日本最古級の映画館〈高田世界館〉と 上越市高田の「雁木通り」まち歩き

閉館の危機を乗り越え、日々上映を続ける映画館

新潟県の南西部に位置する上越市高田。
国内屈指の豪雪地帯で知られ、
かつては4メートル近い深雪が観測された地域でもあります。

その気候のため、高田には「雁木(がんぎ)」と呼ばれる
アーケードの原型ともなった雪よけの庇がついた古い家々が軒を連ねます。
まちを歩けば、情緒ある風景に、不思議な懐かしさがこみあげてくるよう。

高田の雁木通りは全長16キロ! 日本最長の長さを誇ります。

高田の雁木通りは全長16キロ! 日本最長の長さを誇ります。

徳川家康の六男・忠輝によって、約400年前に高田城が築城され、
城下町として栄えた高田のまち。
1900年代に入ると、旧陸軍第13師団が駐留することになり、
遊郭、芝居小屋、牛鍋屋などもつくられ、歓楽街として栄華を極めました。

その時代に建てられた映画館がいまも残り、現役で映画上映が行われています。
映画館の名は〈高田世界館〉。

1911年に建てられた擬洋風建築で、国の登録有形文化財になっている〈高田世界館〉。

1911年に建てられた擬洋風建築で、国の登録有形文化財になっている〈高田世界館〉。

もともとは〈高田座〉という芝居小屋としてスタートしましたが、
ほどなくして世界的な映画ブームが到来。
その流れを受け、開業5年後には芝居小屋から映画館へと方針を転換しました。

その後、時代や景気に翻弄され、2000年に入る頃には廃業寸前となったものの
地域住人によって保存活動が行われ、
2009年にはNPO法人〈街なか映画館再生委員会〉に譲渡され、再生を果たしました。

スクリーンの前にはステージが。

スクリーンの前にはステージが。

映画館の内部は、建設当時の姿がほぼそのままに! 
意匠を凝らした天井装飾、円柱の柱、曲線状の階段の手すり、丸窓――。
100年以上の時の重みと風格に、ついついホウッ……とため息が。

天井の装飾が見事! 車輪のような文様は、高田城を治めていた榊原家の家紋「源氏車」をモチーフにしているのだとか。ここにはシャンデリアが飾られていたそう。

天井の装飾が見事! 車輪のような文様は、高田城を治めていた榊原家の家紋「源氏車」をモチーフにしているのだとか。ここにはシャンデリアが飾られていたそう。

レトロな椅子が並ぶ2階席。

レトロな椅子が並ぶ2階席。

1階には140席、2階には40席と、なかなかの収容規模。
芝居小屋であったため、座席はもともと畳敷きだったそう。
その名残で、2階席の手すりはかなり低くつくられています。

映写室には、フジセントラル社製の映写機が2台。
現在もこの映写機によるフィルム上映を定期的に行っています。

サイレント映画を上映する際は、昔ながらのスタイルをとり入れ、
映画の解説をする“活動弁士”を迎えることもあるのだとか! 

映画だけでなく、芝居小屋時代のステージを活用したライブコンサートや
落語を開催したり、近年盛り上がりをみせるインド映画の「マサラ上映」や
「応援上映」といった新しい上映スタイルもとり入れ、
映画ファンのためのコミュニティづくりにも力を入れています。

「レンタルDVDや動画配信が普及するなかで、
映画を映画館で観ることへの価値が薄れつつあるんです。
いま、ただ映画館で映画を観るだけではなくて、観客参加型の、
その瞬間じゃないと味わえない体験を求める人が増えています。
なので、ステージがある映画館って、わりと使い勝手がよくて。
ライブや落語など、いまとなってはそういう使い方こそ、価値が出てきていますね」

2014年から高田世界館の支配人を務める上野迪音(みちなり)さんは、
高田のまちづくりにも取り組む、若きキーパーソン。
映画をフックにしたまちづくりもスタートさせています。

高田世界館の支配人・上野迪音さん。

高田世界館の支配人・上野迪音さん。

『新潟のつかいかた』では、高田世界館と上野さんについて詳しく紹介しています。
記事はこちらから↓

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〈高田世界館〉支配人・上野迪音さん
日本最古級の映画館の保存と
まちのコミュニティづくりを目指す']