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Saori Nozaki
野崎さおり
のざき・さおり●富山県生まれ、転勤族育ち。非正規雇用の会社員などを経てライターになり、人見知りを克服。とにかくよく食べる。趣味の現代アート鑑賞のため各地を旅するうちに、郷土料理好きに。
お正月のお雑煮といえば、地方ごとに特色を持ち、郷土料理のなかでも特別なもの。
そのお雑煮を小中高生が自由な発想でレシピを考案した
オリジナル雑煮コンテスト「第1回Z-1グランプリ」が開催されています。
2023年6月24日(土)に富山県で行われるグランプリ大会(最終審査)に向けて、
三次審査が行われました。
和食は2013年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。
その際、重要な特徴のひとつとされたのが
お正月などの年中行事との密接なかかわりです。
お正月に食べるお雑煮は、郷土色が豊か。食材や調理法が地域ごとに異なります。
「Z-1グランプリ」は、雑煮の食文化継承を目的に開かれたコンテストです。
参加対象は全国の小・中学生、高校生。全国から1077もの応募がありました。
テーマには「いつでも食べたい、地元食材で私のオリジナル雑煮!」が掲げられました。
応募するレシピの条件は、餅米から加工された餅を入れること、
応募者の地元食材を使うこと、1杯の材料費が500円以内であること、
SDGsを意識すること。
一次審査と二次審査を通過した5作品が
4月26日に行われた三次審査の実食審査に臨みました。
富山県在住の高校2年生2人組が考えた「富山の宝箱」。
富山湾のルビーと言われる甘エビ、とろろ昆布、
特徴あるかまぼこなど富山の海の幸や山の幸がいろいろ入って具沢山。
ユズの香りが印象的です。
「春を告げるあおさのお雑煮」と名付けた作品は、
三重県伊勢市在住の中学2年生が考案。
三重県が生産量全国1位のあおさを餅に練り込んだ、香り豊かなお雑煮です。
春が旬とされる鰆(さわら)が焼いて添えられています。
岐阜県下呂市や郡上市の郷土料理「鶏(けい)ちゃん」から
「鶏ちゃん雑煮」を考案したのは岐阜県の高校2年生。
鶏肉のほか野菜もたっぷり入っていて、餅を油揚げに入れた餅巾着になっているのも特徴。
野菜の端材で出汁を取ってSDGsを意識しています。
「はまぐりと菜の花のだしバター雑煮」は三重県いなべ市の高校2年生の作品。
三重県桑名市の名産品、はまぐりと菜の花を使い、
桑名市の老舗日本料理店〈歌行燈〉のだしの素を使用して桑名にこだわっています。
ベーコンとバターが入った意外性も魅力です。
石川県能美市の高校3年生が考案した「加賀丸いもと餅もっち」は色鮮やか。
能美市の特産で栄養価の高い加賀丸いも、石川県特別栽培農産物のユズ、
金沢の茹でかまぼこ、ふかしが紅白で入っています。
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審査員はコンテストを主催した全国調理師養成施設協会会長の服部幸應さん、
和食店〈恵比寿 笹岡〉店主の笹岡隆次さん、
料理研究家で食プロデューサーの浜内千波さんの3名。
審査項目は、タイトルを含め独創性や斬新さがあるか、
食材を無駄なく使っていてつくりやすいか、
おいしいか(味付け、素材など)、彩り・見栄えがいいかの4項目。
審査員による協議の結果、「加賀丸いもと餅もっち」と「春を告げるあおさのお雑煮」が
最終審査に進むことになりました。
審査員の笹岡隆次さんは、
「和食のシェフとして、お椀ものは香りや見た目のよさがまず大事。
『富山の宝箱』ではゆずの香り、『春を告げるあおさのお雑煮』では
焼いた鰆の香りもよかったですね」と講評。
浜内千波さんは「お雑煮は保守的なものが多いと感じていましたが、
若者たちの発想に驚きました」と柔軟なアイデアを評価。
そして服部幸應さんは
「餅を中心に、食材の表し方が明確だった作品が高得点になりました。
食材のよさが伝わること、お出汁を飲むことでお雑煮を食べたという気持ちになることも
審査員が共通して評価したポイントです」とコメント。
若い柔軟な発想と地元食材と雑煮という伝統食を組みあわせた「Z-1グランプリ」。
最終審査は2023年6月24日(土)、25日(日)に富山県で行われる
『第18回食育推進全国大会』会場内の全国調理師養成施設協会ブースで行われます。
24日には来場者に向けた調理販売が行われ、食べた人が投票に参加することができます。
25日には投票結果に基づいたグランプリが発表されることになっています。
「加賀丸いもと餅もっち」と「春を告げるあおさのお雑煮」、
グランプリはどちらの作品になるのでしょうか。
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