO井仙
住所:新潟県南魚沼郡湯沢町湯沢2455
TEL:0120-85-0039(受付時間 9:00〜18:00)
Web:hatago-isen.jp
ランチはコースか箱膳でメインが選べる。コースは前菜も選べて2800円。箱膳は1400円〜1800円。宿泊は、2名1室で14,000円〜
〈雅 MIYABI〉は2名1室22,500円〜。
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